丸茂ジュン メス猫の寝室
目 次
第一章 スタイリスト・田坂あおい
第二章 美人キャスター・峰山百合子
第三章 ママドル・杉田映子
第四章 清純女優・志垣理恵
第五章 美貌人妻・加納ゆう子
第六章 美人女流棋士・谷川忍
第七章 超アイドル・宮崎えり
第八章 新人歌手・星加真奈
第九章 バツイチ女優・浅香美也子
第十章 巨乳アイドル・細山ふみ子
第十一章 魔性の女優・大岳しおり
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第一章 スタイリスト・田坂あおい
オレの名は志摩亮二。フリーのライターをやっている。とはいえ、まったくのフリーというわけでもない。スポーツ紙とあとは何本かの週刊誌と、月に最低何本書く、みたいな柔軟性のある契約を交わしている。
ま、扱うのが事件とか政治がらみなら、トップ屋でも一流なんだろうが、オレの専門は芸能界のスキャンダルとか、風俗情報とか……。
これでも、昔は硬派なジャーナリストに憧れたりもしたが、生来女好きだし、セックスはもちろん大好き……となりゃ、やっぱり今の仕事が性に合っていることだろうな。
しかも、おあつらえ向きに、オレの別れた女房ってのが、田坂あおいって名のスタイリスト兼美容師。父親が有名な絵描きで、あおいはその父の住むパリでセンスを磨いたらしい。そのせいもあってか、芸能人とかモデル、有名人の奥さんなんかからの指名も多く、フリーながらオレよりずっと稼いでいた。結婚していた頃のオレは、まさに髪結いの亭主。毎日ほとんど遊んで暮らしていた。
しかし、仕事ができる女ってのは、とにかくセックスが強い。オレもセックスには自信があったから、当初は毎晩でも求められるがままに励んでたんだが、これは、毎日フランス料理のフルコースを食べさせられてるようなもの。そのうち、やる前からゲップが出る感じで立たなくなって……とたんに、彼女はあちこちの男をつまみ食いし始めたんだ。
あおいって女は、裏方にしとくのが勿体ないほどの美人だし、その気になりゃ、男なんかいくらでもひっかかってくるさ。
女房に浮気されてるのを黙認するってのは、はっきり言って惨めだった。だが、役立たずのオレからは何も言えない。そんなある日、あおいの方から「別れよう」と言い出したんだ。「夫婦でいる必要がない」とね。「そのかわり、あんたの仕事の手助けならしてあげる。あんたをグータラで何もできないヒモにしちゃったのはあたしだから」ってサ。
結婚して一年足らず。オレが二十六歳で、あおいが二つ上の二十八。確かに、お互い、まだいくらでもやり直しがきく年齢だった。
あおいが仕事で知り合った芸能人やら、有名人の奥さんやらのスキャンダルを、オレに話してくれるようになったのは、それからだ。
ま、オレは文学青年を気取って、彼女に取り入ったんだから、書く仕事で生きていかせようと、彼女も思ったんだろうな。
あれから一年半……そろそろ彼女から独立しなきゃ、とも思うんだが、彼女のくれるネタがあまりにおいしすぎて離れられない。しかも、情報提供料は、体で払えと、彼女は言う。男にとって、こんなうまい話はない。
とはいえ、最初はビビッた。というのも、離婚の原因が、オレが彼女にインポになったこと。もし、離婚してもダメだったら……。
だが、それは取り越し苦労だった。とにかく、もとがいい女なのだ。離れてみれば、そのよさがよく判る。肌は透けるように白いし、前戯だけで何度も気をやっちまうほど感度はいい。アソコだって、ナニを入れたらヒダがザワザワ動いて、こっちのペニスを吸い込んで締めつけてくるんだから……多分名器なんだろう。たまに食うなら、最高の御馳走さ。
てなわけで、オレは、今夜もあおいのマンションに向かって車を走らせている。
もちろん新しいネタをもらうためだが、その前に、前払いの一発を……あおいも、それを期待して、待っているに違いない。
あおいのマンションは、青山にある。
オレとの結婚生活は世田谷の二DKの古いマンションだったが、離婚してすぐに、あおいだけさっさと青山の三LDKもある高級マンションに引っ越してしまった。
