官能小説販売サイト 赤松光夫 『濡れて性感塾』
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赤松光夫    濡れて性感塾

目 次
第一章 抜きつ抜かれつ
第二章 肉壺だめし
第三章 財テク名器咥え
第四章 締め締めごっこ
第五章 なんてったって亀頭
第六章 指技教授
第七章 したたりスワップ
第八章 正月夜這い初め

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   第一章 抜きつ抜かれつ

     1

「それじゃあ、どちらのをお選びになるか、お客さんでご相談ください」
 女将さんの言葉で、桃子はゴクッと唾を呑んだ。生まれて初めて、自分の意志とは別に、目の前で、自分の体が男に選ばれる。
 しかも、今初めて見る相手。
「それじゃあ、桃子ちゃんはこちらの旦那さん。そして桜さんは、こちらの旦那さん」
 女将さんと客の目顔の合図で、二人の相方は決まった。
 二十才の桃子は、その夜、初めて、芸者としてお座敷に出た。しかし、芸者といっても、なに一つ芸ができる訳ではなく、ただ綺麗な着物を着て、いわれるままに料亭にいき、六畳ほどの狭い部屋で、二人の客と相対した。
 客は四十半ばのサラリーマンふうの男性、もう一人は中小企業の社長さんという感じの禿げ上がった年輩者。
「まあまあ、お似合いですよ」
 女将の言葉で禿げあがった社長さんは、姐さん芸者の桜に手をとられて、コップに残したビールを飲み干し、立ち上がった。
 桃子は、それでもホッとした。
 とにかく初めての経験。
 その狭い、お見合いの席のような部屋に入った時には、すでに客がいた。そしてお姐さん芸者と自分が、どちらかの客に選ばれることはわかっていた。
 選ばれれば、その客と、裸になって、男女の営みをする。どんな客かわからないし、好き嫌いもある。
 それだけに、若い方のハンサムな男性に選ばれ、むしろホッとしていた。だが正直いって、こんなふうに安直に、肉体のやりとりをするのが芸者かと思うと、今まで思い描いていた芸者とは、天と地の開きがあった。

     2

 二十才の桃子が芸者になる決心をしたのは、自分の意志ではない。父親が事業に失敗し、母親も病身であったし、まとまった金が必要で、知人の紹介で芸者になることを勧められ、桃子は決心して上京した。
 田舎の高校を出て、小さな会社勤めをしていたが、十万に足りない給料では、とても大金を、家族に用立てする訳にはいかない。
「今は、若ければ、芸なんかできなくてもいいんです。綺麗なべべ着て、お客さんの前に出て愛嬌を振りまいていてさえくれれば、こちらでなんとかします。心配しないで。踊りや三味線は、そのうち習いたければ習えばよいのです」
 そういわれて、この東京の桜新地という三業地に来た。
 今でも芸者は、三業地と呼ばれる花街で仕事をする。もち論表面は酒席に出て、芸を見せ、客の接待をする訳で、肉体提供などということはご法度である。
 三業地というのは、待合、つまり現在なら料亭と芸者を置く置屋にそれらをとりしきる検番の三業種から成り立ち、そう呼ばれる。
 しかし、現在は、置屋といっても、芸者が所属しているだけで、芸者自身はマンションやアパートに住んでいるし、検番といっても、昔ほどの芸ごと、その他の指導をする強力な機関ではなくなっている。
 第一、いくら美しい着物を着て酒席に侍るとはいえ、若い女性はむしろ、もっと自由に活動ができるホステスや、特殊風俗関係の仕事に従事するため、芸者のなり手はますます少なくなっている。
 また経済的にも、正規な芸者の花代は、昔ほど高いものではなく、フルに一カ月働いたとしても、五十万円が限度だという。そしてそこから高価な和服の衣装代や諸経費を引くと、特に魅力的な職業という訳ではない。しかし、高価な和服が着れ、子供の頃から親しんでいる日舞を生かせる職業に、桃子自身は、憧れていた。
 また、最近は、昔のように旦那に面倒みてもらうということは少ない。旦那になれるほどの財力のある人物が少ない上に、互いに束縛されることを嫌がるためである。
 だからこうして、桃子のように初めてお座敷に出て、しかも男を抱かされることになっても、特に高い水揚げ料というものがある訳ではなかった。
 今、桃子が出ているのは、池袋に近い、桜新地という三業地である。
 赤坂、新橋などという高級な花柳界は、昔からの伝統がある上に、料亭も格式が高く、来る客も政治家や経済界の一級の人物が多いし、芸者衆もそれぞれ贔屓筋があって、いきなり料亭で男を抱かされるなどということはないが、ここでは、それの方がむしろ普通とさえいってよかった。
 そんな場合の料金は、ほんのお銚子一、二本ずつを取って、つき出しの料理で十分ほどお喋りし、あとは寝床のサービス。二時間足らずで五万円というところだが、ひと通りの料理を食べて、お酌をしてもらってのお遊びする時の料金とほぼ似ている。
 料理を食べるか、女を食べるか、客の選択次第という訳であった。

