吉野純雄    いけない官能教室 
 
目 次 
第一章 教室に響く甘い声 
第二章 ギャルはソープの匂い 
第三章 マシュマロ・ボディ 
第四章 セーラー服を剥ぐ 
第五章 愛蜜のしたたり 
第六章 禁断の果肉 
第七章 朝日のきらめく中で 
第八章 いけない3P遊び 
 
(C)Sumio Yoshino 
 
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 第一章 教室に響く甘い声 
 
 気持ちのいい朝だ。目覚ましはまだ鳴っていなかったが、私はベッドから抜け出してバスユニットに入った。熱いシャワーが、寝起きの気分をすっきりさせてくれる。 
 体を拭いてからヒゲを当たり、匂いのないリキッドをつけて髪を整える。香りのない整髪料を使用するのには、ちょっとした訳があるのだが、それはこの頃になって急にモテ始めた秘密ともからんでいることだった。 
 最初は私も半信半疑だった。いや、半疑どころか九〇パーセント以上は信用していなかった。本当にそんな物で女性にモテるのならば、この世からモテない男が一掃される理屈だった。それでも私は、いわゆる通信販売の「女がよろめく不思議な香水」という品を購入した。心の底のほうで、ひょっとしたらという気持ちが動いていたのも事実だった。 
 実際にその香水を付け始めてからは、確かに女性にモテるようになっていた。確率の上がっているのに気をよくした私は、さまざまに試みた結果、腋の下に少量はたき込むのが最も効果的な使用法であるのに気付いた。それからは本当に、不思議なように女性には不自由しなくなっていた。 
 当然、その香水自体の匂いにも秘密はあるのだろうけれど、同時に、香水を使用することによって自分自身の態度や物言いにも変化が起こっていたはずだった。その相乗効果が良い結果を招いたのかもしれないが、そんな面倒臭いことは考えなくてもいい。ともかく女性を自由にできるようになったことは事実なのだから。 
 今朝も私は、掌に受けた秘密の液体を勢いよく腋の下に叩き込んだ。急速に体内に自信がみなぎって来る。 
 私はある計画を胸に、マンションを出た。 
 
