官能小説販売サイト 高竜也 『美姉』
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高 竜也    美姉

目 次
第一章 美しすぎる十九歳の裸身
第二章 狂いすぎる青い欲望
第三章 淫らすぎる姉の寝姿
第四章 悩ましすぎる二人の姉
第五章 締まりすぎる忍姉さんの秘孔
第六章 疼きすぎる朱い媚肉
第七章 昂りすぎる禁忌の儀式
第八章 哀しすぎる背徳の現実
第九章 熟れすぎる長姉、真由

(C)Tatsuya Koh

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 第一章 美しすぎる十九歳の裸身

 まだ寒さが残っているものの、街のそこかしこには春の気配を感じさせるものがいくつか見受けられるようになった。
 そのひとつ――といっても季節にはまったく関係ないものだが、晴海の特設会場で開かれているオール外国産新車ショウは、まさに春の到来を思わせるにふさわしい華やかさに包まれていた。プジョー、フィアット、ベンツ、ジャガー、シトロエン、ポルシェ……あらゆる種類の車が流麗なスタイルと色彩で、会場を訪れる人たちの目を奪った。
 そのなかでもひときわ光っていたのが、小坂忍の存在だった。もちろん車ではない。人間である。忍には他のコンパニオンたちにはない、名状しがたい魅力が備わっていた。可憐でありながら、どこか官能的であり、気品に満ちている反面、異性の欲望を刺激せずにはおかない淫靡さが漂っている。
 忍はコンパニオンが本職ではない。十九歳の忍は、東京の郊外にあるD大学の学生なのだが、各イベントにコンパニオンを派遣するアクティブ・ウーメン・グループ、通称AWGに所属する有能なコンパニオンでもあった。
 忍は英語学科専修なので、特に外人客が多いイベントに招集される。いや、語学が堪能だからというよりも、やはり容姿が際立っていたからだろう。
 忍は今、イギリスの誇る名車ロールス・ロイスの係となって愛嬌を振りまいていた。そして車の傍に集まる人たちは、名車に熱い視線を注ぐのと同じように、それとなく忍のオレンジ色のユニフォームに包まれた体と、美しくも官能的な表情を盗み見て、熱い溜息をつくのだった。
「あ、君……」
 周囲の客にひと通りの説明を終わったとき、忍は映画俳優にでもしたいような青年紳士に声をかけられた。
「なんでしょう、竹井さん」
 竹井と呼ばれた男はAWGの代表、竹井章で、数年前までは男性モデルとして売れ筋の一人だった男である。頭のきれる竹井はいつまでもモデルであることを潔しとせず、AWGを結成して成功し、今やこの業界では飛ぶ鳥を落とす勢いであった。
「一週間、ご苦労だったね。お礼に君を招待する件、大丈夫だよね」
「ええ……だけど家には仕事を内緒にしてるので、夜遅くなると……」
「でも、御両親はアメリカじゃなかった?」
「姉が母親代わりでうるさいんです」
「そこをなんとか……君と二人っきりでささやかなパーティを開きたいと思ってるんだ。ね、いいね。八時に家で待ってるから」
 また人だかりがしてきたので、竹井は笑顔を残して人ごみのなかに消えてしまった。
 その後ろ姿を見送りながら、忍は人知れず熱い溜息をついた。なぜもっと素直になれないのだろう……と、忍は自分自身を責めた。
 確かに、竹井が言ったように、父は大手商社の支店長としてニューヨークに滞在しているし、母も半年前から現地へ行っている。二十七歳になる姉は、忍と一番下のまだ十七歳の孝夫のために、勤めていたテレビ局を辞めて一家の面倒をみている。しかし、束縛したりはしない。マスコミの世界に働いていただけあって、考え方は自由である。
 それなのに……。
 忍は、初めから竹井の家に行くつもりでいた。ひょっとしたら竹井に抱かれるかもしれない、という期待もある。ただ、多少のためらいはあった。
 それは、竹井の態度についてなのだ。竹井は、忍が彼のことを想っているほど彼女のことを想ってはいないふしがある。そのことに忍は気づいたからだ。
 竹井には何人かのコンパニオンたちとの噂があった。それは、忍がAWGに所属するよりももっと以前からあったことらしい。いや、竹井は典型的な女らしのようなところがある。所属する若い女の子たちをつまみ食いするのは、竹井にとって日常茶飯事で、とりたてて大騒ぎすることではなかった。忍はそのことに気づくのが遅かっただけなのである。
 けれども、十九歳の忍には、竹井に対する恋愛感情を簡単に捨てきれないものがある。
 女たちのつまみ食いのことは、噂としては聞いていても、それを自分の目で確かめたわけではない。単なる噂なのかもしれないという、ほのかな望みもある。
 交替のコンパニオンが来たので、忍は仮設の休憩室でひと休みした。
 片隅で、他の大学から来たコンパニオンが小声で話をしている。男と寝た話のようだった。
「すごいの。帰るまでに三回もよ」
 そんな声を耳にしたとき、忍の脳裏に、竹井に抱かれる自分の姿が浮かんだ。
 急激にユニフォームの下の体が熱く火照ってきた。
 忍は聡明な女子大生だが、やはりまだ若いだけに、現代っ娘らしいところも多分に持っている。
 元モデルで、現在はコンパニオン派遣会社、AWGの代表――
 忍は、雑誌広告でAWGの存在を知り、初めて写真と履歴書持参で竹井のオフィスを訪れたとき、竹井が若いことにびっくりした。それは忍に限ったことではなかった。誰もがそうだったと言っても過言ではない。応待は優しく親切であり、またユーモアもあった。忍は即決で採用されたときから、竹井章に好意を抱いていた。
 結局、忍は竹井から一時間後に再び誘いの声をかけられたとき、素直にオーケイした。

