官能小説販売サイト 赤松光夫 『不倫の新妻』
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赤松光夫    不倫の新妻

目 次
第1話 W新婚旅行
第2話 ポルノごっこ
第3話 あぶない初夜
第4話 舌撫だけの初夜
第5話 手さぐりの初夜
第6話 淫らな月曜日
第7話 消し忘れた情事
第8話 歓びを知らない新妻
第9話 暗闇の女
第10話 ロマンチック街道
第11話 結婚前後
第12話 ハイテク媚薬

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   第1話 W新婚旅行

     1

「君、幸せかい?」
「君は?」
「なかなか複雑な気持だね。はたしてこれでよかったのかどうか」
「ぼくもだよ」
「彼女たちの方も、そういっているかなあ」
「さあ」
 と、謙三は頷いて、チラッと、横でシートを倒し、イヤホンで音楽を聴いているのか眠っているのかわからない美絵の横顔を盗み見た。
 すでに機内の照明は暗くなって、彼ら二人の膝の上には、赤い毛布が重ねられている。
「さて、ぼくたちも、少しやすみますか」
 隣の隆介がいい、シートを倒している。つられて謙三も倒した。
 今、二組のカップルが、席を並べて、新婚旅行の途上にあった。
 目的地は、ハワイ。
 毛布の下で、そっと、隣の新妻美絵の膝に手をのせた。眠ったように美絵はじっとしている。
 サングラスをかけ、目を閉じて眠ろうとしたが、眠れない。そして、隆介の横の若菜のことを、あれこれ考えていた。
 謙三と隆介は、大学時代のクラスメートで、しかもクラブ活動も共にした親友。それぞれのベターハーフも、同じクラブの後輩で、お互いに知りあっている。
 しかし、その知り方は、異常であった。
 当面は、互いに仲の良いカップルとして、これまでつきあって来た。が、内実はかなり違う。
 それは、謙三と若菜との共通の秘密であり、二人は、学生時代に肉体関係にまで発展していた。もちろん卒業後も、何回かその関係を繰り返して来ている。
 いくら親友の恋人だとはいえ、これだけは別であった。しかし謙三は、若菜との結婚には結局踏み切れず、なにもなかった美絵との結婚を決意した。
 あらゆる点で、若菜の方に魅力を感じていた。が、一つだけ心を鈍らせる決定的なことがあった。
 それは、結婚相手には、なによりバージンという謙三のエゴに根ざしていた。
 ところで、今、思い出しているのは、若菜との情事の数々であった。隣の隆介はなにも知らない。
 彼の手は新妻の美絵のスカートの中に入っていたが、思いは、一人離れた若菜の、むっちりした腿や、あの際立って締まる花唇への思いであった。
 女としては、やはり美絵よりはずっと魅力的であるように思える。
 見かけの美絵はほっそりとしたスリム美人であるが、美絵の魅力はそれまで。とりたてて気だてがいい訳でも優しい訳でもない。また乳房が大きくもなければ、あの部分の構造が、人並み優れているという保証もなかった。いや、実際まだテストもしていない。
 その点に関して、若菜は、第一に抱き心地がよく、腰のくびれや乳房、上に重なっても、なんとなく安心して、大きからず小さからず、しかも、あの吸いつく花唇の粘膜には堪能させられた。
 やっぱり、彼女の方を選ぶべきであったかも知れない。この期に及んで、まだ、若菜の捨てがたい魅力に、かすかな後悔を覚えていた。
 そんな二人が、同じ日に結婚式を挙げ、同じ飛行機で同じ場所へ新婚旅行に向かったのである。
 どうせ同じ友人たちに祝福してもらうのである。
 何もかも便利だということで、そうなったが、誰も反対する者はいなかった。
 隆介は、謙三に比べ、線の太い男である。
 よくいえば、豪放磊落。悪くいえば、一本神経が抜けている。しかし、体力はあるし、あれこれ想像すると、かなりエネルギッシュなセックス風景が、瞼の裏に描けた。
