官能小説販売サイト 矢切隆之 『令嬢秘書 白い縄奴隷』
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矢切隆之    令嬢秘書 白い縄奴隷

目 次
プロローグ
第一章 女体を暴く
第二章 女体をむし
第三章 女体をけが
第四章 女体を犯す
第五章 女体を慕う
第六章 女体をなぶ
エピローグ

(C)Takayuki Yagiri

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   プロローグ

「ほほう、いい女じゃないか」
 ソファの上の鬼源の頬がゆるんだ。
 ここは赤坂にある鬼源の事務所だが、まさか広域暴力団鬼源組を名乗るわけにはいかないので、「共和建設」の看板が掛けられている。そこにたった今、手下の手で、ビデオが届けられたばかりだった。
 そのビデオは某テレビ局が放映したもので、タイトルは「バブルの帝王――美人秘書が語る光と影」。鬼源がディレクターを通じて手に入れたものだ。
 彼はテレビに映し出された画面を観ながら、頭がくらっとなった。
 太平洋不動産社長・滝本耕作の女秘書・杉森彩子とは一度だけ会ったことがあるが、あらためて見るとその美貌に圧倒された。背まで垂れたロングヘア、ほっそりした首筋、知性と教養を感じさせる眸。
 さらに、優雅にくびれた肢体が堪らない。
 画面を観ながら、鬼源は情婦・マリーのワンピースの裾をめくった。新宿のクラブで拾ったタイ女で、痩せぎすの肢体はなかなかに官能的だ。
「いや、親分、やめて」
 マリーが片言の日本語でいうと、鬼源が北叟笑んだ。
「ビデオを見ろ――へへっ、この女が俺の物になる。そうなれば、おまえみたいなアバズレはお払い箱だ」
 鬼源はそういうと、情婦の尻を撫であげた。白い太腿が、真紅のワンピースの裾から現れる。
 股間に密着した黒の下着から、なまなましい淫臭が洩れ出してきた。
 テレビに映った美人秘書の花びらのような唇が開いた。
 ――はい。今回の住専問題で国会に証人喚問されたとしても、社長は決して、逃げ隠れするような卑怯な人ではございません。ですから、私どもはこのようにいつもと変わらずにお仕事をしておりますの。
 情婦・マリーの肉感的な臀部を撫でながら、彼の目は、画面に映った美人秘書のふっくらした胸に釘付けになった。
 白いスーツの下のブラウスの胸がこんもりしている。
 アナウンサーがマイクを突きつけると、いかにも有能な秘書らしく、彼女は毅然として繰り返した。
「社長は『タイム』誌にも取り上げられた実業家です。今回の問題に関してきっぱりと責任をとってくれると信じておりますわ」
 鬼源は彼女の真剣な眼差しを見つめ、惚れ直してしまった。
 凜とした美人で、しかもいくら秘書とはいえ、必死に社長を庇っている――このような女にお目にかかることがとんと無くなった御時世だった。
 その時、事務所のドアがノックされる音が聞こえた。
 情婦をソファに寝かせ、鬼源が立ち上がって施錠を外した。
 入ってきたのは、代議士秘書の大山啓介だった。
「おや、お楽しみ中でしたか」
 大山の言葉に、鬼源がにんまりした。
「いや、いいんだ。それにしても、いまビデオを観てたんだが、滝本社長の秘書はしばらく見ないうち、いっそう美人になったな」
 鬼源の言葉に、大山が頬をゆるませる。
「いやにお気に召したような口振りですな」
 テレビ画面には、アナウンサーの質問に答える美人秘書の端整な横顔が映っている。横目で画面を観ながら鬼源がいった。
「気に入ったな。で、いつ誘拐してくる?」
「慌てずに待っていてください。でも、ここに連れて来るのは目立つので、横浜の屋敷に運びましょうか」
「ああ、そうしてくれ」
 近いうちに美貌の女秘書が運ばれてくるばかりではない。とてつもない大金がごっそり転がりこむことになるかもしれない。
 鬼源の眸が、野望と肉欲でギラギラと輝いてきた。


