北山悦史 官能宅配便
目 次
第一章 喘ぐ若妻
第二章 AV隠し撮り
第三章 淑女を剥ぐ
第四章 カップリング
第五章 戦慄の白液
第六章 人妻レイプ
第七章 痴悦の同伴者
(C)Etsushi Kitayama
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第一章 喘ぐ若妻
1
朝の陽射しが眩しい車の助手席に、注文の裏ビデオを置いている。「若妻バイブよがり」「奥様はナマがお好き」の二本である。それと一緒に黒い小箱がある。鮫島慎吾個人のもので、「笹パンダ」と印刷されたラベルが貼ってある。
ビデオ注文書の備考欄には「夜九時以降に配達」と書かれている。カタログを見た客から注文を受けたのは昨夜のことだが、配達は今夜ということだったらしい。注文は、社長が受けた。
まるまる十二時間早い配達である。慎吾は、ある魂胆を持って、今、届けにきたのである。バイトの時間でもない。ビデオ宅配のバイトは、午後四時からである。今日は、朝からゼミのある日だが、そんなことを言っている場合でもない。
注文主の加賀美大介は、仕事に出ていて留守のはずである。そうでなくては、こっちとしても困る。
国道14号を左折し、住宅街に入った。電柱の住居表示は「市川市あかね台二丁目 3‐3」となっている。小岩から、江戸川をまたぐ市川橋を渡ってすぐの街である。
慎吾がこの道を通るのは、二度目である。これから行く家の二軒おいて隣に、アダルトビデオを配達したのである。
十日以上前のことだが、そのとき、恐ろしいほどの美女を見かけたのだった。中肉中背、むしろ小柄なタイプだが、プロポーションが素晴らしいのである。色が抜けるように白く、ぱっちりした二重まぶたの目は初夏のそよ風のように涼しげで、明るい栗色に染めたストレートのロングヘアは、どこかしら北欧の妖精を思わせるのだった。
彼女は、レモンイエローの半袖ブラウスに、紺のタイトミニをはいていた。何の変哲もない服装だが、慎吾の目にはすこぶる清楚に映り、しばしわれを忘れて見とれていた。
その美女が、これから行く加賀美大介の妻なのである。「加賀美」という表札の文字を、慎吾は美人妻の面影とともに記憶していたのだった。
彼女には、幼稚園に行っている、これまた人形のようにかわいらしい女の子がいる。だから、二十四、五ということはないと、慎吾は踏んでいる。二十七、八だろうか。
そんな、可憐で年齢を感じさせない若妻の夫が、裏ビデオを注文してきたと知っては、じっとしていることなど、できるわけがなかった。
「加賀美大介」の表札を左に見て、慎吾は静かに車を止めた。二本のビデオと「笹パンダ」、それに注文書を持って、車から出た。さすがにドキドキ、胸が高鳴っている。手のひらが、汗ばんでいる。
玄関のチャイムを押そうとしたとき、内側からドアが開いた。目の前に、突然ピンクの花が咲いた。
可憐な若妻は、鮮やかなショッキングピンクのチャイナ服を着ているのだった。
「あ、どうもすみません」
急にドアを開けてぶつけそうになったことを、彼女は詫びた。絹のようになめらかな声だった。
「いっ、いえ……」
と首を横に振って応え、慎吾はうっとりしてしまった。
絶世の中国美女を思わせた。とてつもなくあでやかだった。チャイナ服のスタンドカラーが、白い首をぴっちり締めつけている。ストレートロングの髪が、しなやかに眉をおおっている。
服の前合わせは喉から右斜めに走り、ちょうど乳房を過ぎるところで、まっすぐ下に向かっている。服の丈はミニスカートほどの長さで、その下はふくらはぎまでのチャイナ式パンツである。
ストッキングははいていない。ショッキングピンクのパンツから、すべすべした、真っ白い足が伸びている。小さい朱色のサンダルをつっかけている。真紅のペディキュアをしている。
「あの、何か……」
ドアを右手で押さえ、若妻が言った。
「え、アノー、ビデオの、宅配会社の者なんですけどォ……」
「はあ……」
「あ、アノー……お宅のご主人から、ご注文がありましたもので……」
慎吾は、注文書を見せた。注文主と、住所、電話番号、商品ナンバーが記入されている。
彼女が、首を突き出して見た。栗色の髪が、チャイナ服の肩の上を流れた。
「わかりました。でも……」
彼女が顔を上げた。髪の右側がほつれて、ほおに掛かっている。
それを払うのに、右手でドアを押さえている彼女は、左手を使った。その左手にはブルーのタオルが握られていた。彼女は髪を、薬指と小指で払った。
「この、夜九時以降、というのは?」
「ご主人が指定されたんです。ですけど、配達のついでがありましたもんで」
しゃべっているうちにペースをつかみ、ハラが座ってきていた。
「ああ、そうですか。わかりました」
「あの、ちょっと失礼して、内容、チェックしてもよろしいでしょうか」
「は? チェックといいますと?」
「ご注文と合っているかどうか、見るんですけど」
「…………」
彼女が、びっくりしたように直立した。
