北山悦史 蜜欲 天使の美唇
目 次
桃蜜の誘惑
恥宴のうねり妻
自慰会蜜戯
嵌められてコンビニ
天使の美唇
甘肉リセット
欲深な生肉
真夏の激ショット
口淫、矢のごとし
白濁二メートル
(C)Etsushi Kitayama
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桃蜜の誘惑
1
よく晴れた日曜の昼少し前だった。
大盛明彦は、一階のテラスの椅子でボケーッとしていた。
昨日の土曜もいつものように一時間半かけて出勤し、帰宅したのもやはりいつもとさして変わらぬ午後十一時過ぎ。
食品・飲料品を主に扱う、まあ、中クラス、もう少し厳密にいえば中の下クラスの商社で、経理をやっている。一応は、課長の肩書きだ。何人も部下はいないが。
押し寄せる不況の嵐に、明彦の会社でも希望退職者が募られた。明彦は会社にしがみついた。四十五歳、今、嵐の中に投げ出されたら、立ち上がることができない。
部課長クラスでやめていったものも何人かいるが、より多く退社していったのは若い人材だった。ここにいてもしょうがないと、見切りをつけてのものだ。
それで明彦は、どっと仕事が増えることになった。課長もクソもない。
得意でもないパソコンに、日がな一日向かっている。毎日ヘロヘロになって帰宅する。降りる駅近くになるまでめったに座れない電車に一時間半揺られてだ。
今日は実に久しぶりの休日だった。先週の日曜は、休みは休みだったが、午前中から妻のお供で出かけ、園芸店やら植木センターやらを何カ所もハシゴし、帰ってきたのはもう暗くなってから。普段よりもずっと疲れたぐらいだった。
このところ、妻はガーデニングにのめりこんでいる。本当は今日も妻のお供をしなければならないところだったのだが、なにとぞ一日の休暇を、と明彦は手を合わせんばかりにして頼み、許してもらった。
九時半ごろだったか、妻は入念に化粧をして車で出かけていった。不機嫌でプリプリとした様子が濃厚に漂っていたので、当たらず触らずと、明彦はそっと見送った。
高一の娘と中二の娘は、妻よりも早く、それぞれ部活に出かけた。上の娘はバスケをやっている。下の娘は剣道だ。日曜ぐらい休めばいいものをと明彦は思うが、別に苦でもないらしい。
明彦には外出する予定はもちろんなかったが、妻が車を使ったので、完全に留守番ということになった。茨城と千葉、両県境に近い取手市郊外の新興住宅地。家からバス停まで十五分も歩く。駅前の繁華街までバスで二十五分だ。
その繁華街まで、一軒のパチンコ屋、二軒のファミリーレストラン、一軒の郊外型書店、一軒のガソリンスタンドを除き、めぼしいものは何もない。道路だけは立派だが、まわりは昔風の景色が広がっている。
明彦がテラスでボケーッと庭を見ていたのには、ワケがあった。実のところは、庭を通り越して、ゴールドクレストの垣根越しに、お隣さんを見たかったのだ。
もっとはっきり言うと、お隣の若奥さんを見たいと思っていたのだ。妻には口が裂けたって言えないことだが、その〃予定〃をひそかに胸にあたためていたので、お供を辞退申し上げた。
お隣の先住家族は一年と少し前、転勤で北九州に引っ越してしまい、空家だった。二カ月前に庭や家に手が入り、そして若夫婦が引っ越してきた。先月のことだ。
神山芳樹・小百合という、まだ子供もいないフレッシュなカップルだ。
実年齢はわからない。妻の推測では、夫のほうは三十を過ぎていて、小百合のほうは五つは下じゃないか、ということらしい。明彦の見た感じでは、二人とももっと下のようにも思うのだが。
二メートル五十センチ近くに育ったゴールドクレスト越しでは見るといっても、実際は無理だ。葉と葉の隙間から、コマ切れ状態で透かし見ることぐらいしかできない。
が、時に、非常にまれにだが、二階の窓とか、位置でいえば階段の踊り場らしい窓などに、若妻・小百合の澄んだ美貌が覗くことがある。
家でのんびりすること自体まれな明彦としては、まさに流れ星に遭遇するような貴重な体験だ。
というわけで、缶入りウーロン茶を片手に、明彦はいつとはわからぬ遭遇を待っていたのだった。
しかし、一時間もすると、さすがに集中力もなくなり、ウーロン茶もなくなって、首や目も疲れ、それでなくても疲れがたまっている明彦は、初期の目的も忘れて、ボケーッとしていた次第なのだった。
2
何か白いものが、蝶のようにひらひらと動いているような気がした。ふと見上げると、二階の窓に小百合の顔があった。
一瞬にして気は引き締まり、明彦はジャングルのような様相を呈している庭を眺めているふりをしようか、それとも小百合をまっすぐ見て挨拶でもしようかと迷った。目は、ゴールドクレストの手前を、あいまいな焦点で見ている。
目を下に向けようと思ったとき、蝶のようなひらひらが、大きく揺れるのを知った。明彦は誘われるように顔を上げた。
白いTシャツを着た小百合が、こっちを見下ろしていた。目が合ったので、明彦は軽く頭を下げて挨拶をした。
「あのー、すみませーん」
艶やかなビロードを連想させるような声で小百合が言った。
「はい……?」
明彦は顔をのけぞらせて小百合を見、応えた。自分に向かって言っているのは間違いない。とすると、さっきのひらひらは、手でも振っていたのだろうか。
「あのー、釘とか、打てますかあ」
「え、あ、はい。釘ぐらい打てますけど」
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