 第一章 女体を暴く

     1

 東京銀座にある太平洋不動産の本社ビルは、銀座八丁目交差点から脇道に入った地点にある。都心の一等地であり、町の不動産屋を一代でここまで発展させた滝本耕作社長は、経済雑誌で英雄のように扱われたこともあった。
 最近の彼は、テレビに登場した。
 といっても、ワイドショーなどの派手な番組ではなく、国会中継だった。バブルがはじけ、住専の不良債権問題の糾明がなされるなか、大口借り手である太平洋不動産の滝本社長が、国会に喚問されたのだった。太平洋不動産が、住専である「そうたく」から借り入れた金額は五百五十億円を超していた。
 脂ぎった短躯。短く刈り込まれた白い髪。
 喚問のとき、ギラギラした滝本の眸が、国会の中を睥睨した。
 滝本は傲慢ともいえる表情を決して崩さなかった。彼の口振りには、「綜宅」を手玉にとった自信が漲っていた。
 滝本社長と「綜宅」との癒着はすでに十年を越していた。
 大蔵省の天下りで「綜宅」会長に就任した高柳源太郎は無類の美術愛好家だった。そこに目をつけた滝本は、フランスの絵画オークションでせり落としたいくつかの名画を贈呈した。
 ゴッホ、シャガール、マグリットという名画が、滝本の手から高柳会長の手元に渡った。それらの絵画と引き換えに「綜宅」から太平洋不動産に、殆ど無担保融資の形で湯水のように資金が流れた。
 時まさにバブル全盛期だった。それらの資金を運用し、太平洋不動産は躍進した。いまでは都内だけでも、数十におよぶ子会社を保持している。
 きらびやかな銀座の街を見下ろすかのような、見晴らしのいい十二階の社長室と秘書室が隣りあっていた。
 社長室のドアがノックされた。
「どうぞ……」
 すっとドアが開いた。
 社長秘書の杉森彩子が姿を現した。ファッションモデルにしてもおかしくないほど抜群のスタイルだった。
「失礼します……」
 メモを手にした彩子が、ドアを閉めた。
 色白で、眸の大きな美人だ。
 まだ二十三歳だが、有名大の英文科を出ただけに、知的な印象があり、ツンと澄ました顔にも見える。だが、よく見るとぽっちゃりした頬には、女らしい清楚な色気が感じられた。
 おでこにカールした黒髪。白くて長い首すじが官能的だ。
 ほっそりした躯つきだが、胸と腰には適度に肉がついている。ライトブルーのタイトスカート。黒のパンプス。小柄だが顔が小さく、プロポーションは均整がとれており、スカートの裾からのぞく脚の線はすらりと伸びて美しい。
 白いブラウスにつつまれた胸の脹らみも魅力的だ。
「大山君はまだか」
 ゴルフクラブを手に、社長の滝本耕作が不安そうに振り向いていった。その表情には、険しい色が浮かんでいた。
「はい、たったいま、来られないと――連絡がありましたので」
「来られない? どうしてわしに電話を回さなかった」
 滝本の口許が不機嫌そうに歪んだ。
「むろん、そうするつもりでした。でも、大山さんが社長に、言づけだけして欲しいと――それが奇妙な暗号のような言葉なのです……。いま読みます」
 彩子が走り書きしたメモを読んだ。
「いいですか――もうカメのところには戻らない。オニが欲しがるものを、オニにやる――わかりますか、社長」
 滝本のクラブを握った手が震えた。
「オニだと?」
「はい。オニって、あの節分の鬼なのでしょうか」
 滝本の顔が、その言葉を聞いた途端にこわばった。
「畜生! あいつ裏切ったな」
 滝本がよろよろと腰をふらつかせ、椅子に腰を下ろしたので、彩子の方がびっくりした。
 ここ数日で、滝本はげっそりしてしまった。
 裏切った――その言葉は只事ではない。
 それにしても、滝本社長の落胆ぶりは目に余った。
「きみ、亀岡先生に至急、連絡を入れてくれ」
 滝本の指示を受け、彩子がデスクの電話機を掴んだ。
 ふるえる指でプッシュホンを押した。
 議員会館につながったが、亀岡信太郎代議士は不在だった。女性秘書が戻る時間はわからないことを告げた。
「社長、亀岡先生はお留守ですわ」
 その言葉に、滝本の顔がひきつった。
「畜生!……」
 興奮して、滝本が膝の上の拳をにぎりしめた。こんどは、滝本の顔が本物の鬼のように真っ赤になった。
 
 
 
 
〜〜『令嬢秘書 白い縄奴隷』(矢切隆之)〜〜
 
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