北山悦史 美肉狩り
目 次
第1章 自慰妻絶頂
第2章 鏡の淫交
第3章 友達妻を盗む
第4章 姪の愛欲
第5章 淫欲レズ夫人
第6章 右肩上がりの欲望
(C)Etsushi Kitayama
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第1章 自慰妻絶頂
1
午前九時過ぎ。九月の空はアッケラカンに晴れていた。
だが、岩間健一郎の心は今日も暗く沈んでいた。足取りは重い。
(一件でも仕事、取れるかな)
そう思うと気持ちは沈むばかり、足の進みも遅くなる。
まさか自分が、というリストラにあって二週間。辞令が下りた翌日から、右も左もわからない外回りの営業に出た。嫌でも出ざるをえなかった。蹴ればクビが待っているだけの話だ。
外回りの仕事なんて、社会人になって初めてのことだった。大学を出て、都内では中堅どころの大下工務店に入社し、主に総務畑を歩いてきた。四十七歳、部次長で、突然ヒラ待遇のような外回りだ。
しかし、文句を言うこともできないのだとは、わかっている。自分と似たような境遇に陥った男たちを、たくさん知っている。社命を蹴って即日解雇された男も知っている。
解雇ということは、即、家族が路頭に迷うということを意味している。別の仕事がすぐにでも見つかるような状況なら、そもそもリストラなんてない。子供が二人いる。歯を食いしばってでも、会社にしがみついているしかない。
重い足と心を引きずって、健一郎は住宅街に入っていった。こんなに家が並んでいるのに、どうして仕事が取れないのか、とも思う。せめて一日一件ぐらい、取れてもよさそうなものじゃないか。
「外回りの営業を始めて、もう二週間にもなるんだ。それなのにまだ一件の仕事も取ってきてない。これはどういうことだ? まさかどこかで時間をつぶしたりしてるんじゃないだろうな。仕事ゼロの人間を飼っておくほど会社が楽じゃないのは知ってるはずだがな」
ネチネチと説教を垂れた昨日の営業部長の言葉が重くのしかかる。
営業部長の倉田は、健一郎より一年入社が早かった。年も一つ上だ。ほんの二週間前までは同期ぐらいのつきあいをしていた。それが、手のひらを返したように、横柄な態度で叱りつける。
(ひとつ間違えば、立場は逆だったんだぞ。おまえだって、明日はどうなるかわからないんだぞ)
腹の中ではそう毒づいていたが、言葉は返せない。健一郎は屈辱にじっと耐え、情けなさを噛み締めていた。
フーッとため息をつき、健一郎は仕事にかかった。家の増改築はもとより、エクステリア、インテリア、補修から部品交換、会社の収入になる仕事なら何でもいい。
とにかく何でもいいのだから、小さな仕事の一つ二つ、すぐ取れると思ったのが大間違い。ニベもなく断られるのが九割以上。飼い犬に吠えられて玄関までたどり着けないのが残りの一割近くか。
来意を告げるだけで、満足に交渉したことが、まだない。これでは「仕事ゼロ」となじられても、文句の一つも言えなかった。
一軒目、二軒目と、留守。留守でなくても出てこないのかもしれない。今日も昨日の繰り返しかと、もう一つため息をついて、健一郎は三軒目の家に向かった。
ブロックの門に付けられているチャイムを押して、少し待つ。反応なし。再度押した。やはり反応はない。いや、チャイムの音が聞こえてこないようにも思う。
(切ってあるのかな)
健一郎は鉄柵の門扉ごしに中を覗いた。
ごく普通の建売住宅だ。カーポートには、ピカピカに磨き上げた3ナンバーの真っ赤なセダンがある。持ち主は、そんなに年がいっていないだろう。
