官能小説販売サイト 高竜也 『蜜の惑乱』
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高 竜也    蜜の惑乱

目 次
淫蝕生活
握り上手の女
淫蕩の季節
邪淫関係
ハマった女
熱い淫欲
悶える恋情
青い艶戯
恥蜜のカンケイ
溢れる狭間

(C)Tatsuya Kou

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   淫蝕生活

     1

「あんたっ、勘違いしないでよっ! 私は離婚の話し合いに来たのよ……それを……」
 八年前に結婚した時の、西洋人形のような表情はまるでなかった。
 憎悪と嫌悪感をき出しにした、はんにゃのようなぎょうそうの女がそこにいた。
 二時間にも及ぶ話し合いで結論を出せないまま、とうとう圭介は(離婚一点張りの)朝子に暴力をふるってしまった。
 ちょっと頬を撫でた程度の平手打ちに朝子は激怒し、手当たり次第にそこらにある物を投げた。
 止めるつもりが暴力のエスカレートとなり、その過程で圭介は思いもよらぬ感覚にき上げられた。
 朝子に対する性的な欲情である。
 力いっぱいに突き飛ばした時、朝子はフロアスタンドに足を引っ掛けて派手に転んだ。
 八の字に大きく広がった女の中心に張り付いていた小さな布切れは、つい二ケ月前まで同じ屋根の下で暮らしていた時には決して着用したことのない、真っ赤で極めて狭小なものだった。
 すでに別居する前からのゴタゴタで四ケ月以上も朝子とノン・セックスだっただけに、燃えるような色は、彼の欲情をあおり立てただけでなく、誘っているかのようにも見えた。
 女体経験の乏しい圭介にとって、朝子のセックスは極上のものだった。
 だから結婚したての頃は、本格的なセックスの前に、必ず朝子の手によって一度タップリと放出され、ようやく落着いたところで挿入という手順を踏んだ。
 二人が性的享楽の時間を共有出来るようになるまでに、たっぷり三年という年月が経過した。
 子供が産まれなかったので、若い夫婦は夜になると励んだ。
 だが一年二年と経つうちに、圭介の体力は欲求のあまりにも強い朝子について行けなくなった。
 小さな信用組合に勤める圭介の仕事が、地位の上昇と共に多忙になったのも、精力の減退する原因となった。
 朝子は不満を漏らした。
 別居する数ケ月位前から、朝子に男の影がちらつき始めた。
 それでも朝子に未練のある圭介は、そのことを口にしなかった。
 そしてつい二ケ月前、朝子は前触れもなく家を出て、実家に戻ってしまったのである。
 久し振りの話し合い、そして決裂……。
 それが暴力沙汰にまでエスカレートするのにたいして時間は掛からなかった。
 赤い布切れを見て興奮する牛のように、圭介は倒れた朝子に向かって突進した。
 昨日までのえた欲情が嘘のように復活していた。
 長い禁欲期間がそうさせたようだった。
 朝子の怒りは増幅した。
 思ってもみなかった夫の行動に足を跳ね上げ、爪を武器に果敢に立ち向かった。
 しかし所詮は女である。
 三、四分もすると疲れ果てて、手足を上げるのさえおっくうになってしまった。
 あとは大声を上げるしかなかった。
 しかし、マンションの住人からは〈優しい奥さん〉とか〈おしとやかな人〉という評判を立てられていたから、いくら別れることを前提としているといっても、恥をさらしたくないという心理が働いて出来なかった。
 しかも圭介はテーブルの上にあったティッシュボックスからペーパーを鷲掴みに取り出すと、強引に口の中に押し込めてしまった。
 唾液のまとわり付いたペーパーは、口腔内の粘膜にベタベタ張り付いて、声を出すどころか、息を吸うのさえ困難だった。
(イヤイヤ……)
 朝子は駄々っ子がするように顔を振るしかなかった。
 だが圭介は容赦しなかった。
 彼には一つの計算があった。
 中途半端に終わったり、いい加減な結果しか得られなかったら、夫婦の間といえども〈暴行・強姦容疑〉で告訴されるかもしれない。
 つい最近、何かの雑誌で、そういうことが法的に可能だという記事を読んだばかりだったから、どうしても朝子を性的満足に導く必要があった。
 
 
 
 
〜〜『蜜の惑乱』(高竜也)〜〜
 
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