高竜也 『母と青狼〜相姦のトライアングル〜』
高 竜也 母と青狼〜相姦のトライアングル〜
目 次
第一章 恋が欲望に変わるとき
第二章 浴室に性臭が漂うとき
第三章 青き狼が狂いだすとき
第四章 義母が小悪魔になるとき
第五章 禁忌が崩壊するとき
第六章 母と子が獣になるとき
第七章 少年が理性を失うとき
第八章 恥肉が淫靡に濡れるとき
第九章 母が凌辱されるとき
(C)Tatsuya Kou
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第一章 恋が欲望に変わるとき
池永貴之が父の再婚相手、つまり継母の乃里子に異性としての感情を抱くようになったのは、彼女が池永家に入って半年近くたった頃である。
今から四カ月前、暑い盛りだというのに、貴之は夏風邪にかかり、四十度近い高熱に見舞われた。高校二年生の仲間と高山キャンプを張って体調を崩し、夜半に家へ戻ってきたときは、熱で放心状態だった。
設計事務所を経営している父の浩三は、北海道の
遠
えん
軽
がる
地方に出張中だった。動転した乃里子は、すぐにかかりつけの医者を呼ぼうとした。貴之はそれを拒否した。
貴之は父の再婚に反対だったので、乃里子には心を開こうとしていなかった。乃里子もそれに気づいていて、絶えず気に病んでいた。実母を亡くしてまだ三年目の、傷つきやすい少年は、頑なに新しい母を受け入れず、池永家は暗くて隠鬱な空気が
澱
よど
んでいた。
乃里子は必死になって医者を呼ぶことをすすめた。それでも貴之が拒むと、「母親が息子を守るのは当然なのよ」と言って、電話を取りあげ、医師の電話番号をコールしようとした。
それを貴之が乱暴に奪いとってしまった。直後に貴之は、その場に倒れてしまった。以後の記憶はない。
気がつくと、貴之は甘い香りに包まれていた。カーテン越しに朝の気配が感じられた。
たちまち眠気がさめた。義母の乃里子が、貴之の体を包みこむようにして、同じ布団で寝入っていた。貴之のパジャマは汗でびっしょりと濡れ、乃里子の額にも汗が滲んでいた。布団のなかは湿気がこもり、熱かったが、貴之自身の熱は嘘のように引いていた。
乃里子は軽く寝息をたてている。表情には明らかに疲労が滲みでていた。
実母が亡くなって以来、貴之は初めて乃里子に母を感じた。母の愛を感じた。
音をたてないように起きだした。枕もとに薬袋が置いてある。やはり貴之が倒れた際に医者を呼んだらしい。腕に注射の跡が残っていた。
寝汗をかいた貴之の体を拭いたものとみえる濡れたバスタオルが、何枚も枕もとに積み重なっていた。いつのまにか下着まで新しいものに着替えさせられていた。
以来、貴之は父よりもむしろ乃里子に、何事も相談するようになっていた。池永家に明るい笑いが甦ってから、数カ月がすぎていた。
その間に、乃里子に対する貴之の気持ちは、大きく飛躍をみせていた。貴之は乃里子に、母としてよりも異性としての感情を抱くようになっていた。十七歳の少年にとって、それはある程度は予想できることでもあった。
義母の乃里子は、まだ三十三歳という若さだった。
男の十七歳は、思春期の最っ盛りであると同時に、性的な欲望がもっとも蓄積される時期でもある。中学時代に覚えた自慰の対象は、それまでのアイドルタレントたちから、いつしか乃里子一人に絞られていた。
貴之は恋をしたのだ。一方的なものだったが、明らかに恋と呼んでもよい類いのものだった。その感情が日々つのっていたとしても、少年を責めるわけにはいかない。
かつて乃里子は、高校時代に、某大手テレビ局が主催した美少女コンテストで地区優勝をしたことがあるほどの美貌の持ち主だ。だが厳格な父親は、乃里子を厳しい監督下に置き、芸能界との接触を断ち切ってしまった。反抗期にさしかかっていた乃里子は、家庭教師をしていた大学生と人目を忍んで逢瀬を重ね、妊娠六カ月をすぎるまで、相手の男にも両親にも何も知らせなかった。そのため乃里子には、十七歳で産んだ子供がいた。
産まれた子供は男の両親が引き取り、乃里子はそれまで生活していた東京を離れて、札幌の親類の家で新しい人生を歩みはじめた。だから結婚は、彼女の意志によって晩婚という形をとることとなった。
夫となった池永浩三は再婚時に、乃里子に子供がいるという事実を聞かされていた。美貌の女が三十三歳まで男関係が何もなかったと思っていない浩三は、乃里子の過去を気にとめなかった。そしてそのことを、貴之にも知らせていた。
貴之は漠然と、一つ年下の少年の存在を受けとめたが、まさか彼が自分の生活に影響を及ぼすなどとは、一度たりとも考えたことがなかった。
ところがここ数日間で、きわめて現実的な問題として、貴之の前に大きく立ちはだかったのである。
義理の弟、つまり乃里子の実子である有村夏樹が、来週にも池永家の一員として、同じ屋根の下で住むことになったのだ。
それまで父方の祖母と東京で暮らしていた夏樹は、祖母の死に直面して、生活する場を失ってしまった。父は若くして交通事故で亡くなっていたので、夏樹が行くべきところは母の乃里子に頼らざるを得なくなった。
〜〜『母と青狼〜相姦のトライアングル〜』(高竜也)〜〜
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