官能小説販売サイト 末廣圭 『思 春』
おとなの本屋・さん


末廣 圭    思 春

目 次
プロローグ
第一章 お母さんの肩凝り
第二章 初めての経験
第三章 中学生のデート
第四章 実 験
第五章 男の自信
第六章 ほのかな恋心
第七章 ツボ探し
第八章 思春の風

(C)Kei Suehiro

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   プロローグ

 あれっ! あんなにいっぱい咲いてら……。
 自宅から学校に通う十数分の道沿いに、桜の巨木が五本生えている。春の訪れを肌で感じるのは、温かくなった風やまぶしい太陽の輝きではなく、ほころび始めていく桜の花びらだとはやひゃくは、この時季になると、道の真上まで伸びる大ぶりの枝を眺めるのが好きになっていた。
 昨日は固いつぼみだったのに、一夜が明けると薄桃色の可愛らしい花びらを開花させていることに、驚きを感じる。
 幹は太くて真っ黒だ。根元は今にもち果ててしまいそうな老木なのに、とても新鮮で可憐な花びらを咲き誇らせる。
 しかし百会の目には、今までとは違った桜に映ってくる。自分と似ているのかもしれない……、と。言葉ではうまく表現できない。確かなことは、つい最近まで固い蕾であった自分のからだが、桜の花びらと同じに、パッパッと音を立てて弾けていくような心地よさを覚えることが多くなった。
 百会の父親である速水とくが千葉県うらやすはまに『速水指圧センター』を開業したのは、百会が産まれる数年前だった。指圧センターの周囲は大団地群が造成されていって、徳治の治療を受ける患者は予想以上の数に昇った。
 百会なる珍妙な名前を付けられたのは、百会が産まれたちょうどそのとき、徳治は患者の頭のてっぺんを指圧しているときで、そのツボが百会だったと、父親は晩酌のビールを呑みながら笑い話のように打ち明けた。
 小学生のころ、少し反抗的になった。友だちは『ひゃく』とか『ひゃっかい』と、まともに呼んでくれたことがなかったから。
 ぼくは絶対、指圧師なんかになってやらない。ママはひろで高校三年になる姉はと普通の名前なのに、自分だけが変な名前を付けられたことに、腹を立てていたところもあった。
 が、異変が起きた。
 半年ほど前のことだった。父親の患者であった近所の奥さんが、眩暈めまいと動悸を訴えて出張治療を依頼してきたことに始まった。父親は外来患者の治療で多忙だった。ちょうど学校から帰宅した百会に父親は、事もあろうに、わたしの代理で指圧をやってきなさいと指示したのだ。
 奥さんは心身症の気があるから、精神的に落ちつかせることが大事だ。足の裏、けんこうこつみぞおちを優しく強く押してあげなさい。仕事と思ってはいけない。奥さんの躯がよくなってほしいと優しく見守り、心から念じることが大切だ。
 父親はそう言った。
 指圧の方法を父親から教わったことなど、一度もなかった。わずかな知識は、治療室で一心不乱に患者と対しているときの父親の姿だけだった。患者が眠ってしまっても、額に汗をし、指圧の正しい姿勢を維持しながら治療をつづけるしんな姿に、感動したこともあった。
 心身症で苦しんでいる奥さんの足や背中を自分のようなしろうとが押してあげるだけで、果たして効果があるのだろうか。
 不安はあったが百会は、奥さんの家に走った。
 病的なほど青白い顔をした奥さんを布団に寝かせ、最初に土踏まずを丹念に押した。じっとりと汗ばみ、氷のように冷たかった足に温かみが戻ってきた。能面のように青かった頬に赤みが射した。
 肩甲骨に指先を移そうとしたとき、奥さんは着ていたキルティングのガウンを脱いだ。ドキンとした衝撃を受けたことは、今でも忘れていない。
 ガウンの下に着けていたのは、ブラックのネグリジェのような薄物だった。肩に掛かっているのは細いストラップだけで、しかもすけすけのシースルーだったのだ。
 白い太腿はほとんどき出しで、ブラジャーらしき影も見えず、ネグリジェを盛りあげるおしりおおっているのは、鋭く切れあがるブラックの逆三角形だった。
 お臀の割れ目まではっきり見えた。
 突然、心臓の鼓動が激しくなり、躯全体に理由の付かない震えが走った。
 女性の裸を見たのは、母親と一緒に風呂に入ったときと、高校三年の姉がパンティとブラジャーだけになって、バスルームに飛びこんでいくときだけだった。
 二人のヌードを見ても、動悸が高まったり、手足が震えたことなど一度もなかった。しかし目の下に横たわった奥さんの半裸に、強烈なインパクトを与えられた。ブリーフの内側に熱いざわめきが走り、チンポコがキューンとりあがった。
