官能小説販売サイト 作者不詳 監修・小宮 卓 『淫婦傳〜性の秘本セレクション6〜』
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作者不詳 監修・小宮 卓 淫婦傳〜性の秘本セレクション6〜

目 次
いんでん
 前 篇
  同性愛同盟
  婦長の初恋
  診療余談
  露見とリンチ
 後 篇
  バスコントロール
  狂  態
  強盗と手術
  恋の勝利
睡  魔
玉くしげ
ぼくとうえん
解説

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 いんでん

  前  篇


   同性愛同盟

 横浜山元町の高台の白亜のモダンな三階建の病院……。
 Y産婦人科病院の麗姿である。南洋産の樹木を庭一面に植え、大きな池には鯉が泳いでいる。その庭に面した別の二階建が白百合寮で、白衣の看護婦や、助産婦の寮であった。寮生は三十人からいて、殆んど彼女等は未婚女性である。これら大勢の看護婦たちの生活は、平和そのものであった。そうしたこの白百合寮に一大事件が持ち上がった。確かに大事件なのかもしれなかった。
 というのは、このY病院には、一人の男性もいない。病院の院長先生を始め、小使からまかないにいたるまで病院全員が女性だけで経営されていたのだ。
 そうしたこの病院に或る日の朝、院長室に従業員全員が招集された。
 女医が五人、産婆資格者が七人、看護婦二十一人、助産婦七人、其の他十人計五十人の女性達が思い思いの姿勢で立っているところへ、院長先生の太った姿が現われた。院長の後には白麻服の長身の青年がついて入って来た。
 全員の女性の視線が青年の姿に、一斉に注がれ、誰もが目を見張り、一体何事だろうと、お互いの胸を高鳴らせた。青年も部屋の中に一人の同性も交じっていないのを知ったのか、やや固くなっているらしかった。面長の青年は好男子で、色の黒い顔を緊張させている。
 一瞬、部屋の中のざわめきがぴたりと止み、しんとなった頃、院長が、
「皆さん、今度、この病院へ赴任して、皆様と一緒に働いて戴く事になったほしじゅん博士です。長い間フランスにいて、このたび交換船で帰国されました。わたしの従弟いとこです」
 と紹介されるや、部屋中は再びざわついた。
 紹介された星が微笑を少し浮べて、
「僕、星です。どうぞ皆様ご先輩の指導をお願いします。僕は医者はあまり好きな方ではないのでして、むこうに居る頃は、もっぱらその女と酒を……あゝ、いや、失礼……その遊んでいるのでして……という訳ですから、これからポツポツと勉強するつもりですので何分よろしく……お願いします」
 ぴょこんと頭を下げるや、部屋中は星の奇抜な挨拶にどーっと爆笑が起きた。
 星博士はこうして、最初から人気が沸騰した。
 自ら大勢の先生や、看護婦の前で、酒と女が好きだと、つい口を滑らせた星は、謹厳な院長先生に、キッとにらまれながら、部屋を出て行った。
 男子禁制の評判の高いこの病院に、青年博士が赴任して病院は大騒ぎだった。
 白百合寮でも、専ら星医師の話で持ち切りであった。
 特に同性愛同盟のメンバーに、大きな波紋があった。
「ちょっと二枚目ねえ、星先生……」
 と、病院一の美貌である峰子。
「えゝ仲々男前ねえ」
 と、の茶目な瞳。
「フランスで何していらっしゃったのかしら?」
 と、なえ。三人は、若い婦長の絹代を入れて四人の大の仲良し。
 そこへ絹代婦長の魅惑的で、スラッとした姿が現われた。
「何よ、首を集めて……何の相談なの?……」
「絹代さん、貴女あなた、今度来た星先生と口を利いた? スマートねえ、あの先生……」
「いやな三枝ちゃん、用心した方がいゝ事よ、狙われないようにね」
「そうねえ。何しろ本場仕込だから危険だわよ」
「同性愛同盟はがっちりと守り通しませうね」
「もちろんよ」
 と、いつ話が終るか見当がつかない。がすでに四人の中に一人の被害者があった。
 それは今入って来た看護婦長の絹代だった。
 赴任早々、星は彼本来の性質を発揮したのだった。
 婦長の絹代は、グループには被害を秘して星の噂をきいていた。彼女のスラッとした四肢と、むっちりと盛り上った胸には、赤い炎が点ぜられていた。
 
 
 
 
〜〜『淫婦傳〜性の秘本セレクション6〜』(作者不詳 監修・小宮 卓)〜〜
 
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