 私は山本浩介、三八歳でまだ独身。特に理由はないのだけれど、気が付いてみると、この年まで結婚していなかった。友人などに、理想が高すぎるんじゃないのかと言われる度に否定してはいたが、確かにその傾向はあった。少なからぬ女性経験と、年を重ねるにしたがって養われて来た人間を見る眼とが、いま一歩のところで結婚に踏み切らせなかった。それぞれに魅力のある女性達ではあったが、自由を犠牲にしてまでも思い切らせてはくれなかった。 
 それでも私は、世でいう好色な部類に属しているらしかった。三度の食事よりも、セックスのほうが好きだった。ただし私の場合、同じ女性とは続けてファックできなかった。無理をすれば連夜でも可能だったが、前の晩にも抱いた女性だと思うと、あまり燃えなかった。いくらおいしいごちそうだからといって、スキヤキを毎日食べられないのと同じ理屈だった。必然的に私の付き合う女性は多くなっていった。 
 私はT市でワープロ教室を開いている。月七万円のマンションの一室に、東芝を四台、NECを二台備え、インストラクターを置いて生徒を教育している。もっとも、私自身はワープロをいじらない。半日もワープロを操作した翌朝は、必ず猛烈に眼が痛かったので、健康のためにワープロをマスターすることは諦めたのだった。 
 経営者たる者は、人を上手に使えばよいものだと考えている私は、そのエネルギーを営業に向けた。そのお蔭で今では、電算写植のディスク化の仕事がさばき切れないほどに舞い込んで来ているのだった。それらは全部、登録している在宅オペレーターに回す。彼女らは期日までに仕事を終え、私はディスクと交換に手数料を払う。悪い言葉だけれど、もちろんピンハネした金額を渡すのだ。 
 その儲けが馬鹿にできない金額なので、もうすぐ経営も黒字になるはずだった。そのまま儲けると、今度は税金が莫大になりそうだったが、その対策は後で考えることにしていた。 
 とにかくそんな現状だったので、私は何の心配もなく、女性とのセックスライフをエンジョイできる結構な立場にいるのだった。 
「おはよう」 
 教室には、すでにインストラクターの山崎かほるが来ていた。 
「あ、おはようございます。今日は、お早いんですね」 
 彼女は、若いわりにしっかりした女性で、生徒を教えるかたわら、私の秘書役をもこなしてくれているのだった。 
「今朝は夢を見てね、それで早く起きてしまったんだ」 
「まあ、どんな夢ですか?」 
「僕が見るくらいだもの、エッチな夢に決まってるじゃないか」 
「いやですわ、社長さんたら、こんな朝っぱらから」 
 彼女は美しい細面の眉根をしかめて見せたが、その眼は微かに笑っていた。 
「だから、早くかほるちゃんに逢いたくてね」 
「またそんなことを……。それじゃあ、わたし、フレンチトーストでも作ります」 
「面倒じゃないの?」 
「いいえ、簡単ですよ。それにわたし、お料理は好きなんです」 
「ほう、それは意外だね」 
 私は、機械を空拭きしていた手を休め、キッチンのほうに歩いて行く彼女の腰の辺りを眺めながら言った。彼女の腰からヒップにかけての線は見事だった。スリムな体型のわりに、ブレストとヒップの大きい彼女は、特に今日みたいなタイトスカートを着ていると男心をそそらずにはおかなかった。その事は彼女自身も気付いているらしく、歩き方にも一種独特なリズムがあった。 
「わたし、そんなに家庭的に見えませんか?」 
 彼女は、ボウルに割り入れた卵をかき混ぜながら言った。腕の振動が、白いブラウスを伝って腰を細かく揺さぶっていた。それを見ているうちに、私はたまらない気分になっていった。 
「お料理も好きだし、お掃除だってするんだけどなあ……」 
 私は静かに歩いて行って、背後から彼女の腰を抱いた。 
「アラッ、社長さん、ダメですよ。もう生徒が来ますから」 
 最初の生徒が来るには、まだ一時間以上もあるはずだった。私はそんな言葉には耳もかさずに、自分の前をふっくらとしたヒップに押し付けた。ズボンを介して、さらさらとした下着の感触が伝わって来る。さらに薄布の向こうに、頼りないほどに柔らかな彼女の肌があった。 
「今日は、何色かな? かほるちゃんのパンティは」 
「いやですったら……」 
「それとも、スキャンティかな?」 
「社長さんったらぁ」 
 口では嫌がっていても、彼女は腰をもぞもぞと振るだけで逃げようとはしなかった。 
「もしかしたら、ノーパンじゃないの」 
 私の手は、弾力のあるお尻の上を這い回った。もう一方の手は、ブラウスの上から乳房を掴んでいた。ブラジャー越しに感じる乳房の重みが、掌に快かった。 
 ほんのおさわりのつもりで始めた戯れだったが、私はすっかりその気になっていた。 
 スカートの内にたくし込まれているブラウスの裾を引きずり出すと、下から中に手を入れて両の乳房を包んだ。円を描くように手を回していると、ブラジャーの中で乳首が持ち上がって来るのがわかる。その中心部を、立てた中指の先でおっぱいの中に押し戻してやると、彼女の唇から切ない声が漏れた。 
「そうか、こうされるのが好きなのか」 
 第一関節まで潜り込んだ指をぐりぐりと動かすと、たまらず彼女は声を上げた。 
「ああッ!」 
 強すぎるぐらいに乳房を握る。そして、ぶるぶると左右に揺さぶると、彼女の声に哀訴のニュアンスが混じって来る。 
「おねがい、ああ、やめて……」 
「どうされたいんだ? 言葉で言われなきゃわからないよ」 
「焦らさないで、お願い」 
「だから、どうしてもらいたいんだ。こうか? それともこうか?」 
 私はさまざまに乳房を攻め立てた。ぎゅっぎゅっと鷲掴みにしたり、ぶるぶると速い振動を与えたかと思うと、下からゆさゆさと揺さぶったりしてみた。 
 彼女はその度に微妙に違う反応を示しながら、徐々にその気になっていく様子だった。 
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