北山悦史 義姉 狂悦の肉情
目 次
第一章 近親凌辱
第二章 義弟の淫液
第三章 両刀の媚女
第四章 牙を持つ男たち
第五章 奈落への恥悦
(C)Etsushi Kitayama
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第一章 近親凌辱
1
深夜だった。深夜で、あるはずだった――。
背中にもこもこ、妙な動きを感じ、明日美は目を覚ました。
明日美は右側を下にして寝ていた。背中のほうの布団には、二歳になったばかりの理沙子が寝ている。夫の陽介は、目の前の布団である。
目を覚まし、おや? と明日美は思った。部屋が真っ暗なのである。部屋を真っ暗にして寝る習慣は、ない。天井の照明を絞って寝ることにしている。四十ワットのシリカ電球七個の電灯で、光量無段階調整型のものだが、七個の丸いフードがぼんやり見える程度の明かりにしている。
一年ばかり前のことだったか、夜中にトイレに立った陽介が戻ってきて、明日美の布団に蹴つまづき、危うく理沙子を踏みつぶしそうになったときから、そうなのである。
どうして真っ暗なのかしらと思いながら、明日美は寝返りを打とうとした。もし理沙子がこっちの布団に入ってきているとしたら……と、気をつけて寝返りを打とうとした。
〈あら?……〉
おかしいわと、明日美は思った。何かの気配が背中にあるのだが、どうも足元にもあるようなのである。半分眠っていた頭がさっと冴えた。夫の陽介でないのは明らかだった。
〈光介さん!……〉
客間に寝ているはずの義弟の光介に違いなかった。冴えたと思った頭が本当に冴えた。体を上に向けようとした。光介のことをたしなめようと思ったのである。
上側の左のほっぺたが、ぺたぺたとたたかれた。やさしいたたき方だった。光介が、目を覚ました明日美に、自分だということを知らせたわけである。
明日美は体を固くした。体内にぼうっと炎が発生した。体中がじわーっと熱くなった。
ほっぺたをたたいた手が、あごにかかった。ポニーテールをほどいた髪がよけられた。耳を出され、なぞられた。熱い息がかかった。
「動かないで。理沙子ちゃん、つぶしちゃうから」
早口のささやき声だった。喘ぎ声にも吐息にも聞こえた。が、言おうとしていることは十分に伝わった。
明日美はおなかの上の左手をずらし、光介を押そうとした。脚を押そうと思ったのだが、触ったのはもっと上だった。明らかに勃起したものが、指に触った。ハッとして、すぐ離した。腕を縮め、もとに戻した。
明日美が意識して触ったと、光介は思ったようだった。くいっくいっと、硬いものをヒップに押しつけてきた。明日美は頭を横に振った。声を出すことはできない。四十センチと離れていないところに夫の陽介の顔があるはずである。
あごに乗っていた光介の手が、するりと下がった。肩に触り、パジャマの胸に這った。明日美は縮こめた左手で、左の乳房を押さえた。乳房がもにょりと形を歪め、喉のほうに逃げた。乳首は、指の下だった。それで明日美はそのまま、体をこわばらせていた。
光介の手が、喉のほうに寄った乳房に触ってきた。乳房は乳房であるが、乳首からは程遠いところである。明日美としては、急所に触られた、という意識はなかった。が、光介はそうではなかったようだった。明日美は目を覚ましている。乳房にも触っている。もはや後戻り不能だ。そう思ったのかもしれなかった。
「後ろ、危ないから、じっとしてて」
幼い理沙子をダシにして、光介が指を動かしてきた。カニの歩き方みたいなやり方で、明日美の指の下にくぐろうとしている。
「だめよ。やめて、光介さん」
声には出さなかったが、明日美は乳房を守る指に力を入れ、意思表示した。
しかし、行為を始めた光介は、簡単にはあきらめそうもない。明日美の何倍もの強さでぐいぐい潜り込んでこようとする。光介があきらめるとするなら、兄である陽介が目を覚ましたときか。が、そのときはすべてがおしまいになるんじゃないか。その〃すべて〃が怖く思えた。義弟の光介と縁を切る、ということだけではすまなくなる気がした。
それで明日美は、声を上げることができなかった。夫を起こすことができなかった。といって、許すこともできないのは、言うまでもなかった。
明日美は、布団に落としていた右手を胸に当てた。乳房の厚みと柔らかさに乗じて指をかいくぐりはじめた光介の手を押さえた。が、無理だった。滑るのである。押さえたぐらいでは、侵入をはばむことはできない。
明日美は光介の指をつかんだ。たぶん中指だと思う。その指に人差し指と中指をからめた。薬指の爪が光介のほかの指に当たったのを幸い、立ててキリキリ、力を入れた。
光介の手の動きが止まった。明日美は左手で、乳首を中心にした乳房を、ブラジャーのカップのようにしてしっかり囲った。
「なんで? そんなにムキにならなくてもいいじゃん」
光介が左の耳に口をつけ、言った。陽介を起こすんじゃないかという大きな声だった。
明日美は、光介の指をいましめる指に、さらに力を込めた。ムキとか何とかじゃない。自分たちは義理とはいえ姉と弟、してよいこととそうではないことがある、ということを伝えたつもりだった。
じわーっと、胸の奥が熱くなった。はたして自分には、光介にそんなことを言う権利があるのか、という思いからだった。しかし、今は、そうするしかなかった。
「おっぱいちょっと触らせてくれるだけでいい。そしたらすぐ、あっちに行くから」
ふたりの体の間にある光介の右手が、きゅうくつそうに動いた。ヒップに触った。そのままパジャマのズボンとショーツを脱がしてセックスしてくるんじゃないかと思った。
が、光介の右手はヒップから上に向かった。左のウエスト、脇腹と這った。肩甲骨からまた下に向かった。首の下に入ってきた。首を回って、右肩から前に這い出た。右の乳房をねらっている。
そっちも守らねばならなかった。右手では無理だった。左乳房の中心部をガードしている左手を右に移そうとした。が、そんなことをしたら簡単に、左は攻め落とされるように思った。ためらっている間に、光介の右手が右の乳房をまさぐってきた。
「あ、だめ……」
右腕でかばおうとした。しかしそれはむしろ逆効果だった。腕でぷっくりと、乳房を押し上げる結果になったのだった。
光介の大きな手が、むんにょりと乳房をつかんだ。
「あっ、光介さん!……」
おくればせながら明日美は光介の手を押さえた。カニの足みたいな指の骨と関節が、わずかにたわんだ。
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