吉原 杏 蜜芯凌辱
目 次
蜜闇の悲運
淫舞
蜜呪縛
淫蜜
蜜芯凌辱
(C)Anzu Yoshiwara
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蜜闇の悲運
その女と出会ったのははじめて立ち寄った、港近くのカクテルバーだった。
女は、カウンターに座り、ブラディー・メアリーをまるで血をすするようにひとりで飲んでいた。
俺は、女の隣に座り同じものを注文した。女はチラリと俺をみたが、またタンブラーに目を戻した。女の着ていたドレスは黒。
男を誘うように背中が、大きくひらかれ、女の白い肌が陶器人形のように冷たく輝き、俺の分身を誇張させる。
女は、ひとりで飲んでいたいのか、それとも俺を誘うつもりなのか、時折タンブラーに爪を立てギッギィと嫌な音を立てる。
さらりと束ねられているその女の長い髪の何本かの後れ毛がうなじにしどけなく揺れ艶めかしい。
俺の目の前に、タンブラーが置かれシェーカーが傾けられ注がれる……
ブラディー・メアリーとは、国内の新教徒を迫害し、「血まみれのメアリー」と恐れられたイギリスの女王メアリー一世にちなんで名付けられたとされるカクテルで、トマトジュースを使う。トロリとしているが、口当たりはサッパリしているウォッカベースのカクテルだ。
俺はそのタンブラーを口に運ぶよりも、女のことが気になっていた。
女が口元に血のような酒を運ぶたびに、俺の下半身はさらに充血を増し白いトランクスの下で悲鳴をあげるのだった。
女が大きなため息をついてから、タンブラーを持ち上げ白い喉をのけ反らせながらブラディー・メアリーの中身を飲み干した。
俺は思わず女に
「もう一杯どう?」
と声をかけていた。
女が刺すように冷たい視線で俺をチラリと見てから
「ありがと」
と低い声で囁いた。
カウンター越しに「おかわり」をオーダーし、再び女のグラスにブラディー・メアリーが注がれるのを待ち、女と乾杯をした。女はグラスを持ち上げて、俺のグラスにカチリと鈍い音を響かせてから、カクテルを一気に煽った。
「おいしい」
二杯目を飲んだ、女が饒舌になる。
そして、笑い泣きするような顔で俺を見つめ
「恋人を待っているの。でも、今日もスッポカされてしまったみたいね」
と囁きながら、俺を見つめた。
女のブラディー・メアリーと同じ色のルージュが、バーの薄明かりでヌメヌメと妖しく光り、俺の下半身はさらにエキサイトして、引き返すことができなくなってきた。
俺は、思い切って女の肩に手を回した。女に嫌がる様子はなく、女の耳に息を吹きかけるようにして
「外に出ないか」
と囁いた。
女は一瞬、身を固くしたが、俺が手に力を込めると促されるようにスックリ立ち上がった。俺は、彼女の分の勘定も払い外に出たマスターとバーテンのひとりが咎めるような目で俺をみたような気がしたが、かまわなかった。
俺は、彼女の肩を抱いて港街を歩いた。
夜風に、潮風が艶かしく交差する。
俺は、衝動を押さえることができなくなり、女の口を俺の唇でふさいだ。
その唇はうっすらと開き、俺の舌を誘った。
ゆっくり女の舌が俺の口の中でまるで蛇のように蠢く。
もう、理性を抑えることができなくなり、下半身が呻く。
俺は唇を女の唇から離し、女の目を見ながら
「欲しい」
と聞いていた。
女が挑むような目で、俺を見つめ、
「ごめんなさい。今日は生理なのよ」
と俺に言ったが、そんなことは俺には関係ない。
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