官能小説販売サイト 二階堂修一郎 『新芦屋夫人』
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二階堂修一郎  新芦屋夫人

目 次
さま、そんなこと……
恥態を晒す男と女
牝猫の淫舌
禁じられた肉の悦び
アヌスの甘い痺れ
悦楽の地獄へ

(C)Shuichiro Nikaido

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   おさま、そんなこと……

     1

 いかにもやしきにふさわしい大きな門から、漆黒のベンツがすべるように出ていく。後部座席には、夫である花井哲夫が腰を沈めて朝刊に眼を通している。
 佳代子は、車が坂道をくだりすっかり見えなくなってしまうまでそれを見送ってから、おもむろに門を閉める。それが彼女の毎朝の日課であり役目であった。
 邸には、佳代子たち夫婦に、哲夫の父、花井哲太郎が同居している――というより、佳代子たちが同居させてもらっているというほうが正確だ。
 この日、義父、哲太郎は、東京へ出張していなかった。お手伝いは、佳代子がきてからは午後からにしてもらっているから、つまり正午まではこの邸には佳代子ひとりだけなのであった。
 佳代子は、朝食の後片づけをすませると、大きく溜息をついた。これからお手伝いがくるまで、いや、きてからだって、とりたててしなければならないことは何もないのだ。平安が退屈であることを佳代子はしみじみと実感していた。
「さて、何をしようかしら」
 とつぶやいてから、ふと、風呂にはいろうと思いついたのである。
(そうだ、それがいいわ)
 輿こしれしてきて以来、朝風呂というのはいちどもしたことがない。昨夜のテレビでやっていた温泉番組がそんな気にさせたのに違いなかった。
 いつも自分たちの使っているバスに湯をいれかけてやめ、二階へあがった。二階には、義父の寝室と書斎、そして、ふたつのゲストルームがある。
 佳代子はそのうちのひとつのドアを開けた。部屋は白に統一されていて無駄な装飾は省かれている。バス・トイレがそれぞれについていて、まさにホテルにでもきたような感じであった。
(いい感じだわ)
 佳代子がゲストルームにはいることはほとんどないから、よけい新鮮に感じられるのだ。
 ムードは満点といってよかった。きわめてシンプルな部屋の造りが、選びぬかれた数少ない高級な調度を、より際立たせているのだ。
 バスに湯をいれている間、しばらく部屋のムードにひたっていた佳代子は、うっとりしながらスカートのフックをはずし、舞うように服を脱いでいく。
 下着だけになる。ブラジャーもパンティもまだ処女の頃の面影を残したような純白である。
 ブラジャーを取る。すると、そのとたんに張りのある美しい乳房が、ぷりんと顔を出した。そしてそこに可憐に息づく乳首が、いまだピンク色を残して、小ぶりのままいじわるそうにちょこんとのっている。
 抜群のプロポーションといっても過言ではない。
 一六四センチと、女としてはいくぶん長身のからだには、無駄な肉などどこを探しても見あたらない。着痩せするタイプなのだろう、服を着ている時は痩せてさえ見うけられるのに、ひとたび裸になると、まったく別人のように感じられる。
 佳代子は、全身が写る大きな姿見で、自分の裸身を真横から眺めてみた。
 豊かな乳房は、アンダーからトップにかけて、グッとせり出すように隆起している。そのために、ピンクの可愛らしい乳首は自然と上を向いているのだ。そして、ぎゅっと哀れなほどにくびれた腰から続くヒップラインは、急すぎるカーブを描いている。
 佳代子は、自分の裸体にしばらく見入ったあと、窓のカーテンに目をやると、その急カーブにやっとひっかかっているビキニパンティを腰をくねらせながら、するするっと脱いでいった。
 ふっくらとした秘丘に黒々と萠える若草が現われた。逆三角形のわりと長目の飾り毛は、パンティに押さえつけられていたために、はりついたようになっている。邸内にひとりきりなのに、佳代子は、脱いだ下着をたたんでスカートの下に置くと、恥ずかしそうな仕草でバスルームに入っていった。

     2

 湯のなかに黒い若草が揺らぐ姿はたまらなくエロチックであった。自分自身でそんなふうに感じることは、滅多にないことだった。だが、佳代子はさらに、その黒い縮れ草を押さえつけるようにしながら、その下の重なり合う肉の裂け目へと指をのばしていくのだった。
 ゆっくりと、いとおしむように微妙な肉を揉みあげ、時折指を立てては、秘裂をなぞっていく。
「ああ……」
 甘い息がすでに洩れていた。
 しなやかな指は、小さな肉の突起をさぐりあてている。軽く押さえ込むようにして小さな円を描いていくと、下半身から次第に甘いうずきが広がっていく。
「あんっ」
 ひくっと細い腰がしなり、わずかにのけぞってから佳代子は正気に戻るのだった。
「いけないわ、こんなこと……」
 紅潮していた顔は、女性週刊誌で見たオナニーという言葉を思いださせてますます真っ赤になっていた。
ねえ、あたしって、変なことして)
 自分にいいきかせながら二十七歳の人妻は、バスタブから出ると、そよぐようにして花弁の表裏を洗いはじめた。
 朝風呂を堪能して佳代子はバスルームを出た。
 ふたたび鏡の前に立ち、豊かな乳房から、バスタオルで丁寧に体を拭きはじめた。
 よく脂ののった太腿からふくらはぎ、そしてまた柔らかな内腿を拭いたタオルを、濡れた縮れ草にあてがった時、佳代子は、先程のバスルームでの淫らな行為を思い出し、一瞬その手を止めた。
 
 
 
 
〜〜『新芦屋夫人』(二階堂修一郎)〜〜
 
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