園 ひとみ 蜜の寝室
目 次
一章 初めてのエクスタシー
二章 バイブで犯して
三章 エッチ電話に濡れて
四章 覗かれたレズ・プレイ
五章 巨根体験
六章 夫の部下に犯されて
(C)Hitomi Sono
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一章 初めてのエクスタシー
1
テレビをつけながら、悦子は雑誌をめくっていた。
テレビは歌謡番組をやっている。
好きな歌手の時だけ、雑誌から顔を上げ、テレビの画面に目を向ける。
ふと、悦子は壁にかかった時計を見た。
夜の八時過ぎである。
夫の哲郎が帰宅するのが、待ち遠しくてたまらない。
恋人同士のころの、デートの待ち合わせの時のような気分だった。
けれども、デートの時と違って、楽しいひとときを過ごした後、別れる寂しさがない。
一晩中、一緒にいられるのだし、朝、目が覚めれば、隣に愛する夫がいる。結婚て、何て幸せな素晴らしいことだろうと、しみじみ思う。
悦子は、二十三歳になったばかりだ。
中島哲郎と結婚して、まだ三カ月。新婚ホヤホヤである。
テレビをチラッと見てから、悦子はふたたび雑誌に目を戻した。
その雑誌は、二十代の女性向けの月刊誌で、ファッションやメイクや料理の記事の他に、性に関する記事が必ず載っている。
結婚前は、芸能人のスキャンダルなどが載っている週刊誌をよく読んだが、結婚後は性に関する記事に興味を持つようになった。
もちろん独身のころだって関心はあった。
哲郎と週一度ぐらいは、ラブホテルへ行っていた。
結婚してからは、愛の交わりをするチャンスは毎日ある。
といっても、毎晩、行なうわけではなかった。
週に四、五回といったペースだ。
そのせいか、このごろ悦子は、人に知られたら恥ずかしいと思うくらい、セックスのことで頭がいっぱいなのだ。
家事はだいぶ慣れたし、同じマンションに住んでいる親しい奥さんもできた。
哲郎は相変らず、やさしいし、不満らしい不満は一つもない。
そのため悦子は、退屈な時間を、いや、家事をしながらでさえ、セックスのことばかり考えている自分が、時々恥ずかしくなる。
《乳房の愛され方》
《男性器への口唇テクニック》
《甘美な相互愛撫》
そんなタイトルの、図解入りの記事を熱心に読んでいるうち、悦子は身体がモヤモヤとしてきた。
その時、玄関のチャイムが鳴った。
悦子は雑誌を開いたままテーブルに置き、急いで玄関へ走っていった。
ロックをはずして、ドアを開ける。
「お帰りなさい」
「ただいま。僕の悦ちゃん」
「うふん」
甘く含み笑いながら悦子は、夫の首に両腕を巻きつけた。唇が自然に合わさる。
「お酒飲んで来たのね」
悦子は唇を離して、彼を軽く睨んだ。
「うん。だけど、九時までにちゃんと帰って来ただろう?」
「飲まなければ、もっと早く帰れたんでしょう」
「取引先と打ち合わせがあったんだ」
仕事なら、仕方ない。そうとわかっていて、悦子は拗ねてみせた。
スリッパに履きかえながら、哲郎が悦子のセーターの胸のふくらみを撫でた。豊かに盛り上がった悦子の乳房を、哲郎は大好きなのである。
「僕がいない間、寂しかったかい?」
「もちろんよ。ねえ、あなた、お風呂に入る?」
「うん、ちょっと夕刊読んでから。そんなに急かさないで、新婚奥さん」
哲郎はニヤリと笑った。悦子が、一刻も早くベッドで愛し合うのを、催促していると思っているのだ。
悦子はキッチンへ行って、冷えたミネラルウォーターをコップに入れてリビングへ運んだ。
ソファに腰を下ろした哲郎が、ネクタイをゆるめ、夕刊を手にしながら、テーブルの上の雑誌に目を止めた。
「お、すごいの読んでるな」
さっきのページが開いたままなのだ。
「だめよ、こんなの見ちゃ」
「研究してたのかい? 男性器への口唇テクニック……甘美な相互愛撫」
「いじわる」
悦子は雑誌を閉じて、マガジンラックにしまった。
それから浴室へ行って、湯加減を確かめる。少しさめてしまったので、熱湯を出した。
リビングに戻ると、哲郎は煙草をくゆらしながら、夕刊を読んでいる。
(早くお風呂に入って、ベッドへ行きたいのに……)
と悦子は、少し不満だった。
男性って、どうして新聞やニュースが好きなのかしら……。
結婚してからの日常生活で、悦子は、男と女の違いをつくづく感じる。
「あたしより、新聞のほうが好きなのね」
部屋のドアに寄りかかって、悦子は拗ねて言った。
「そんなこと、ないさ。ちょっと、待って」
と、記事に目を走らせながら、気のないような哲郎の返事。
「あたし、先にお風呂に入っているわ」
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