官能小説販売サイト 北山悦史 『禁猟区 若妻の滴り』
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北山悦史    禁猟区 若妻の滴り

目 次
他人妻の味見
若妻の滴り
犯されよがり
若妻・甘い受難
恥悦の報償
緑陰の凌辱
貢戯の悦楽
淫咬ウグイス嬢
甘すぎる罪
灼熱の淫液

(C)Etsushi Kitayama

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   他人妻の味見

     1

 午後三時、佐伯秀之が日曜出勤から戻って集まりのある大塚家に行ったとき、すでに宴はたけなわだった。
 今日の二時から始めるということは、二週間も前から決めてあった。急な仕事が入ったのが昨日のこと。二時ぐらいには戻れるだろうと、予定どおり飲み会を開くことにしてあったのだった。
「かけつけ何杯とか言うでしょ? はい、ドーゾ。お仕事、ご苦労さまでした」
 バラみたいに顔を赤くした大塚早苗がすかさずビールをついでくれた。
「こっちも冷えてますよー。キーン、て」
 と言って、赤いダリアみたいな顔をした長浜晴美が日本酒をついでくれる。
「まあまあ、とりあえずイッパイ」
 と、酔った男たちも焼酎のオンザロックやらチューハイやらを作ってくれたりする。十分たつかどうかで、秀之はみんなに負けないぐらい顔を赤くしていた。
 秀之たち夫婦、大塚良平と妻の早苗、長浜公彦と妻の晴美、三組の夫婦の飲み会だった。去年までは、三家族、だったが、秀之の息子の大介が中学に上がり、親についてくることが少なくなってから、構成が崩れだした。
 良平たちの娘の智奈美と公彦たちの息子の俊也はまだ小学生で、行動をともにすることが多い。今日も、大介は友達とどこかに出かけた。智奈美と俊也は二階でテレビゲームをしているらしい。
(いよいよ大人だけの集まりになるのかあ)
 一息ついた気分になった秀之は、何かいつもと違うことに気づいた。秀之が来るなりビールをついでくれたこの家の主婦早苗は、秀之に寄り添うように座っている。秀之の妻の麻希は長浜公彦とくっつくようにしているし、この家の主人の良平は、それならばということか、晴美と仲よく並んでいる。
「なんかそっちの人たち、いやに仲がいいんじゃないか?」
 秀之は早苗の赤い顔を覗き込み、言った。
「そうなのよお。なんか今日は子供たちが一緒にいないせいか、みんなしていちゃいちゃしてるの。秀之さんが来るまで、あたし一人で淋しかったのよお」
 と早苗は、冗談とも本気ともつかない言い方をした。言われた向こうの四人は別に悪びれた様子もなく、睦まじく飲んでいる。
 子供たちが大きくなってきたから、自分たちのつきあい方もそろそろ変わってくる時期かな、とは、秀之も思っていた。
 今はみんな一戸建ての家に住んでいるが、前は同じ団地に住んでいて、その知り合いだ。大介が幼稚園に上がった頃からのつきあいだから七、八年にはなるか。
 今やみんな中年の仲間入りだ。秀之は四十二歳でダントツに年をくっている。あとの五人は三十五歳から三十九歳までの間にかたまっている。秀之が最年長ということもあり、何かのときの号令掛けは秀之の仕事だった。みんな、秀之の号令で動くことを心地よくも思っているらしい。そんな関係だ。
「だけど、これは、もともとは麻希ちゃんの言ったことが原因なのよ? ねえ」
 良平とくっついている晴美がそう言ってみんなを見渡し、クスッと笑った。早苗を含めほかのみんなも笑ったが、秀之の妻の麻希だけは「あれは冗談よおー」と言って、酔いで赤らんだ顔をいっそう赤らめ、秀之の顔をチラッと見てうつむいた。
 テーブルに並んだ刺身を指差したりしながらそれを秀之に話したのは、この家の主人、良平だった。
 麻希のアソコの味は、周期的に変わる。生理が近くなるとマグロの赤身の味がする。生理前日ぐらいになるとトロ味になる。生理中はわからないが、終わった時点では脂の乗ったハマチ、それから一週間ぐらいするとしゅんのカツオ。だから、マグロ味のときは安全日で、カツオになると危険日、ということになる。ハマチも気をつけたほうがいい――。
「ウソよお。冗談だってばあ。ただうちのヒトがそう言ってるだけなんだからあ」
 顔の前でひらひらと手を振って否定する麻希に、寄り添っている公彦が、
「そりゃあ、麻希ちゃんが自分のアソコの味、わかるわけもないからなあ」
 と笑って言い、全員がドーッと笑った。秀之も笑い声を合わせた。どんな状況で麻希がそのことをしゃべったか知らないが、それは事実だからだった。
 秀之は〃特殊能力〃と自負していることがいくつかあるが、味と匂いに関しても一家言持っている。
 気心の知れたグループ。今は子供もいない。アソコの味の話がきっかけとなって、勢いソノ方面にのめり込んでいくのは、必然ともいえた。

     2

「うちのカミさんの秘密、知られたからには、よその奥さんの秘密も知らなくちゃなあ」
 秀之はそばの早苗のふくよかな肩を肩で押し、にらんで言った。早苗は、三人の女の中ではとびきり豊満な体をしている。秀之の妻の麻希が中肉中背、晴美がどちらかというときゃしゃだから、相当に目立つ。自分では「おでぶちゃんおでぶちゃん」と言っているし、夫の良平もそう言っている。
 その良平が華奢な晴美と仲睦まじくしてるのは、秀之には十分に理解できた。結婚当初はともかく、十年も夫婦をやってくれば、隣の芝生がよく見えたりするものだ。
 秀之はもうずっと前から、早苗みたいなタイプが好きだと、麻希には言ってきた。麻希がみんなにそのことを言うので、秀之が早苗に「ほ」の字というのは、公然の事実となっている。
「あたしはやーですよ。イチぬーけた」
 
 
 
 
〜〜『禁猟区 若妻の滴り』(北山悦史)〜〜
 
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