園ひとみ 『背徳の人妻・里代子2〜蜜戯の夜編〜』
園 ひとみ 背徳の人妻・里代子2〜蜜戯の夜編〜
目 次
第一話 弄ばれた人妻
第二話 濡れた蜜肌
第三話 痴漢男の指技
第四話 貪欲な花芯
第五話 愛液まみれ
第六話 勃たせてあげる
第七話 狂乱バイブ
第八話 寝取る快感
第九話 縛られた女体
第十話 媚薬あそび
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第一話 弄ばれた人妻
1
里代子は掃除機を夫の書斎に運んだ。
寝室やリビング・ダイニングルームは毎日掃除するが、夫の書斎は週に二回ぐらいである。
裕一が書斎で過ごす時間は少ないし、そう汚れたり散らかったりしない。
机の上にパソコンやワープロ、ファックスが置いてあり、本や雑誌が、雑然と積んだり開いたままになったりしている。
掃除機をかける前に、ざっと整理することにした。
筆記具をペン皿に入れ、紙クズをクズ入れに放り、本と雑誌を分けて積んでゆく。
雑誌の大半は、サラリーマン向けの週刊誌や月刊誌である。その中の一冊を手にして、里代子は、
「あ、何これ……?」
と思わず呟きながら、その表紙の異様さに、驚きの目を見張った。
海辺をバックにした、男と女の水着姿。
ただ水着姿で並んで映った写真ではない。女の上に男がおおいかぶさって、彼女の水着を脱がせかけ、こぼれ出た豊かな乳房に顔を埋めている、といったシーンなのである。
しかも男女の四本の足は妖しくからみついて、性行為を連想させる淫らなポーズだった。
雑誌の名前は『エクスタシー』。
里代子はページをめくってみた。
すると、数ページにわたるグラビアは、すべて男女のヌードやエロティックは写真ばかり。
それらは、雑誌側が撮ったのではなく、愛読者の投稿で、名前はイニシャル、住所は〇区とか〇市、そして電話番号が書かれていて、
〈セックスフレンドを求めます〉
とか、
〈スワッピングの相手を探しています〉
とか、
〈私達夫婦と共に、トリプルプレイを楽しみませんか?〉
というメッセージが書かれている。
(すごいわね……)
里代子は、圧倒されてしまった。
こんなに大胆で積極的な男女、夫婦がいるなんて、思いもよらなかったのである。
雑誌を通して、ペンフレンドを求めるとか、ペットをもらって下さいとか、不要のワープロをただで譲りますとか、そんなことのために読者が住所や名前を乗せているのは、見たことがある。
けれど、自分達のヌードやベッドシーンの写真と共に、大胆なメッセージの載っているのを見たのは初めてだった。
(裕一さんたら、こんな雑誌買って……)
半ば驚き、半ば呆れながら、里代子はもう一度じっくりと投稿写真を次々見ていった。
そこに映っている人妻だの未亡人だのキャリアウーマンなどの半ヌードより、里代子のほうが、ずっとセクシーで魅力的だ。
(でも、魅力的な妻の身体に飽きて、他の太り過ぎや痩せ過ぎや色黒肌のほうが、夫にとって新鮮てわけ?)
そんな小さな怒りとジェラシーが湧いてくる。
(それとも、裕一さんたら、このメッセージに応じて、セックスフレンドになるとかトリプルプレイとかスワッピングとかを経験してみたくなったのかしら)
どっちにしろ、さっさと捨てないで、こんな雑誌をとっておく夫を、問いつめてみなくちゃ、と里代子は思った。
投稿写真やメッセージの他のページは、体験告白手記とか、新しいタイプのラブホテル紹介の記事とか、ハウ・ツー・セックスのようなページだった。
それらの記事もざっと拾い読みしてから、里代子は雑誌を閉じた。
何となく、身体が熱っぽくモヤモヤっとしていた。
(ああ、今夜はしたい、抱かれたい)
と、モヤモヤと身体の芯が疼くような感じが一日続いて、里代子は夜の来るのが待ちどおしかった。
ところが、こんな夜に限って、夫はなかなか帰宅しない。
もっとも、裕一はたいてい帰宅が遅い仕事である。
夜の九時近くに、夫から電話がかかった。
「先に寝てていいよ。遅くなる」
「はい」
「九州から出張で上京した友人と、仲間四人で飲むことになったんだ」
「わかりました」
「僕のこと愛してる!」
「多分ね」
「おや、機嫌悪いね。じゃ、おやすみ」
「おやすみなさい」
電話を切って、里代子はすっかりアテがはずれた。
今夜は遅くなっても、起きて待っていようと思ったのである。
あの雑誌を夫に突きつけて問いつめてみたかったし、それ以上に今夜、里代子はモヤモヤと熱っぽい身体の疼きをしずめてもらいたかったのだ。
(ンもう、こんな夜に限って裕一さんたら……)
里代子はヤケになったみたいに、夫の書斎から、例の雑誌を持って来た。
そして里代子は、半ば八つ当り気分で、
(そうだわ、イタズラ半分に電話かけちゃおう)
と思いついたのである。
〜〜『背徳の人妻・里代子2〜蜜戯の夜編〜』(園ひとみ)〜〜
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