南里征典 人妻官能塾
目 次
第1章 寝室の出向人事
第2章 絶頂願望の女
第3章 淑女の秘態
第4章 快感原則の女
第5章 幼な妻、たぎる
第6章 痴色の議員秘書
第7章 贅沢な情事
第8章 花芯のざわめき
第9章 密猟区夫人
第10章 露骨な情事
第11章 華やかな牝獣
終 章 野望の情事
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第1章 寝室の出向人事
1
大手アパレルメーカー和興堂産業の社員、志村錬兵は金曜日の午後、会長未亡人、有馬信代の寝室に呼ばれて、その三十女の熱くしたたる美貌の淑女への女体奉仕に励んでいた。
「まだよ、まだ許さないわよ。志村、ちゃんと、最後までなさって」
志村の頭上から有馬信代の、よろこびに打ち震える声がひっきりなしに聞こえる。
彼の眼の前には今、赤くはじき割れた柘榴の実のような女陰が、葡萄色にぬたつく二枚の内陰唇のびらつきをめくれ返らせながら、わずかな収縮の息づきを見せて、入路をひらいていた。
恥骨一面にもっさりと繁った密毛は、くせのつよい縮れをみせて、そよぎながら秘丘に繁茂し、その毛根から香ばしいアポクリン腺液の匂いを発散する。
志村は、自分の眼前の毛むらを掻きあげ、白い内股に頭を突っ込んで、会長未亡人・有馬信代の秘所に、熱烈な口唇愛をふるまっているところである。
信代のクリトリスは、実に大きい。亀裂上辺に莢をはらって鮭紅色にそそり勃ち、もはや女の塔といっていいくらいに膨れあがっている。
志村は、その露頭部に、舌をあてがい、薙ぎ伏せる。舌で押し捏ね、吸着する。上下の唇にはさんで、しごきたてる。その都度、
「あっ……ああ――」
という満足そうな信代の声がはじけ、
「ああ、そこ、弱いわ。志村……頭がまっ白くなってよ」
信代の頤が反り返って、志村の頭が、思わずといったふうに、淑女の両手にわし掴みにされる。
そうして淑女は、わし掴みにした男の頭を必死で自分の腰にかばい込み、押しつけたりした。
「うっ……いきそうよ」
信代は、突然、両手で男の頭を掴んで、強く股間に押しつけ、大股を広げきったまま持ちあげ、腰をぶるぶると震わせた。
「ふーっ」
両手の力がゆるんだ。
どうやら未亡人信代は、早くも最初の、クリトリス・オーガズムと呼ばれる軽いスパークに見舞われたようである。
けれども、それで終わりというわけではない。信代は志村の頭を払いどけようとはせずに、恍惚とした表情のまま、
「ね、クリトリス、ちょっときつすぎるわ。もう少し下のほう、お願い」
そんな贅沢なことを指示する。
「あ、そうですね。それじゃ、今度は、会長未亡人のすみれ色の花びらに、ちゃんと優しく……っと」
志村錬兵は、調子よく言って、くちを下にずらし、溶けきった対の肉びらのあわいをつつき、ぺろりと舐めあげる。湧出する蜜液を舌の上に汲んで、上辺の肉真珠に優しく塗りつけたりする。
「お上手ねえ、志村ったらあ……うっとりするわ」
ふっくらとした雪白の内股が時折、ひくつくように震え、下腹部が波打つ。そのたびに艶光りする黒毛のそよぎが、志村の鼻先をいがらっぽく、くすぐる。お尻の方にまで這いのびた性毛のへさきにまでしずくが垂れていて、秘裂のはざまからめくれを打った二枚のびらつきは、今や豆腐を打ち砕いたような白い細片を浮かべて、濡れ光っていた。
この女――有馬信代は、大手アパレルメーカーの雄、和興堂産業の会長夫人である。未亡人といっても、まだ三十四歳という若さなので、大株主としての発言権を有し、陰に陽に企業上層部への影響力をふるっている。