 竹井は原宿駅近くにある神宮前に住んでいた。人、人、人で賑わう竹下通りから明治通りを渡り、五分も歩くと、それまでの喧噪が嘘のような閑静な高級住宅地となる。竹井はその一角に、和洋折衷の一軒家を所有し、たった一人で暮らしている。
 いつもは通いのお手伝いさんがいるらしかったが、その夜、仕事を終えた忍が訪問したのは夜の八時すぎだったこともあり、竹井だけが彼女を迎えた。
 すでにテーブルに並べられていたイタリア料理を食べ、ワインを飲みながら、竹井は忍に、自分のモデル時代の話をした。あけすけに女たちとの遊びのことも話す。話題にあがった女たちのなかには、著名なテレビタレントたちも何人かいるのには驚かされた。
「どうして結婚しなかったんです?」
 忍には、サクセスストーリーを地でゆくような竹井が、いまだに独身でいることが理解できない。
「それは……つまり、縁がなかったということだろうね」
 そのときだけ、竹井はちょっぴり悲しそうな表情になった。
「もっと若かったら、いや、もっと早く忍ちゃんのような人に出会っていたら、結婚していたかもしれないな」
 竹井はワインに酔ったのか、くだけた調子で「忍ちゃん」と呼んだ。
 忍は内心ドギマギしたが、どう答えていいのかわからなかったので、
「あら、そんな……社長さんならよりどり見どりじゃありませんか」
 そう言って、照れ臭さを隠すように、一気にグラスのワインを空けた。頭のなかが痺れたのは、あながちワインのせいだけではない。
「君のような若い人には、ぼくの表面しかわからないだろうね。若さがうらやましいよ」
「まだ三十二なのに?」
「明日からは三十三だ」
「若いわ。全然若いです」
「そうかな」
「そうよ」
「例えばだが……忍ちゃんを相手にして、ディスコなんかできるだろうか」
 ダイニングルームには、さっきからアダルトな音楽が低く流れていた。
「できますよォ。ね、やってみましょう。いいでしょう」
 忍は、ちょっとはしゃぎすぎているかという気がしないでもなかったが、立ちあがって竹井の手を取った。
「倒れたら面倒見てくれよ」
「ええ、いいわ」
 引かれるように立ちあがった竹井が、ダイニングルームの飾り棚にセットしたコンポーネントステレオのボタンを押して音楽を切り換えると、忍の知らないソウルフルな音楽が大音量で流れてきた。
 二人は踊った。そして結局、倒れて面倒を見てもらう羽目になったのは、若い忍のほうだった。
 踊っている途中で、忍はダイニングルームの白い壁や天井がぐるぐるとまわりはじめたのに気づいた。
「ちょっと待ってください」
 自分では踊りをやめたつもりなのに、体が勝手にフラフラと動く。そして足もとがもつれた。そのとき、タイミングよく抱きかかえてくれたのが竹井だった。
 いきなり熱いキスをされた。忍は長身の竹井の腕のなかで、急速に平衡感覚を失った。
 抱きあげられたときも、二人の唇は重ね合わさったままだった。
 抱かれたままダイニングルームを出て、竹井は忍を寝室へ連れこんだ。甘い香りのする寝室のベッドに横たえられた忍の下腹部のふくらみの上には、しっとりと熱い竹井の手が覆っていた。濃厚なキスによって火をつけられていた忍の体には、すでにさまざまな変化が起きていた。
 ワンピースのスカートのなかにもぐった竹井のてのひらは、パンティストッキングやショーツという遮蔽物があるにもかかわらず、はっきりと忍の女の部分が吐きだした花蜜の存在をとらえていた。
 忍のなかに、恥ずかしいという感情が交錯した。しかし、巧妙な手指の動きで掘り起こされる快感が強まるにつれて、恥ずかしさはいずこともなく霧散した。


 
 
 
 
〜〜『美姉』(高竜也)〜〜
 
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