 チンポコが棒立ちになったことは、朝、目が覚めたときに多かった。痛いほど膨張していても、オシッコをすると、すぐに元の形に戻った。
 が、オシッコが溜まって膨張したわけではなかった。幹の根元がうずうずして、カッと熱くうずいた。
 この気分が男の性欲なのかもしれない……。百会はそう気付いた。
 夢精の経験はあったが、本物の女体に接したことはもちろんなかった。
 気持ちいいわ、躯がぽかぽかしてくるのよ。あなたの指から温かい電気が放たれてきて、その熱が躯中を走りまわって、温泉に浸かっているような気持ちよさが、躯の隅々まで拡がっていくわ……。
 奥さんはうっとりした声を漏らした。
 自分の指から電気など出ているわけがない。ぼくは普通の中学生坊主で、特殊な能力を備えてなんかいない。そんなことより、裸同然の奥さんを見ているのが苦しい……。百会は一分でも早く指圧を終えて、帰りたくなった。
 奥さんの半裸を見ているのが、いやになったのではない。そそりったチンポコの先っぽから、気持ち悪いほどねばねばした粘液がにじみ出し、ブリーフを汚しているからだった。
 気がいた。
 しかし事は終わらなかった。
 病的に青白かった奥さんの頬は真っ赤に染まっていき、鳩尾を押す段になって奥さんは、何かに取りつかれたような乱暴な手付きで薄いネグリジェを頭からぎ、そしてパンティも引き降ろしたのだった。
 目がくらんだ。
 パンティに押しつぶされていた黒い毛の数本が、ピチピチと音を立てるほどの勢いで逆立った。
 雑誌のヌードグラビアで女性の裸を見たことは、何度かあった。が、迫力が違った。しかも奥さんは、太腿を大きく開き、膝の裏を支え持ち、ぐいと腰を迫りあげたのだった。
 黒い毛の集団は肉の斜面に滑り落ち、ぷくっと膨らんだ得体の知れない肉を覆い尽くしていた。
 生まれて初めて目にしたオマンコだった。いやらしいと思った。猥らしく見えるのは、この黒い毛の隙間に覗く赤い裂け目に、膨張したチンポコをしこんだら、きっと夢精するより数段上の昂奮とか気持ちよさを感じ、ブリーフを汚すこともなく、白い液体を放出できそうだから……、と百会は言葉もなく見つづけた。
 それがセックスなのだろう。
 生々しい女性器の実物をの当たりにして、背筋がしびれ、頭の隅に空洞ができたような、今まで感じたこともなかった男の欲望を覚えた。
 チンポコの根元が焼けつくように疼いた。指圧をつづけるどころではなかった。慌てて奥さんの躯から手を離し、ズボンの前を押さえた。
 どうしたの? 奥さんに聞かれた。出てしまいそうなんです……。百会は正直に訴えた。奥さんの潤んだひとみがキラリと光った。
 奥さんの指先がふいに伸びてきた。ズボンのベルトがほどかれ、ファスナーを引き、ブリーフもろともズボンがずり下げられるまで数秒だった。
 今までわたしのことを大事に指圧してくれたお礼よ。ううん、そうじゃないわ、わたしがしたいの、あなたがもっと気持ちよく出せるようにね……。
 かすれた声を発した奥さんの唇が、直立したチンポコの先端に接近した。ぎょうてんした。しかし躯を引くことができなかった。奥さんの唇にいきなりチンポコの先が含まれ、そしてぬるぬるっとくわえ込まれたからだった。
 ずーんとした刺激に股間が震え、お尻の穴がキュッとすぼまった。奥さんの口が上下に動き出した。
 やめてくれ! 叫んだつもりだったが声にはならず、奥さんの口の動きに合わせ、夢中になって腰を振っていた。
 くわえられて一分も経っていなかった。
 ふぐりの奥に激しい脈動がつん抜けた。その瞬間、チンポコの根元がドバッと弾け割れ、熱い濁液が信じられないほど大量に、奥さんの口の中に放たれていったのだった……。
 そのことが百会にとっての、桜の開花だったのだろう。一つの蕾がほころんだことによって、次々と新しい花びらが開いていった。
 自分の指から得体の知れない電気が放たれていることは、いまだに半信半疑だ。が、父親に教えられた通り、女性の躯を優しく強く押すことによって、彼女たちはみるみる元気を取り戻し、よろこびの声を発し、百会の躯を求めてくるのは間違いのない事実だった。
 速水百会、十四歳の春……。
 満開にはほど遠い。だが、女性を愛し、いつくしむ男の心の一端を、十四歳の少年は身を持って知りはじめている。


 
 
 
 
〜〜『思 春』(末廣圭)〜〜
 
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