官能小説販売サイト 高竜也 『二人の母』
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高 竜也    二人の母

目 次
季里子 一 ぬれる
彩 子 一 むかれる
季里子 二 みだれる
彩 子 二 あえぐ
季里子 三 おぼれる
彩 子 三 うずく
終 章 もえつきて……
特別付録 二倍立たせます……

(C)Tatsuya Koh

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 季里子 一  ぬれる

     1

 ほどよく自然にカールした黒い茂みをかきわけて、私の指が何かを求めてゆっくりおりていく……。鏡の中の私は、ひどく淫らに体を開いていた。私自身、こんなにも猥褻な光景を見たのは他人も含めて初めてである。
 こころもち下腹のあたりに脂肪がついたとはいえ、百六十二センチ、五十キロ、三十二歳になったが、まだ子供を産んだことがない体はみずみずしく、我れながら美しいと思わずにはいられない。だが、この肉体を現実に愛してくれるひとがいない淋しさは、今、どのように語ったとしても、真に理解してくれる者はいないだろう。
 繊毛の中で、私の指はすぐにあの素晴らしい歓喜を与えてくれる愛の突起をさぐり当てた。ゾクッとして身震いした私は、眼を閉じて一年前の、夫克彦との最後の瞬間を思い起こしていた……。

 その日、夫は自分が理事長をしている日本着物学院の関西方面にあるいくつかの教室へ定期巡回をしての帰路、羽田空港を眼の前にして航空機事故にあったのである。
 夫の収容された病院に駆けつけた私は、夫が生存していることを知って狂喜し、見舞客をシャットアウトして、夫と二人きりになって幸せに酔っていた。
「季里子を一人にして簡単に死ねないよ」
「私、万が一あなたが死んでいたら、後追いするつもりだったわ」
 涙まじりの言葉に夫は微笑みかえし、ベッドにしなだれかかるように坐っている私の膝に手をのばしてきた。大部分を真っ白い包帯でグルグル巻きにされていたが、指先だけは自由がきき、震える指先は鴇色の和服の裾を割って入ってきた。
 夫をこよなく愛していた私は、彼の意図していることをいち早く察して、自分の手で裾をよりいっそう大きく開くと、坐っていた椅子ごと体を前に進め、夫の手が求めている場所にとどくようにしてあげた。
 和服の時は絶対に下着を着けなかったから、夫の指先は難なく私の秘園に到達した。私は夫の生命力の強さにいっときの安らぎを覚え、夫の手をたぐり寄せるようにして、さらに奥へと誘った。
 それまで蒼白だった夫の顔に赤味が増し、口もとから熱い吐息がもれた時、私のふくよかな花唇の奥は、いつもの優しく、それでいて激しい夫の愛撫を思いだして、トロリとしたものを吐きだしはじめていた。
「今夜ね……」
 夫が少し苦しそうに喘いだ。私には彼の言わんとしていることがよくわかっていた。今夜、こうしてお前を愛したかったんだ……。夫の熱い眼差しは、そう語っていた。
「私も……とても楽しみにしていたのよ」
 そうかい……というようにうなずきながら、夫は指を本能のおもむくままに動かしつづけていた。
 いつしか私の体は熱くなっていた。夫の指先はいつものように巧みではなかったが、それでも私の官能に火と油を注ぐには充分であった。
「季里子……胸を……」
 すぐさま夫の言葉を理解した私は、帯を緩めると自慢の乳房を剥きだしにした。はしたないという気持はなかったし、今ここに誰が入ってきてもかまわない、夫のためならどんな羞恥にも耐えられるという気持だった。
 夫の指ははなはだ頼りなかったが、それでも執拗に股間をまさぐりつづけていた。
 夫は剥きだしになった乳房を潤んだような眼で見つめていた。その眼を見た途端、私は夫がしたいと思っていることを自分の手で実行しなければという気になっていた。
「あなた……」
 私の声は、下半身同様、いくぶん湿り気を帯びていたと思う。私は露わになった円錐形の乳房を優しく愛撫しながら、夫の反応を見つめていた。
 夫の口もとがゆるんだようだった。私自身の手は、その時もう、夫の手になっていた。
「ああ……あなた……」
 切なく喘ぎながら乳房を揉んだりさすったり、時にはピンクに染まって突きだした愛らしい蕾をそっとつまんだりした。私の股間に差し向けられた夫の指は、とっくに私の吐きだす愛液に浸って、濡れそぼっていた。
 私はできるだけ淫らになって二つの乳房を揉みしだき、あさましいまでに両方の太腿を大きく開いていった。
 病室とはいえ、固く結ばれた私たち夫婦の間には、なんの遠慮も羞恥も存在しなかった。
 下腹のあたりがむず痒く、熱くなってきたと思った時、体全体に痺れのようなものが襲いかかり、夫が元気な時と寸分違わぬ心地よさが私を包みこんだ。
「ほら、こんなに……」
 なってるよ、と言いたかったのだろう。夫は秘園からゆっくり指を抜くと、だるそうに私の眼の前に突きだした。
「いけない人ね」
 私はにっこり羞じらいがちに呟くと、そうするのが自然のように夫の指を捧げ持って、すっぽりと口の中におさめたのである。
 私自身が湧出した体液を舐めたのは、その時が初めてというわけではない。夫はよく、私と愛の交わりをしている途中で逞しい怒張を秘園から引き抜き、これ見よがしに私の口の中に押しこむことがあった。はじめのうちこそ抵抗を感じていた私も、次第に夫に馴らされて、いつしかそんな行為を待ちわびるように飼育されてしまったのである。それはとてつもなく卑猥な感じをもたらし、その卑猥さが、私たち夫婦の性戯の楽しさを、より深めていったように思えるのだった。
 夫は私の仕種を見るとひどく満足げに眼を細めたが、同時に、とても疲れたように大きく溜息をついたので、私たち二人の病室での秘めやかな交歓はそこで終わった。
 しかし、なんということだろう。その夜のうちに夫の容態は急変し、私が再び病室に駆けつけた時は、もう冷たくなっていたのである。


 
 
 
 
〜〜『二人の母』(高竜也)〜〜
 
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