花森えりか 快楽の罠
目 次
秘部に媚薬を塗って
三人プレイは刺激的
義父との秘密
異常な性癖
快楽の罠
魅惑の痴態
犯されて快感
淫らな玩具の誘惑
(C)Erika Hanamori
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秘部に媚薬を塗って
1
真面目で子煩悩で、典型的な〈マイホーム・パパ〉だと思い込んでいた夫の浮気が発覚した夜、麻里香はショックを受けて、眠れなかった。
言い訳して開き直った夫の正也は、隣のベッドでイビキをかいて熟睡しているというのに――。
正也に背中を向けた麻里香は、唇を噛んだり指を噛んだりして、ショックと昂奮状態が、なかなかおさまらない。
(何よ、あの言い方。『妻子養うために必死で働いてるんだ、浮気の一つや二つ、大目に見てくれたっていいだろう』ですって……!)
妻と子供を扶養するのは夫の義務じゃないの、と麻里香は何度思い出しても、正也の開き直ったセリフが口惜しいのだった。
(携帯電話なんか見なければよかった……)
そんなふうにも、悔やまれる。
夫の入浴中に、彼の携帯電話を見てみたのである。初めてではなく、以前にも見たことがある。
電話の着信履歴、受信履歴、メールの送受信。それらを見てみたが、特に問題はなかった。それが半年前のこと。
また見てみる気になったのは、軽い気持ちからであり、浮気のことなど疑っていたわけではない。
前回と同じように、電話の履歴やメールの送受信を見てみようと、夫の携帯電話を開いてみたら――。
(何、これ……!)
待受画面に、夫と女のツー・ショット写真が映っていたのである。
女は、三十六歳の麻里香よりいくつか若そうだが、そう美人というわけでもない。平凡な顔だが、厚化粧だ。髪を栗色に染め、派手なイヤリングをつけ、襟元が大きくカットされたピンクのブラウスを着ている。
(水商売かしら……)
高級バーとか高級クラブではなく、スナックのような安い店の女に違いないと、口惜しまぎれに麻里香は思った。
(素顔なら、わたしのほうが美人だわ)
そう感じたけれど、その女と夫が頬と頬を寄せ合い、楽しそうに笑っているツー・ショット写真を見て、嫉妬と怒りで頭に血がのぼり、ソファから勢いよく立ち上がった。
浴室のドアの開く音がしたので、麻里香は携帯電話を手にしたまま小走りになって、バスタオルを使っている正也に、待受画面のその写真を突きつけた。
「あなた、これ、何ですか」
怒りを抑え、冷ややかな声で麻里香は言った。
すると、それに眼を落とした夫は、
「何だ、これ?」
と驚き、麻里香の手から携帯電話を奪い取った。
「何ですか、って、わたしが聞いてるんです」
麻里香は、ふたたび冷ややかな声を放った。
「知らないよ、悪戯されたんだ、こんなことした覚えはないよ」
「それはそうでしょう、若いカップルならともかく、四十過ぎの中年男が、いいトシして、待受画面にツー・ショット写真なんて……そんな写真、大介に見られたらどうするんですか」
精一杯、夫を嘲るような口調で、麻里香はまくしたてた。
「削除したよ」
携帯電話を操作していた夫は憮然とした声で言いながら、それを麻里香に渡して、洗いたての下着をつけ始めた。
待受画面の写真を見て夫が驚いたのは、演技ではないようだった。家の中に置いて、いつ妻子に見られるかもしれない携帯電話に、彼がそんなことをするはずはなかった。
それなら誰が、夫の携帯電話を、本人が知らないうちに操作できるのか。
たとえば、誰かが自分の携帯電話のカメラで正也とのツー・ショット写真を撮り、それを彼の携帯電話にメールで画像添付送信して、受信した写真を待受画面に設定する――という操作をするのは、ほんの数分しか、かからないはずだった。
けれど夫は、自分の携帯電話に、そんなことをされたと気づいていなかった。誰かが悪戯で、自分の携帯電話を操作しているのを、見ていないのである。
ということは、夫が携帯電話を身につけずに何かをしていた時ということになる。上着のポケットや、会社のデスクの上に置いた時以外となると――。
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