玄関の奥が見えた。洗濯物が入った白いカゴがある。これから干すところだったのである。とすると、彼女が持っているタオルは、物干し竿を拭くためなのだろう。
「いいですか? じゃ、失礼して」
返事も聞かず、慎吾は中に入った。
若妻が、場所を空けた。とまどって、どうしてよいかわからないのである。
2
慎吾は、家に入った。
「中、散らかしてますけど……」
玄関のドアを閉め、若妻がおろおろして入ってきた。配達してきたビデオにミスがないかどうか調べるなどということが本当にあるものだろうか、と思っているに違いないが、対処できないでいるのである。
真紅のペディキュアが、板の間を滑った。白ロウのような足が、桃色のスリッパを履いた。
「あの……これ、どうぞ」
彼女が、スリッパラックからワインレッドのを抜き取り、慎吾の前にそろえて出した。
「あ、どうも」
履こうとして、足元の洗濯物の一番上に濃いパープルのショーツがあるのが目に入った。
洗濯機から取り出すとき、彼女は一枚一枚ほぐしてカゴに入れるタイプらしい。パープルのショーツは、乾いたら、ずっと軽い色に戻りそうである。レースのようにも見える。幼稚園の女の子のじゃないだろう。
想像が、瞬時に、彼女の肉体に飛んでいた。チャイナ服の下、ヒップとデルタを包んでいるショーツは、何色か。その下の秘毛は、どんなか。その奥は……。
「あの……テレビは……」
エッチな気持ちを悟られないように、慎吾はさりげなく訊いた。
「そこ……です」
彼女が右手で、入ってすぐ右の部屋を示した。爪には、足と同色のマニキュアが施されている。
左は、階段になっている。右は、リビングだった。慎吾は若妻の前に立って、ソフトピンクのカーペットが敷き詰められているリビングに入った。
入って右手に、ライトベージュのソファがある。その向こうは、ベランダに出る窓である。窓には、白いレースのカーテンが引かれている。
入り口と対角線に、大きなテレビが置かれていた。キャビネットに、ビデオデッキが入っている。入り口の向かいは壁と上半分の窓で、戸棚式の書棚と、窓までの高さのサイドボードが置かれている。
そこの窓にも、白いレースのカーテンが引かれていた。いつもこうしているのか、レースのカーテンを引いて、天井の照明を点けているのである。
ベランダと庭の向こうは、ヒバの生け垣である。見られる恐れが、ないとはいえない。
〈愉しむときゃ、カーテン、閉めなくちゃなんないかな〉
慎吾は、テレビの前に腰を下ろした。左脇に、二本の裏ビデオと「笹パンダ」を置いた。
後ろにひっそり、若妻が立った。
二本のビデオは、重ねて置いてある。上が「奥様はナマがお好き」、下が「若妻バイブよがり」である。テープはケースに入っているが、同じタイトルラベルがケースにも貼ってある。当然、彼女に見えている。
「すぐ終わります。ちょっと見れば、すぐわかりますから」
慎吾は、下の「若妻……」を手にした。タイトルの上に、「C‐204」と、ナンバーが打たれている。注文書とビデオのラベルとを、慎吾は彼女によく見えるようにかかげた。
「ナンバーが同じでも、中身が違っていることが、あったりするんです。チェックしきれないこともありまして」
大嘘を並べ、彼女を仰ぎ見た。
ウンもスンも言わないと思ったら、若妻は真っ赤になっているのだった。ショッキングピンクのチャイナ服よりも赤くなっている。耳も首も朱に染まっている。
「すぐ済みますから」
してやったりと、慎吾は快哉を叫んだ。ウヒウヒと、げびた笑いが込み上げてくる。わざとらしく「笹パンダ」の箱をずらし、注意をうながした。もしかして、彼女は同じものを持っていて、昨夜、使っていたりして……。
慎吾はキャビネットのガラス戸を開け、デッキにセットしようとした。が、テープが入っている。
「あっ……」
後ろで彼女が、聞こえるか聞こえないかの声を漏らした。
知らんぷりをして、慎吾はエジェクトボタンを押した。バイブレーターみたいな音とともに、テープが出てきた。明らかにエッチものだった。その証拠に、タイトルラベルも何も貼っていない。一時間テープである。三分の一ぐらい進んでいる。
〈子供、幼稚園に送り出してから……〉
一人で見て愉しんでいたのかと思った。そのとき、洗濯機が止まって、〃ビデオ観賞〃を中断したところだったのではなかったか? 取り出したビデオをキャビネットの前に置き、慎吾は「若妻バイブよがり」をセットした。
若妻が唾を飲み込むのが聞こえた。チャイナ服で喉を締めつけられているので、音が大きくなったらしい。
込み上げる喜びを押さえ押さえ、慎吾は再生ボタンを押した。
若い全裸の女が、革張りのソファで、開いた足をこっちに向け、あおむけになっている。右手には、赤茶色の、突起付きのバイブレーターを握っている。
慎吾は背中に、熱い空気のゆらぎを感じた。
ビデオの女が、左手で秘毛を撫でた。
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