北山悦史 姉 虜われの白衣
目 次
第一章 裂かれた蜜愛
第二章 処女凌辱
第三章 恋人の麗母
第四章 レズ覗き
第五章 虜われの白衣
終 章 近親交悦
(C)Etsushi Kitayama
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第一章 裂かれた蜜愛
1
九月第二週。昨日までの猛暑が嘘のように、初秋を思わせる涼風が吹き渡り、高い青空にウロコ雲が張りついている。
メインストリートから二本入った小さい公園だった。設備といえば、コンクリートのベンチが二脚と水飲み場があるだけだ。まわりを灌木と広葉樹が取り囲み、通りから遮断されている。ほんの二十メートル向こうを走る車の音ですら、はるかかなたに聞こえるようだ。ほかに、人はいない。
「静かでなかなかだと思わない?」
香波と並んでベンチに腰を下ろし、敏之は言った。
「ん、んー。そうですねー」
肯定とも否定ともつかない言い方をして、香波が空を仰いだ。つやつや、絹のような光沢のある前髪が割れ、薄くてやや広め、あどけなくやさしい眉を見せた。
「どっち? YES? NO?」
敏之は香波の目を覗き込んだ。高い空が映っている。空よりも澄んだ瞳だ。
「静かでなかなかだと思います。ハイ、」
瞳を敏之に向け、香波がにっこりした。
「だろー。学校帰りに寄るにはバッチリだと思ったわけ。こないだの日曜、発見したんだけど」
言いながら、敏之はそろりそろりと左手を後ろにやった。もう何回も肩を抱いたりしているとはいえ、やはり最初のきっかけ、ということになると、どうもぎこちなく、ドキドキしてしまう。もう六回もキスをしたというのに、だ。
敏之の動作を知り、香波が体を固くした。膝の上に置いた通学バッグを、お骨でも持つように両手でかかえ、肩をすぼめかげんにした。背中にかかる長さの髪が、三つの大きな束になって、ふんわり膨らんでいる。
敏之は、香波の半袖ワイシャツの制服の肩に手をかけた。香波が顔をうつむけた。横髪がはらりとくずれてほっぺたを隠した。
ほっと一息つく思いだ。肩を抱いてしまえば、あとはスムーズに事は運ぶだろう。キスは楽勝。今日はひとつ、濃厚なキスを決めて、香波がへなへなになったら、おっぱいにタッチしちゃう。香波が強く拒否したりしなかったら、もみもみしちゃう。香波はきっとすぐ、あへあへになるだろう。そうしたらスカートの中に手を入れちゃう。
「あ、敏之さん、だめ……」
と言いながらも、香波は許してくれるはずだ。クリームを塗ったような膝を撫でてやり、香波がうっとりしてきたら、内腿をなでなでしながら手を奥にすすめる。香波はぴちっと腿を合わせて敏之の手を挟み、
「だめ、それ以上はだめ」
とか、敏之をにらんで言うだろう。だけど、心の中では許している。
「それ以上って? こういうのかい?」
なんて、香波の瞳を見つめながら強引に指をすすめる。指がビーナスの丘に達する。一番大事なところを、指でくにくにしてやる。
「あっ……あ、敏之さん、そんな……」
香波はすぐめろめろになる。そうしたらショーツの脇から指を差し込んで、一気にアソコに触って……。
予定のコースを思い描き、敏之は心臓が破裂するほど興奮した。
知り合って早二ヵ月。夏休みにはディズニーランドに二回行き、豊島園と後楽園のプールに行き、近くの市営プールには八回も行き、エンジョイしまくった。初キスは豊島園のプールでだった。水の中でふざけ合っていて、どさくさにまぎれてほっぺたにチュッとやってやったのだ。
「やーん」
と、口ではそんなことを言いながらも、香波は恐ろしく艶めかしい目で敏之をにらんだ。この春、同じ高校に入ってきて四ヵ月、一つ年下の後輩が、死ぬほどかわいかった。敏之は首に腕を巻きつけ、ぐいと引き寄せ、本物のキスをしてやった。あのときの冷たくて柔らかい唇の感触は、一生忘れない。それと、冷たくて、やはり柔らかかった肩と二の腕の感触も。
プールでは、どさくさまぎれに、おっぱいにも触ったりした。三回は触った。ふざけてるふりをして股の間に脚を差し込み、ビーナスの丘をこすったりもしてやった。二回は、やった。ぷりぷりしたヒップには、何度もタッチした。
黒い縁取りのあるショッキングピンクのワンピースの水着の香波は、何回プールに行っても日に焼けず白いままで、いくらか焼けても翌々日にはもとに戻ってしまう肌をしている。二学期が始まった今ではもう完全に白人のような白くぬめ光る肌で、金色の産毛をキラキラさせている。
通学バッグをかかえた香波の右腕に、敏之は右手をのせた。香波がいっそう体を固くした。手首のほうに、手を滑らせた。手の甲を撫で、白魚のような指にかぶせた。
「バッグ、こっちに置いとくよ」
バッグをつかみ上げ、右脇に置いてある自分のバッグの外に置いた。バッグが膝にのっかっていては、目的のことはできない。手を戻し、グレーのチェック地のスカートの上の手に、あらためてかぶせた。敏之の手の下で、香波の手が縮かんだ。
「ちょっと、目、つぶってな」
敏之は言った。心がときめく。してしまえばどうということもないようなのだが、いざ、というときは、きまって、気が変になりそうなほどドキドキする。
「えー」
と、香波が言った。ほとんど声にならない声だった。口がゆるく開いただけのような感じだ。
「いい? ちょっと、目、つぶって」
肩にかけた左手を、ぐるーっと回した。柔らかい肉で包まれたあごに手をかけた。
「えー」
香波がまた、吐息のような声を漏らした。敏之はあごをすくい上げ、顔を自分のほうに向かせた。香波はしっかり目をつぶっている。薄くて幅の広い眉が、泣きだしそうな弧を描いている。二重まぶたの筋が、くっきりついている。右目の下、目尻寄りのところに、小さいホクロがある。白い顔はすべすべしていて、夏休みにはあった産毛の一本もない。二学期が始まる前に美容院に行ってきたのだ。髪の長さもきっちり揃っている。
あごをすくっている手に、力を入れた。あごの肌と手のひらが溶け合ったようになった。香波が、長いまつげをふるふるさせた。艶のある薄ピンクの唇は、死んだように無表情だ。が、あらゆる感情が隠されているようでもある。
右手の指を、ぎゅっと握った。いくらでも握り込めるような柔らかい指だ。ぎゅっぎゅっと握り、愛を伝えた。香波が、ふるふる、ふるふると、まつげを震わせた。
敏之は顔を近づけた。香波がくうーっという感じで、体を収縮させた。顔も少し、引いた。敏之は顔をかぶせた。ぷっくりしたピンクの唇に、唇を重ねた。香波の体がにわかに力をなくし、ぐったりともたれかかってきた。
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