和興堂産業は、日本橋室町に本社がある。資本金は百二十億、売上高は年商約九百五十億円、社員数約三千五百人を誇る大手アパレルメーカーのひとつだが、なかでも女性の下着ファッションの市場占有率たるや七〇パーセントを誇る。そういうことから今や、大手総合アパレルというよりは、下着ファッションの専門最大手和興堂として、その名が通っている。
いま、会長未亡人に奉仕している志村錬兵は、その和興堂産業の社員で、四十二歳である。営業部の生え抜きであり、長く営業第一課長をしていた。しかし二年前、彼が信用していたあるブティックの大手が倒産して、十数億円の未収金をだした時、志村は顧客の調査不足をなじられて、その責任を問われ、営業第一課長のポストを追われた。今は総務部付き平社員という、不遇な窓際族生活を送っている。
かたや有馬信代は、和興堂専属の下着モデルだった時代、有馬頼三会長の庇護を受け、その才色兼備ぶりが気に入られて、後妻にはいった女である。けれども、三年前に有馬会長が膵臓ガンで急逝したため、その結婚生活は僅かの期間で、たいして栄燿栄華をきわめないうちに終わりを告げ、今は未亡人生活をしている。
若い未亡人と窓際族社員――といえば、何だか似た者同士の感じがするが、実は志村と信代の結びつきは、古い。志村が営業一課の若手社員だった頃、下着ファッションショーを全国各地で開催するたびに、一緒にツアーを組んで旅行していた時代があり、その頃、金沢や仙台で催物が終わったあとの、打上げ酒に酔った勢いで、ホテルの部屋になだれ込んでセックスしまくった仲である。
その頃から信代は、上品な美貌に似合わず、情熱的だった。奔放で、情熱的ということは、セックスが好きだということだ。ツアー先のみならず、東京に戻ってからも、信代と志村の関係はつづいた。
しかしもちろん、信代が有馬会長のお手つきとなり、後妻にはいってからは、そういうことは自粛した。幾ら何でも、会長夫人との不倫が発覚して会社を馘首になって、人生を棒に振るほどの度胸は、その当時の志村にはなかったのである。
久しぶりに電話をかけてきたのは、信代のほうからだった。会長が亡くなって、三年目頃だった。買い物と食事のお供を、命じられた。食事は、信代の友達が若女将をやっている目黒の懐石料理店の奥座敷だった。
襖一枚へだてて、夜具がのべられていた。ははーん、と意図を悟って志村はその夜、五年ぶりに未亡人、信代を抱いた。未亡人は三年間、孤閨を守っていたらしかった。股の間を女の汁でどろどろにたぎらせて、志村を受け入れ、ほとんど絶叫をあげんばかりの態で、のけぞり返ってよがりまわった。
それ以来、会長未亡人と志村とは、月一回ぐらいの割で、つづいている。もちろん、会社上層部には知られないよう、こっそりとだ。信代は志村のことを、「志村」と呼んだ。目下の者を呼ぶように、そう呼ぶことで、会長未亡人としての矜持を保ち、また貴婦人が若い性の奴隷を愉しむように、志村を愉しんでいるところがあった。
志村はそういう呼ばれ方を、少しも腹立たしいとは思わなかった。靴の先を舐めろ、といわれれば、舐めてもいい。毛むらの下を舐めまくっているのも、同じことである。志村は、今は会社では窓際にいるが、いずれこの会長未亡人が役に立つ時がくると信じている。
(さて、今日も――)
一か月ぶりに、会長未亡人から呼びだしの電話がかかってきたのである。会いたい、という。重大な相談がある、という。赤坂のシティホテルで落ちあって、まだ陽が高い午後三時だというのに、窓のカーテンを閉めきって室内を夜のムードにし、二人はいま二匹の雌雄のけもののように、蜜戯のなかになだれこんでいるのであった。
(有馬信代はいったいおれに、どういう用事があるのだろう……?)
志村にはいささか、それが気になっているが、とりあえずは未亡人の女体を満足させなければならなかった。
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