     3

 案内した部屋はすでに照明が落されて暗く、なまめかしい夜具が敷かれている。枕もとには屏風があり、床の間には天女の絵がかかっている。
 桃子はそこで、男が浴衣に着がえるのを見届けながら、自分も帯を解き、薄いピンクの長襦袢だけになった。
 長襦袢の下は、なにもつけていない。そして、男が布団の中に入ると、そっと横から足を入れ、添い寝するように横たわった。
 ひと通りのことは、置屋の姐さん芸者から教えられていた。
 しかし、何分男を知っているとはいえ、学生時代のボーイフレンドだけ。お金のやりとりをするような相手と関係を持ったことはなかった。
 それだけに、なにをどうしてよいかわからない。
「まだ若いんだし、むしろお客がよく教えてくれるはずよ。黙って天井見てればいいの」
 姐さん芸者桜にそういわれ、とにかくされるままにじっとしていようと、度胸は決めていた。
「本当に君は、今日初めてなのかい」
 いきなり胸のあたりに手を持って来て北村と名乗る中年男が顔を覗き込んだ。
「ハイ」
「しかし、恋人くらいはいた訳だろう」
「ハイ」
「いや、女将さんから、まるで処女同然だって聞かされているんだが、本当?」
「ハイ」
「そう。それじゃあ、そのつもりで、ぼくも優しくしてあげなくっちゃね」
 張りつめていた気持が、男の言葉でふっと砕けていく。
 話の様子では、なんでもこの男は、大手企業の部長さんかなにかであるらしかった。それにしても、優しそうな口のきき方に、桃子はホッとした。
 長襦袢の腰紐に、男の手がかかった。
 スルスルッと絹ずれの音をたてながら、紐を解いて胸もとを開いていく。
 白い絹ごし豆腐のような肌に、こぼれそうについている大きな乳房。ピンクの乳暈にピンク色の乳首。
「きれいな肌をしている。君はじっとしていればいいよ。どうせコチコチなんだろうから」
 そういい、乳房に手をかけ、もみながら乳首に唇を添え、舌先で軽く掃くようにしながら吸いついて来た。
 強く弱く吸い、舌をからめたり、舌先で掃いたり、そしておもむろに襦袢の裾から膝小僧のあたりを撫で、じょじょに手を内腿に沿って股間に近づけて来る。
 ジーンと、その時、桃子は初めてはざまに迫って来る男の手に刺激を覚えた。
 それまでは、男を感じるゆとりもなかった。すると初めて、男に順応する情欲を覚えている。
 どうなるのだろう。どんな感じになるのだろう。
 桃子の知っているのは、まだ尻の青い十代の男子。それもたった二人。
 しかし今の相手は、父親のような年輩。しかし初めて、はっきり男として意識できた。指先がザラつくヘアの上を撫でながら、クレーターに浸っていく。
 クリットを捉えて、そっとなでる。
 思わず「ああーッ」と、吐息をついていた。
「そんなに緊張しなくていいから。楽しく遊べばいいんだよ。体の筋肉をほぐしてあげるからね」
 そういうと、男は起きあがり、布団の上に坐り込んで、まるでなにかの準備体操でもさせるように、桃子の全身をもみ始めた。
 乳房、脇腹、腰、太腿、そして、長襦袢を開いて、全身をあらわにさせて、今度は、舌先でキスを始める。
 なんとなく、ボーイフレンドとは全く違った体の扱いに、戸惑っていたが、幾分か、体の緊張もほぐれ、男の舌先が、クレーターに触れそうになると、思わず男の背中に手をかけていた。
 クリットに舌が触れると、思わずしっかと男の腰にしがみついている。
 
 
 
 
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