「ホントは、あなたと一緒に住むつもりで、前から探してたのよ。やっぱり、第一線のスタイリストは、都心に住んでないとね」
と、あの時、あおいは言った。
離婚から一年半……そのマンションが、今、目の前にある。そこは、まさしくあおいの城だ。オレは、月にせいぜい一度か二度、訪れることを許された元亭主……いや、元ヒモと言った方が正しいかもしれない。
今だって、オレは、あおいがくれる情報を頼りに、タレントやら有名人のスキャンダルを追い、それを記事にして稼いでるライターだ。そういう意味では、オレはまだ彼女から完全に独立してはいない。
しかし、そんな関係を、オレもあおいも結構快く思っている。オレもあおいなしじゃ寂しすぎるし、あおいだって、今でもオレに惚れている部分を残しているのだろう。
六階建の五階部分がすべてあおいのスペースである。道路脇に車を停めて見上げると、東側の角にある寝室と、南側のリビング・ルームに灯りがついている。
約束の時間は午後八時……まだ三十分ほど間がある。不用意に上がって行ったら、先客と鉢合わせする可能性もなくはない。
オレは、携帯電話を出し、あおいのプライベート用の電話番号をプッシュしてみた。
「田坂です。どちらさま?」
すぐに、よそ行きの声であおいが出た。
「志摩亮二……今、下に着いたんだが……」
オレはあえてフルネームで名乗った。別れた亭主が、いつまでも『オレだ』などと電話をするのは、あおいにとっても迷惑だろう。
「ああ、早かったのね。あたし、今、シャワー浴びてたところ……そうねえ……十五分くらいしてから、上がってきてくれる?」
ちょっと気だるい声で、あおいは言った。
十五分というのは、微妙な時間である。シャワーの後の身支度を整えるための時間ともとれるし、先客を帰すための時間ともとれなくはない。もし、先客がいて、あおいがシャワーを浴びていたというなら、当然、そいつとセックスをしたに違いない。
(いいよな、女は……やろうと思えば、何人とでも可能だもんな……)
オレは心の中で呟いて、苦笑した。
今夜あおいを抱くからと思って、ここ三日ほど女遊びも酒も控えていたオレが、何となく情けない。オレと離婚して、あおいは本当に自由にのびのびしている感じだが、オレは逆にあおいへのこだわりが強くなったような気がする。
とりあえず、車をいつもの有料駐車場に入れてから、オレはゆっくりあおいのマンションまで戻った。
まだ七、八分しかたっていない。
オレは、時間つぶしのために、煙草を出し、火をつけた。その時である。マンションの玄関から、スラリと背の高い女が出てきた。サングラスをかけてはいるが、日本人離れした鼻とセクシーな唇、そして何より細く長い脚は見覚えがある。そう……美人ニュース・キャスターの峰山百合子である。
そして、彼女を追いかけるように、チェックのスーツを着た大柄な男が出てきたのだ。
「峰山百合子……ここに住んでるのか?」
あおいの部屋に入るなり、オレは、さっきマンションから出て行くのを見た、美人ニュース・キャスターのことを訊いてみた。
「あら……あの人、また来てたの? 後から小宮雄二が出て行かなかった?」
「小宮雄二? ああ、そういえばあれは……」
さっき百合子の後から出てきたがっしりした男……どこかで見たような顔だと思ったら、峰山百合子が出ている番組のメイン・キャスターの小宮雄二だった。
「相変わらずねえ。女の顔はすぐ覚えるけど、男の顔はすぐ忘れる。そんなことじゃ、記事にできることもできなくなっちゃうわよ」
シルクのナイト・ローブ姿で、テーブルに並べたグラスにシャンパンを注ぎながら、あおいは、からかうように言った。銘柄は、あおいが一番好きなドンペリニョン……オレのために用意しておいてくれたともとれるが、恐らく、どこかの男からの貢ぎものだろう。
「さすが、一流のスタイリストは、飲んでる酒も違うなあ」
あおいが差し出したグラスを受け取りながら、オレはもう一方の手であおいを抱き寄せた。ナイト・ローブの下には、何もつけていないのだろう。弾力のある乳房の感触が、そのまま伝わってきた。