チャイムの上の花崗岩の表札には、「水橋」とだけ書いてある。新しい表札だ。若夫婦か、最近引っ越してきたか、どちらかだろう。
健一郎は庭に目をやった。車二台ぐらいの広さだ。人工芝がびっしりと敷き詰められていて、よく見かけるタイプの白いテーブルと二脚の椅子が置かれている。庭の周囲には鉢植えとプランター植えの花が咲き乱れているが、地植えの花はいくらもない。
花にはうるさい妻のことをチラッと思い出しながら、健一郎は庭に面した部屋の窓に目を向けた。
レースのカーテンと内側のピンクオレンジのカーテンが引かれているが、健一郎がふとそこに目を向けたのは、カーテンが揺れたように思ったからだった。
窓が少し、開いていた。カーテンが揺れたのは、風を受けたせいらしかった。
(誰かいるのかな)
健一郎は門扉から首を突き出すようにして窓を見た。誰かいるのなら、中に入ってもいいんじゃないかと思った。チャイムは、切ってあるか壊れているかしているのだ。
念のためにと、健一郎はもう一度チャイムを押し、耳をすました。同じだ。音は聞こえない。健一郎は門扉を開けて中に入った。
「ごめんくださーい。こんにちはー」
と、この二週間言いつづけていた言葉は、胸の奥に留めていた。
チャイムが作動しないという大義名分があるにしても、いきなり庭に踏み込んできたことに後ろめたさがあった。その点、まだまだ新米者、ということだったかもしれない。
窓は、十センチぐらい開いていた。カーテンは引かれているが、端に隙間が出来ていて、中を覗くことはできた。
明るい栗色の、いかにも柔らかそうな髪の毛が見えた。
(奥さんだ)
と思ったとき、肩が見えた。
健一郎は飛び上がらんばかりに驚いた。肩は裸だったからだ。顔は見えない。うつむいているようだ。
「ごめんください」の「ご」も言えぬ衝撃を受け、健一郎は首を伸ばした。
裸の腕が見えた。クリームを塗り込めたような色合いだ。そのすぐ脇に、丸々と肉づいた白い乳房が見えた。ういういしいバージンピンクの乳首も見えた。
(は……裸……)
健一郎はワナワナと震えんばかりになって首を伸ばした。
クリームを塗り込めたような白さの肌が、ずうっと下まで見えていく。へそ近くになって、女は顔を上げた。きれいに化粧をした、若い女だった。
が、女の姿は視野から消えた。女が顔を上げた瞬間、健一郎は体を低めていた。今、健一郎の目の前にあるのは、午前の陽光を跳ね返している白い壁だった。
(なんで裸になってるんだ? 座ってたのかな。寝てたのかな。一人だったよな、たしか……)
自問しても、答えが得られるはずもない。もう一度顔を上げたいが、もし中の女がこっちを見たりしてたら……と思うと、動くに動けない気がする。
そんな健一郎に再度部屋を覗くキッカケを与えたのは、中の女の声だった。
「……あ……」
ここの主婦であるだろうその女は、誰が聞いてもソノ声としか考えられない甘くやるせなげな声を漏らしたのだった。
少なくとも上半身裸になっている若い女が、艶めかしい声を漏らしたのだ。男であるなら、このまま逃げ帰ることなどできるわけもなかった。
2
若妻は、白い壁とクリーム色の襖の境の柱に背をもたせかけ、朱色のルージュを引いた唇をゆるめて、うっとりとした表情を見せている。
二十二、三だろうか。四、五にはなっているかもしれない。栗色に染めたミディアムの髪が、やんわりと肩にかかっている。
右腕が、丸々と実った乳房を小さく弾ませてブレている。裸になっていることと、うっとりとした表情、そしてその腕の動きとで、若妻が何をしているか、当然のことに察せられた。
(オナニー……してる……!)