 だが若菜の方は、多少そうした隆介の無神経さに、苛立ちや不満を持っている。
 そこへいくと、謙三は、神経質で、それが災いして、バージンにこだわったりする。そのこだわりが、選択を誤らせたかも知れない。
 美絵の細めの腿を撫でながら、ついに、スカートの中に手を入れてしまった。
 眠っていたかと思うと、そうではないらしく、そっとその手をとって、押し出すでもなく握っている。
 どうやら、結婚し、安心したか、もっとなにかしてもらいたい風情。それで、なおも奥に手を入れ、パンストの上から、クレーターのあたりを触れてみた。
 だが、若菜に比べて美絵は、いささか反応も鈍い。それに痩せているせいか、恥骨がとび出している。
 やっぱり、隣のあいつの方がよかったかも。
 クレーターの上を指先でなぞりながら、反省した。
 どうやら、眠ったふりをしながら隆介の方も、赤い毛布を二人でかけて、モゾモゾやっている感じ。
 さっきから、徐々に、二人の息づかいが変って、若菜の方は、窓の方に体を押しつけ、逃げる素振りをしているが、腰の方は彼の方になびいている。
〈畜生!〉と、謙三は、歯ぎしりしたい思いに駆られていた。
 あの息づかいは、あの時もクリットを捉えた時に吐いていた。
 やや大きめのクリット、肉づきのよい花びらは渦巻き型で、ヘアは濃からず薄からず。舌で捉えた時のクリットの感触、花びらがヒクヒクしていた時のあの様子。
 いっぺんに鮮明になって来る。
 なにやら、それに比べると、美絵のものはまだよく見てはいないがひどくみすぼらしく思える。しかし、まさか隣の花嫁に手を伸ばす訳にはいかない。
 すっかり昂奮してしまった謙三は、思いきって美絵のパンティストッキングを引きおろし、その中に手を入れた。
 あれほど婚前テストをいやがった美絵が、横になったまま、じっとしている。
 ペッチャンコのお腹、うすい感じのヘアの上を撫でて、まだ少女のような薄い花びらのクレーターに、指を添えた。
〈なんだ、一人前に濡れやがって〉と、妙に苛立ちを感じ、ズブッと、肉の中に指を刺し入れ、クリットを捉えた。そして指先でこねながら、自身のズボンのジッパーをおろし、怒張したものを掻き出して、美絵の掌に握らせた。ここまでは、婚前に二、三度したことがある。
 そうしながら、寝たふりをして、そっとクリットをこねていると、美絵の掌も、彼のものを強く掴んで、ぎこちないが、しごいてくれる。
 まあ、こちらはなんたってバージン。徐々に教育して、鈍器も名器にすればよい。やせ我慢を張りながら、そう思う。
 向こうのカップルの雰囲気は、なお妖しくなっている。いったい若菜の奴は、なにを考えているのであろう。やはり、同じことであろうか。
「正直いって、わたしは、あなたの方が好き。もっと早く出会っていたらよかったのに」
 しみじみといい、涙を流したことを思い出して、人生って、皮肉なもんだと思った。
 そういえば、今もなお皮肉で、美絵の体を愛撫しているのに、他人の新妻のホクロの位置や、あのアクメの時の眉のしかめ方、唇の噛み方、喘ぎ声や腰の使い方。騎乗位になって、はずむ顔が真剣になっていく時の、あの虚ろな瞳、と、あれこれ考えて、ますます昂奮し、おれの女房はいったいどちらなのだろうと、真剣に考えた。
 その上、二組のカップルで結婚式をしたり、新婚旅行をしたことをいささか後悔した。
 そんな時、突然、照明が明るくなり、機内放送が始まった。
 ハワイ諸島は、もう、間近のようである。
 いっせいに、あちこちの窓が開いて、急に眩しい光が入って来る。
 席を立つ者、窓から下を覗く者、騒然となって、もう余計なことをするゆとりはなくなった。
 
 
 
 
〜〜『不倫の新妻』(赤松光夫)〜〜
 
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