大海 亮 淫香セレナーデ
目 次
つぐない
淫香セレナーデ
大人のお付き合い
カラオケ情事
舌技狂い
淫ビラ遊び
ロストヴァージン
絶頂姫始め
熱海の夜
黒色の紋章
赤い雷鳴
乱れ咲く淫祖母
遥かなる熟母
中古屋・大ちゃん
陶酔の淫夢
(c)Ryo Ohmi
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つぐない
「ごめん、やっぱり駄目だ」
「いいのよ。正雄さんが私のこと、愛してくれているのは分かっているんだから」
三咲麻衣は、ベッドの隣に寝転んだ大木正雄の上半身に覆いかぶさり、顔を上げると、にっこり微笑みながら、正雄を見下ろした。
柔らかいのに弾力のある乳房が、正雄の胸に押しつけられているのに、下半身はしなだれたまま、ピクリとも反応しない。
麻衣と肌を合わせるのはこれで三回目だが、いつも肝心の物が硬くならなかった。
裸になった麻衣は、形のいい長い脚と、腰が括れた素晴らしい身体で、二十三歳の若くて吸いつくような柔肌が、正雄を興奮させるのだが、どうしても下半身はいうことを聞いてくれない。
「正雄さんと付き合いだしてから、一年になるわね」
麻衣は言いながら、正雄と並んでベッドに仰向けになり、今まで身体中を愛撫されて熱く燃えていた子宮の奥が、徐々に冷めていくのを意識していた。
「私、不思議だったの」
「何が」
正雄が、麻衣に顔を向けた。
「男の人って、出会ってあまり親しくなくても、すぐにエッチしようとするでしょ」
「それは、男にもよるだろうし、女だって、すぐに寝る奴がいるよ」
「そうだけど、一年も待たせる男って、そうはいないでしょ」
麻衣は、両手の指で正雄の髪を軽く掻き分けながら、ジッと見つめる。
二人が初めて会ったのは、六本木のショットバーだった。
カウンターとテーブル席が四十近くあり、ショットバーとしてはかなり広いが、世界中のどんな酒でも格安で飲めるので、いつも店は酒好きの薀蓄人が集まり混雑している。
正雄も麻衣も店の常連客で、別々の相手を伴って、テーブル席で飲んでいたが、お互いに顔を合わせることもなかった。
ところが、二人とも一緒に飲んでいた相棒と別れ、テーブル席に独りでは座らず、カウンターで思い出に浸りながら、飲むようになっていたのだ。
たまたまカウンターで麻衣と正雄が飲んでいたところを、マスターが二人の仲を取り持ってくれたというわけだ。
それからは、二人はカップルとなって、またテーブル席に座るようになった。
「俺は麻衣の前では、男とは言えないだろ」
「何言っているのよ。まだ二十八歳じゃないの。ココが駄目なのは一時的なものだし、男はこんなことぐらいで、卑下するものじゃないわ」
麻衣が左手を正雄の股間に伸ばし、優しく指で揉みながら言う。
「バイアグラでも使ってみようか」
「そんなの、嫌よ。根本的な解決法じゃないでしょ」
麻衣に股間を揉まれ、気持ちはいいのだが、硬くなる傾向はない。
「よぉーし、正雄さんに私の愛情の全てを注いで、絶対に治してあげるわ」
麻衣は上半身を起こし、正雄を見下ろしにっこり微笑む。
正雄がこんな状態になったのは、前の恋人の浅岡久美が原因だった。
「ねえ、ホテルに行こうよ」
「駄目、結婚するまでは」
「もう付き合って半年にもなるんだぜ」
「それじゃ、いつ結婚するのよ」
六本木のショットバーのテーブル席で、お定まりの会話になった。
中堅薬品会社の営業マンの正雄は、取引先の薬局で薬学部を卒業し、薬剤師になったばかりの久美の初々しさに惹かれ、積極的に話しかけて、とうとうデートを重ねるような仲になったのだ。
正雄は、久美のまだ子供っぽさが残る仕草から、バージンだろうと思っていたが、やはりまだ男を知らなかった。
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