北山悦史 淫惑 若妻なぶり
目 次
第一章 美人妻の淫ら声
第二章 揺れあえぐ白い蜜肌
第三章 もう一つの美肉の深み
第四章 乱れ啼く複数淫交
第五章 惑乱する人妻の媚態
第六章 絶頂に震える若妻の叫び
(C)Etsushi Kitayama
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第一章 美人妻の淫ら声
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夕方、コンビニのバイトの帰りだった。コンビニから一分ばかりのところにある公園にあの人妻らしい女がいるのを見て、矢沢勇輝は思わず胸を熱くし、二五〇ccの二輪を止めた。
公園は道路の左側にあり、歩道とは背の低い生垣で仕切られている。中央に噴水のあるけっこう大きな公園だが、その一角に砂場や滑り台、ブランコなどがあり、その人妻は二歳ぐらいの人形のようにかわいい女の子を砂場で遊ばせていた。二十メートルは離れているだろうか。あの若妻に違いないと知った勇輝は歩道に乗り入れ、エンジンを切った。
温もりのある白磁のような肌をした彼女を初めて見たときは、ショックといっていいものを受けた。恋人と別れて四ヵ月という心身の事情のせいではなかった。こんなきれいな人が世の中にいるのかと、レジで彼女に接した勇輝は棒立ちになったぐらいだった。
レシートとつり銭を受け取ろうとして差し出された彼女の手がまたしっとりとしていて実に魅力的だった。彼女の神聖さを侵すというかもったいないような気がして、勇輝は指を触れないようにしてそっと落とした。
一回目に見たそのときは、次の客のために彼女の姿を追うことはできず、小さな女の子を連れているのを知っただけだったが、二回目と三回目のときはシルバーグレーの車で来ているのを知ることができた。その二回は勇輝が彼女の接客をしたわけではなかったので魅力的な彼女の指に触れることはできなかったが、彼女を観察することはできた。
いかにも柔らかそうな白い肌をした彼女は涼しげな二重の目をしていて、女の子の母であるのがよく似合うやさしい眉をし、すっと走ったつつましやかな鼻をしている。いつも薄めのルージュを引いている唇は幅が狭く、ぽってりとやわらいでいる。
しかし、上品で清楚な顔立ちにはそぐわなく思えるぐらい胸は丸く高く盛り上がり、お尻と腿、ふくらはぎもドキッとするような肉づきをしている。その全身からは二十代半ばかという若妻の色香がむんむんと沸き立つように漂っていた。
その清楚な若妻は今、ピンクのTシャツに白のカーディガン、紺のスカートという格好で、もうすぐ日の暮れる九月下旬の淡い陽光を受けていっそう美貌を際立たせている。軽い栗色のミディアムの髪はカーディガンとともにぼーっとハレーションを起こしたようになっていて、ちらほらいる人間の中でもとびきり存在感があった。コンビニに乗ってくるシルバーグレーの車は、公園の周囲には見当たらなかった。
(この近くに住んでるんだ)
そう思い、勇輝は胸をときめかせた。
公園の向こうにはチョコレート色のどっしりとしたマンションが建っている。道路を隔てたその左側には住宅地が広がっている。右側は住宅地に個人商店が混じっている。そのどこかに彼女は住んでいるのだ。
彼女がコンビニをよく利用しているのは間違いない。勇輝が夜の時間帯から昼の時間帯にシフトしたのは十日前のことだ。その十日間で勇輝はコンビニに来た彼女を三回も見ている。常に店内にいるわけでもないのにそれだけ見ているのだから、彼女は毎日のように来ているのかもしれない。
勇輝が今のコンビニでバイトするようになってから一年近くになる。ずっと夜の時間帯だった。昼の時間に移ったのは就職が決まったからだった。一流とはいえないが、やっとのことOA機器メーカーの内定を取った。出なければならない授業ももうなくなり、それで昼にシフトさせてもらった。
にわかに身近に感じられる思いになった若妻は、中腰になったり膝に両手を当てて上体を折ったりして女の子の相手をしてやっている。砂場には彼女たち二人きりだった。ちらほらといる人たちもリタイアしたような男が主で、主婦らしい女の姿は見えない。時間が時間なのでそうなのだろう。ということは、彼女の夫は帰りが遅いのだろうか。
ヘルメットのバイザーを上げて彼女を見ていた勇輝は、チラリとでも彼女が自分のほうを見てくれることを期待した。しかし彼女には自分の子供のことしか頭にはないようだ。顔を上げさえしない。
(こっちを見てもわからないかな)
あきらめる気持ちで勇輝は思った。コンビニではレジで一回顔を合わせただけだ。二回目と三回目は顔を合わせはしなかったのだから、彼女が自分のことを覚えているはずはないだろう。友達の戸塚亮太のような男なら、ここで気さくに声をかけていくのだろうか、とも勇輝は思った。
親友というほどでもないが、互いにバイク好きでときたま一緒に飲んだりもする大学の同級生の戸塚亮太は、女を股にかけて遊んでいるらしい。その亮太が言うのは、「女はまず押せ」だ。ダメモトでいい。その意気込みが女の心を動かす、と亮太は言う。
その亮太とは、別れた恋人の脇田奈央も交えて飲んだこともある。奈央は、前に働いていたバイト先で知り合った専門学校生だった。十九歳のかわいい女の子で、もちろん体の関係もあった。しかし勇輝は、亮太の言う「押せ」で失敗したようなものだった。どうも奈央はセックスがそんなに好きではなかったようなのだ。
奈央のことを知った亮太が、どんなセックスをしているのかとか根掘り葉掘り訊いてきて、答えた勇輝に、ままごとみたいなセックスだと笑い、自分が女子高生から女子大生、OLから人妻まで相手にしていると、ペッティングの仕方やらセックスのやり方やらを勇輝に話して聞かせたのに触発され、勇輝は発奮する思いで奈央に接した。
しかし、勇輝が亮太の言う“大人のセックス”をもくろめばもくろむほど奈央の態度は冷めたものになり、ケンカも絶えなくなって、結局別れることになったのだった。
(押せばいいってもんじゃねーんだよな)
ちょっぴり感傷的になった勇輝は、オッと思って若妻に目を凝らした。砂場に転んだ女の子を抱き起こそうとして彼女がしゃがんだのだ。水色のショーツの三角形が覗き見えた。真ん中を縦に走っているラインは肌色のパンストのシームだ。
が、女の子を抱き起こした彼女はすぐにお尻を上げてしまった。しかし、一瞬といえど見えた彼女の秘密のゾーンは目に焼きついている。勇輝はドキドキしながら彼女を見守った。紺のスカートを通して、むっちりとしたお尻を包んでいる水色のショーツを思い描いた。あのショーツをずり下げて、夫は今夜も彼女をよがり泣きさせるのだろうか。
ふと勇輝は、噴水の前のベンチに座っているリタイアしたふうの男が自分のほうを見ているのに気がついた。勇輝が若妻を見ている間、男は勇輝のことを見ていたような感じもある。勇輝はヘルメットのバイザーを下げ、バイクのエンジンをかけた。彼女はこの近くに住んでいる。コンビニにも来る。明日か明後日、きっとまた会える。今度はあの白い指でも握れたらと胸を疼かせ、水色のショーツをみやげに勇輝はそこを去った。
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