喉が引きつり、ゴクゴクと音を立てそうになった。
しかし、絶対間違いがないか、というと、何ともいえない。悩ましい声を漏らしたとはいっても、若妻は乳房を揉んでいるわけでもない。ブレている右手は、肘の上までしか見えない。
推測が当たっているかどうかを知るためには、首を伸ばして、彼女の下半身がどうなっているかを見るしかなかった。
若妻は目をつぶっているか、半眼だ。目と目が合う危険が十分にあったが、健一郎は欲求に打ち克ちがたく、そろりそろりと首を伸ばしていった。
もってりとした肉づきの右手が、肘から手首まで見えた。二の腕のブレは小さいものだったが、手首の動きはけっこう大きい。左右に、小刻みに振動している。
(やっ……やってる……)
喉が、ゴクゴクと鳴った。ない生唾を、必死に飲み込もうとしている。
若妻が自慰をしていることは、もう確実だ。一目瞭然といってもいい。しかし、まだ、決定的な行為を目撃したわけではない。
あと一センチ、首を伸ばせばいい。それはわかっている。が、最後の決断が、いまひとつ、つかない。なにかしら、あまりに怖いことのように思える。
そんな健一郎の背中を押すように、若妻が新たな動きを見せた。それまでだらりと垂れていた左手が胸に這い上がり、右腕に小さく弾ませられている右の乳房を、やんわりと手のひらにおさめたのだった。
(ああ、すごい……)
健一郎は、めまいのする歓びに撃たれた。
アダルトビデオやストリップじゃないのだ。生身の若妻が、誰にも見られていないと思って、秘密の行為をこっそりとやっている。
若妻は、バージンピンクの乳首を右に左にひしゃげさせ、肉づき豊かな白い乳房をやさしく柔らかく揉みしだいた。しどけなくゆるんでいた朱色の唇は、暗い空洞を見せて大きく開かれている。
「あ、あ……」
その口が、切なげな声を上げた。上の門歯が、キラリと光った。桜色の舌先が妖しくくねるのも、見えた。
はあ、はあ、はあと、大きな吐息が聞こえた。健一郎自身の吐く息だった。健一郎はハッとして口を閉じた。胸の奥で、封じ込められた吐息が嵐のように反響している。
もはや一刻の猶予もならない熱い思いに健一郎は衝き動かされた。ぐうーっと、首を伸ばした。
若妻の全容が目に入った。
輝く白い肉体をした若妻は、漆黒の秘毛が盛り上がっている恥部で右手を稼動させていた。
両脚は、狭いVの字に伸ばしている。が、むっちりと肉の乗った太腿は、ほとんど接するぐらいの状態だ。その内腿のどん詰まりに右手の指が差し込まれ、細やかな振動を繰り返している。
(うう、オ……オナニー……)
まさか今日の今日まで、女の自慰を見ることになるなど思ってもみなかった健一郎は、それを目の当たりにした今、窓の隙間から顔を突き出さんばかりにして見入った。
秘毛に潜っているのは三本の指だった。人差し指と中指と薬指だ。が、〃仕事〃をしているのは中指一本のように思われる。人差し指と薬指は、ただ添えられているだけのようだ。
もっさりとした恥毛を毛羽立たせ、半分しか見えない中指は、さかんに横ブレしている。ぬちぬち……という淫らな音が聞こえてきそうな気もするが、それは健一郎の勝手な思い込みかもしれない。
「はああ……」
甘い声を上げ、若妻はぐぐぐ……っと顔をのけぞらせた。柱にもたれかかっていた体が畳を滑った。狭いV字だった両脚が、脱ぎ散らかされている服や下着を押しやって開脚を広くした。
広くなったのは、股間も同様だった。むちむちと柔肉の詰まった内腿が奥まりをさらし、中指が刺激を与えている個所を、ほぼ、あばき見せた。
白い肌に漆黒に映える秘毛は、上にだけ豊かで、中指の先が恥肉に埋まっているところは、すでに恥毛は途切れていた。
中指の先が快楽の刺激を与えつづけているところが、はっきりと見えた。妖しく蠕動している桃色の恥芯の上部、恥芯よりも色が薄い、つやつやとした肉のうねだった。
(クリトリス……やってるんだ……)
喉の粘膜に焼けつくような渇きを意識しながら健一郎は思った。
健一郎がそう思ったまさにそのとき、健一郎の問いに答えでもするかのように若妻が口走った。
「いい……ここ……クリトリス……」
右手指の動きが荒くなった。腕も肩も大きく振動した。若妻の体はずるずると畳を滑り、首を深く曲げて柱にあずけるだけになった。
若妻はわずらわしそうな顔つきをして頭を振った。体がずれ、若妻は畳にすっかり寝る格好になった。
今、裸の脚を大きく開いた若妻は、恥じらいの個所を健一郎にまともに見せつけている。
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