「待って……せっかくのシャンパン、少し飲んでからにしましょう。その間に、あの二人のこと、教えてあげるから……」
あおいが焦らすように言い、オレから離れて、前のソファに腰をおろした。そして、逆に挑発でもするように、白い太腿をわざと見せつける恰好で脚を組んでいる。
「あの二人、デキてるのか?」
すぐにでもあおいの太腿にしゃぶりつきたい衝動を押さえながら、オレは訊き返した。
「もちろんそうよ。でも、小宮の相手は彼女だけじゃないわ。このマンションに、小宮の事務所があるのよ。事務所ったって、何も事務員がいるわけじゃない。彼が、番組がある月曜から金曜まで滞在場所として借りているってだけ……そこに、いろんな女が出入りしてるのよ。峰山百合子もその一人……」
「なるほど……そりゃ、おいしいネタだな。小宮は確か、横浜に自宅があって、そこに女房子供もいるはずだろう? となると、この部屋は不倫するための部屋ってことに……」
「不倫も不倫、多重不倫よ。彼の番組に一度だけ出演したことのある国会議員の江戸川美喜子も、二、三回見たことあるし……でもね。これを書いても、多分、あいつのことだからとぼけるわよ。番組の打合せだったとか、勉強会だったとか……とにかく、出入りしている女が、みんな番組関係なんだもの」
「なるほど……しかし、あの小宮ってのは、もう五十過ぎだろう? いくら何でも、出入りしている女をみんなやってるってわけじゃ」
「やってるわよ……凄いんだから、あいつは……確かに、スタミナの点では若い男にかなわないわ。でも、彼の舌戯は抜群……フランス人の男でもかなわないほどすごいわ」
「おまえ……おまえもまさか……」
「あの番組の彼のスタイリストしてるの、あたしだってこと、知らなかった?」
言いながら、あおいは組んでいた脚をほどき、グッと太腿を広げた。ピンクのラビアがその奥にはっきり見える。オレは、湧き上がってくる嫉妬を押さえきれぬまま、あおいのそこにいきなりしゃぶりついていた。
ニュース・キャスターの小宮雄二と峰山百合子の不倫ネタは、確かにトップ屋のオレにとってはおいしい。しかし、今のオレには、その小宮がオレの元女房のあおいともデキていたということの方が、重大問題である。
もちろん、別れた亭主としては、今さら文句をつけるわけにはいかない。だが、嫉妬の感情は押さえきれず、オレは、まるで強姦でもするような勢いであおいをソファに押し倒すと、花唇にいきなり唇を押しつけた。
「あっ、あン……乱暴にしないで……」
鼻にかかった声で言いながらも、あおいは抵抗していない。むしろ、待ってましたとでも言うように、自分でシルクのローブの紐を解き、大きく脚を広げている。
ローブの下は、もちろん全裸である。ラビアに舌を這わせているオレの鼻腔に、品のいい甘い香りが流れ込んできている。多分、シャワーを浴びた後、あおいはオレにクンニされることを計算して、下のヘアのあたりにも香水を少しつけておいたのだろう。
(チキショー、小宮に抱かれた時も、こうやったのか……)
押さえようにも押さえきれない嫉妬が、オレの中に湧き上がってきている。オレは、その感情をぶつけるかのように、あおいの花唇にある敏感なボタンを思い切り吸うと、舌の先でつつくように舐め始めた。
「ンンン……あうううっ……」
あおいは、オレの頭を両手で押さえたまま、大きくのけぞった。
口の中であおいのそれが、固く膨らんできているのがはっきり判る。同時に、花唇全体が潤み始め、さっきの香水の匂いにプラスして、女特有の匂いが漂ってきている。
オスの本能をそそる匂いだ。
オレは、下半身のものがムクムク起き上がってくるのを自覚した。
あおいはもう全裸に近い状態だが、オレは服を着たままだ。ズボンとブリーフの下で、オレのそれは痛いほど窮屈な思いをしている。
オレは、いったんあおいの花唇から顔を上げると、自身のズボンのファスナーを引き下げた。
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