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赤松光夫    魔性の肌

目 次
第1章 潮吹き母娘
第2章 夢幻の尼僧
第3章 夜泣き緋牡丹
第4章 名器〃不死鳥〃
第5章 遊女三代目
第6章 淫靡な喪服
第7章 魔性の肌

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   第1章 潮吹き母娘

     1

「契約金、仕度金、何百万円かかってもええ。わいは、この文化的大事業を成し遂げて死にたいのや。そこでわいは、お前を見込んで、全権スカウトに任命するんや。ケチなこといわんと、日本人が世界に誇り得る名器の数々を発見、スカウトして欲しいんや。そこでわいは名器博物館ともいえるソープランドの殿堂を完成したいと思うとる」
 葉巻をくわえ、西條光彦にぶっているのは、現代日本のソープ王といわれる山田左吉であった。
 この人物、すでに年齢は七十二歳。頭髪は後頭部を僅か残して禿げ、鼻低く獅子鼻。唇厚く異様に耳朶が大きいが、背低く、太鼓腹。当然容貌怪異だが、その財、五百億円を越えるともいわれている。
 その山田左吉社長が、目下、金に糸目をつけず企画しているのが、日本一の名器保持の若い女性を一堂に集めた豪華ソープランドであった。
「このソープランドで遊べば、一夕にして、日本女性の名器演奏が楽しめる。そんなソープランドにしたいのや。つまりは、最高級の女の子や。女子の中の女子を集めるわけや」
 たしかにそのアイデアは、いかにもソープ王山田左吉のものらしい大胆かつ豪華なものであったが、問題は、いかにして、そのような名器美女を集めるかであった。
 それ故、社長じきじきの特命スカウトに抜擢された西條光彦、仕事の困難さを思う時、有頂点になってばかりおれなかった。いや、こうして、噂を頼りに東京から正月休みを返上して南紀白浜まで来てみたが、目ざすミミズ千匹の名器女性は、すでに結婚して子供まで生まれているという。
「和子さんねえ。そりゃ、お金を積めば、考えないこともないでしょうけど、あの人、もう水商売はいやだっていってたし、なにぶん子供が生まれたばかりだし、旦那さんもいい人でねえ。今、九州へいっているはずだけどね」
 その女性を知っている温泉ホテルの女中さんは光彦にそう答えた。
 いくらミミズ千匹の名器でも、結婚し、子供が生まれたばかりでは、スカウト意欲も半減する。それに九州のどこに住んでいるのかもわからない。
 その女性の情報を仕入れたのは、銀座のクラブで、一度はその女性は、東京でホステスをしていたことがあり、そのおり名器の噂があったのだ。
(うーむ。これは、やはりむずかしい大役を引受けてしまったゾ)
 改めて、光彦は、思い直した。
「いい役だよなあ。名器の味見も出来てよう」
 同僚には、羨ましがられたが、どうも、そうそう味見というわけにはいかなそうである。
「それでお客さん、どうです。芸者衆でもあげて、パーッと派手に……」
 女中さんにそうそそのかされ、光彦は、
「ねえ、一つこの温泉地の名器の持ち主が、来てくれれば、派手に遊んでもいいんだがねえ」
 と、色気を見せると、さっそく売り込み始めたが、正直のこと、どうやら売れ残りの婆さん芸者ばかりのようであった。
「いいよ、いいよ。酒でも飲んで寝ているよ」
 と、いうと、
「ねえ、面白いアンマさんがいるよ」
 と教えてくれた。
「パンマンかねえ」
「まあね」
「それで、どんなふうに面白いんだね」
「それがあんた、潮を吹くんだよ」
「潮吹き女!」
「そういう噂だよね」
「よし、それじゃ、そのアンマさんを頼むよ」
 ものはためし、光彦は、後学のために呼んでもらうことにしたのであった。

     2

 怪物山田左吉から特命スカウトを仰せつかっただけあって、西條光彦、ただのソープランド従業員ではない。東大卒のもと一流商社のエリート社員。海外勤務の経験もあるが、故あって退社。今は東京ソープ興産株式会社の一従業員であった。
 もちろん、ハンテン着て、客に向い床や廊下の絨毯に頭をすりつけ出迎える経験も積んでいる。とはいえ、ハンテンよりはタキシードが似合う貴公子。色浅黒くやや冷たいマスクながら、目鼻立ち大きくノーブルである。
 それにしても名器スカウトは、雲をつかむような仕事だと改めて思い直した。
「今晩は……」
 布団に寝そべり哲学書を読んでいると、襖の向こうでマッサージ女性が声をかけた。
「どうぞ――」
 光彦は胸をときめかした。
 どんな女だろう。第一、潮吹き女というのは、聞かされてはいたが、大勢のソープ嬢の中にもかつていなかったし、もちろん見物したこともない。つまりは幻の器であり、名器かどうかの判定さえつかないが、珍品であることには間違いない。とにかく若くて美人であって欲しい。
 祈る思いで、襖を開け入ってくる女性を見守った。
「おじゃまします」
 白いユニホームを着てはいるが、ぽっちゃりした色白の五十前後のおばさん。
 光彦はがっかりした。しかし、こういうおばさんから女たちの情報を仕入れることは大切である。
 とにかくマッサージを頼み、光彦は、世間話にこと寄せ喋り始めた。
「……いや、信じてもらえないかも知れないが、ぼくは、女性名器のスカウトなんだよ。名器で美人とあらば、金に糸目をつけずスカウトしたいんだ。ここは日本有数の温泉場。素人、クロウトを問わず、噂でも聞かないかね」
「さあ、ねえ……」
 そんな話をしても、最初は冗談としかとってもらえない。
「ところで、おばさんは、潮吹きだって聞いたけど、潮吹きって、どうなんだね」
 本題に入ってみると、
「さあねえ。見たけりゃ、お見せしてもいいんだよ……。見物料いただければね」
 と冗談半分にいい出した。
「よろしい。じゃ、拝観料、これでいかがかな」
 布団の下に敷き込んであった財布から無造作に一万円札を何枚か抜き取り、手渡した。
「あら、まあ、こんなに……」
「いいんだよ。十万円くらいあるかな……」
「わかりました。それじゃ、ちょっと待ってくださいよ」
 急に女はいそいそと部屋を出ていった。
 再び女が、部屋に戻った時には、風呂を浴び、しなびた顔は濃い化粧さえしている。
「おいおい、見せてもらえばいいんだよ」
 こんな婆さんとセックスする気はなかっただけに、苦笑すると、
「そうはいっても、お客さん、そうそう貝だってなにもせずに潮を吹きゃしませんよ。やっぱりそれ相当に興奮しませんとねえ」
「なるほど、そういうもんかね」
 なに事も修業。そう思い婆さんマッサージ師を光彦は、布団の中に招き入れたのであった。
 顔には小皺があるとはいえ、なかなか顔立ちはよいし、第一肌が白く思いのほか艶っぽい。
「若い頃は、もてただろうね」
「どうでしょうね」
 笑いながらさっそく裸になった。
 意外と肌にはまだ張りさえある。
 いや、若い女のそれよりも白くきめ細やかで、脂ののった肌は吸いつくような肌ざわりをしている。
「興奮させてくれないと、見せられないのよ」
「わかりました」
 さっそく光彦も浴衣を脱ぎ、全裸になって抱きあい、ふっくらした乳房をもんでみた。
 ややたるみのあった乳房が、もみ始めると固くなり弾力を増してくる。それに唇をつけ、下肢のつけ根に指をそえた。
 
 
 
 
〜〜『魔性の肌』(赤松光夫)〜〜
 
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