官能小説販売サイト 横溝美晶 『淫導・女学園』
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横溝美晶    淫導・女学園

目 次
第1章 女子高生娼婦
第2章 美人理事長
第3章 女体快楽尋問
第4章 美少女使い
第5章 秘密クラブ
第6章 復讐の報酬

(C)Yoshiaki Yokomizo

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 第1章 女子高生娼婦

     1

 電話を一本入れておいた。
 笹目祐司がしたのは、たったそれだけのことだった。
 紹介してくれた大崎は、自慢げに語っていたとおり、かなりの顔だったようだ。
 笹目自身も、大崎からむこうに話がいっていたらしく、上客になりそうだと判断されたのだろう。
「それでは、明後日の夕方、もう一度お電話してくださいませ」
 女の声が静かに告げて、それで予約完了だった。
 簡単なものだった。
 そば屋に出前を頼むのと、なにも変わらない。
 実際、システムは出前とおなじだった。
 しかし、配達の先は自宅ではなく、シティ・ホテルの一室だった。
 ホテルまでは指定しないが、都心にあるシティ・ホテルのスイート・ルームをというのが、むこうの条件だった。
 スイート・ルームといえば、安いほうの部屋でも、ふつうのツウィンの二倍から三倍の料金を取られる。
 そのツウィンの料金でさえ、もともと安いわけではないのだ。
 部屋代だけでも、かなりの出費になる。
 どうやら、それも客を選別するふるいになっているようだった。
 部屋代をけちるような客は、はじめからお呼びでないというわけだ。
(強気の商売をするもんだ……)
 話を聞かされたときには、笹目も、あきれたものだった。
 それでも、電話をかけてしまったというのは、それだけの価値を認めたからこそだった。
 なにしろ、出前の品が決定的にちがう。
 俗に〈食う〉などと言ったりするが、店屋物ではなかった。
 女だった。
 しかし、それだけなら、いまどきめずらしくもない。
 笹目が紹介されたのは、少女ばかりを集めているという売春クラブだった。
 その少女というのは、正真正銘の女子高生なのだという。
 しかも、都内の有名な私立校に通っている、美少女ばかりを集めているという話だった。
 客が依頼するときには、好みのタイプのほかに、学校名までも指定することができる。
 私立校のブランド・イメージを利用しようというのか、客の学歴コンプレックスを刺激しようというのか、とにかくいい宣伝になることはまちがいなさそうだった。
 笹目にしてからが、高い料金をものともせず、まんまと乗ってしまったのだ。
 とくに少女が好みなわけではない。
 興味を持ったのは、私立の女子校に通わせている娘がいるからだった。
 娘はふたりいる。
 上の子が高校二年の、十七歳。
 下の子が中学二年の、十四歳。
 まだ十四の下の娘でさえ、胸のふくらみなど、父親の笹目が見ても、ドキリとさせられるほど大きく育っている。
 十七の上の娘など、身体つきは一人前の女と変わらなくなっている。
 夏休み、家族で出かけた旅行先で眼にした水着姿など、笹目のほうが眼のやり場に困るほどだった。
 ビールのテレビ・コマーシャルやポスターで、きわどいビキニの水着を着て、ジョッキ片手にほほえんでいるキャンペーン・ギャルさながらだった。
 ものわかりのいい父親を任じている笹目でさえ、娘たちの伸びやかな肢体には、不安をおぼえざるをえなかった。
 ふだんは妻にまかせきりで、気にとめたこともない、娘たちの私生活にまで気がまわった。
 友達と遊びに行くと言って出かけることが多いが、どこで、なにをして遊んでいるのか。
 ボーイ・フレンドはいるのか。
 いるとして、どんなつきあいをしているのか。
 同級生の家に泊まると言って、家を空けることがあるが、それは本当のことなのか。
 まだ処女なのか。
 もう経験してしまっているのか。
 胸の底に湧きあがってくるのは、娘たちにはもちろん、妻にだって、たずねることなどできない質問ばかりだった。
 疑惑、と言ってもいい。
 不安を感じ、疑惑を抱かざるをえないのは、笹目自身が、娘たちに女としての魅力を認めている証拠だった。
 身近にいて、その肢体を眼にすることはできる。
 しかし、その身体のすべては眼にすることができない。
 おなじ屋根の下に暮らしながら、その身体に触れることはできない。
 それなのに、この世のなかでいちばん娘たちを愛している笹目に決してできないことを、あかの他人にすぎない男たちは、だれに非難されることもなくできるのだ。
 あたりまえのことだった。
 しかし、リゾート・ホテルのプール・サイドで、真夏の強烈な陽射しを浴びながらまどろんでいると、そのあたりまえのことが理不尽にさえ思えてきた。
 自分が手を出せないからこそ、笹目は、嫉妬をおぼえた。
 嫉妬の裏側には、生々しい欲望がひそんでいる。
 陽焼けあとの火照りのように、危険な欲望が笹目の身体を熱くさせた。
 無視しなくてはならない欲望だった。
 しかし、ことさらに眼をそむけるせいで、なおさらその欲望は意識に触れてきた。
 短いバカンスが終わり、笹目も日常にもどり、そのうちに娘たちも学校がはじまった。
 すぐに、陽焼けは落ちつき、激しい感情も消えていった。
(夏の陽射しは、若者だけでなく、中年男まで昂ぶらせるらしい……)
 笹目は、おとなびた肢体をセーラー服に隠して、学校へ通う娘たちの姿に、夏を思い出して苦笑した。
 欲望の記憶だけが、胸の奥底に残った。
 
 
 
 
〜〜『淫導・女学園』(横溝美晶)〜〜
 
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