官能小説販売サイト 北山悦史 『禁断の覗き穴』
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北山悦史    禁断の覗き穴

目 次
聖女の肌の温もり
下宿屋の姉妹
一瞬の春
幼馴染みの陰唇
酒乱の熟女
兄嫁の甘い肌
禁断の覗き穴
未亡人教師
家政婦の性教育
叔母の熱き陰唇

(C)Etsushi Kitayama

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   聖女の肌の温もり

     1

 昭和36年、初秋の宵の口だった――。
 まつじゅんぺいは、慣れ親しんだ繁華街に入っていった。どこかから橋幸夫と吉永小百合の「いつでも夢を」が聞こえてきた。
 馴染みのトルコ風呂に行こうと思っていた。
 昨日は女を抱かなかった。十七歳の性欲は一日あいだを開けただけでも、突破口を求めて下腹部で逆巻いていた。
 トルコに行くためには軍資金が必要だ。それで純平は金を持っていそうな男を物色していた。
 ゆすりの快感を知ったのは小学五年のときだった。そのずっと前からワルのレッテルを貼られていたが、遊ぶ金欲しさに中学生から巻き上げてからは、本格的に不良への道を突っ走った。
 頭は決して悪くない。そのことは小学低学年のころから教師たちに言われていたし、少し勉強すれば、八十点、九十点は楽に取れた。
 が、優等生ぶったり、いい子ぶったりするのが大嫌いだった。それよりも、まわりの人間に「ワル」と見られるのが快感だった。
 三つも四つも年上の子から金をせしめてからは、ゆすりの標的はもっぱら年上の男になった。
 ワルはワルでも、自分より弱い人間をいたぶるのはプライドが許さない、という思いがあった。もちろん、ゆすり・たかりで女に手を出すこともなかった。
 その一種の人生哲学が、心を支えていた。
 純平が中学に上がるころには、「将来はヤクザか刑務所暮らしだ」とまわりの人間が言っているのが耳に入ってきていた。
 刑務所はともかく、ありきたりのヤクザになるつもりはなかった。「一匹狼」が自分には似合っていると思っていたし、カッコいいとも思っていた。
 中二のころから、ヤクザの誘いのようなものはあった。そういうものに純平がいい返事をしなかったのも、そんな事情があった。
 その中二の夏、飲み屋をやっていたとしの女と知り合い、性の手ほどきを受けた。
 色白の美人、むっちりとした体をしたその女とは、その後、一年くらい関係を持っていたが、それと同時並行して、買春通いを始めた。
 そのための金はすべて、年上の男から巻き上げた。高校生や大学生といった男よりも、中年男のほうが多かった。
 二十歳前後の男をヤルのは簡単だったが、見入りはタカが知れている。それに比べて中年の男は、ないといっても女を買うぐらいの金は持っていた。
 純平が中学に上がる少し前に、母が新興宗教に入った。純平を何とか立ち直らせようとしてのものだったろう。
 しかしそんなもの、どうとも思っていなかったし、もちろん母が入信したからといって、純平が真人間になる兆候も起きなかった。
 中三の夏、高校にだけは入ってくれと、父が泣きつかんばかりに言った。学校というところには何の魅力もなかったが、担任のすすめで受けた私立高に合格した。
 高校生になっても純平の性格や行動が変わるわけもなく、体がすっかり出来上がったこともあってハクもつき、純平はすべて思いどおり、勝手ざんまいの日々を送っていた。
 すでに親からは見捨てられ、学校からも愛想をつかされ、中学のときは来たヤクザの誘いもこのところはなく、むしろ一匹狼の純平に、街のチンピラはいちもく置いているくらいだった。
 
 
 
 
〜〜『禁断の覗き穴』(北山悦史)〜〜
 
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