高 竜也 若義母と実妹
目 次
第一章 雪に散った白き樹液
第二章 美妹の手中で躍る青き肉塊
第三章 義母に向けられたドス黒き欲望
第四章 実妹の胎内に注がれた蒼き毒汁
第五章 抑えきれない哀しき牡の本能
第六章 ついに義母の寝室に侵入した夜
第七章 自慰を晒し合う母と息子
第八章 牝の本音を吐く美香子の肉唇
第九章 真帆が知った衝撃の秘密
第十章 兄と妹、心と体で結ばれた肉交
第十一章 溺れゆく相姦、狂わされた絆
(C)Tatsuya Koh
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第一章 雪に散った白き樹液
高校三年生になったばかりの浜井省吾にとって、現在もっとも関心があるのは大学受験だったが、それと同じくらい、いや、時としてそれ以上に興味深いものは、セックスであった。
北海道大学医学部をめざして猛勉強するのは、いっこうに苦にならなかった。合格する自信もあった。
一年前から通っている予備校での模擬試験では常にトップクラスに入っていて、今のままでいけば合格間違いなしという評価を受けていた。
ところが、ことセックスに関しては、奥手というか臆病な面があり、友人や雑誌などで知識だけは頭につまっていても、まだ女を知らなかった。
童貞――これは省吾にとって屈辱的な事実であったものの、友人の前では女などとっくに知っているという顔を通していた。そしてそのことは事実として、みんなから容認されていた。
なぜなら、省吾は頭脳明晰なだけではなく、いわゆるジャニーズ系のタレントにしてもおかしくない美少年でもあったのだ。彼女がいて当然だと、周囲の友人たちが納得していただけに、かえって省吾自身の悩みは大きかった。時として、いかにもそれらしく振る舞う必要があったからだ。
底冷えのする夜だった。
省吾は勉強机から離れると、大きく伸びをして壁掛時計に視線を走らせた。
遅い夕食が終わって勉強机に向かった時、ダイニングキッチンのテーブルには他の家族三人が残っていた。父の信太郎は単身赴任先の大阪支社から一カ月ぶりに戻ってきて、好きな蟹を肴に酒を飲んでいたし、結婚して三カ月しかたたない義母の美香子は、信太郎の相手をしたり、いつまでも蟹の身をほじくっている真帆の世話を焼いたりしていた。省吾と年子で一つ下の真帆は、信太郎に甘えることでブランド物のお洒落な財布をねだる魂胆のようで、らちもない学校での出来事を脚色して、お喋りをつづけていた。
そんなありふれた家族の光景を見てから自分の部屋に戻ってきて、一時間以上がたつ。ホッと一息ついた省吾は、耳を澄ませた。もうダイニングキッチンからは物音も聞こえてこない。
「十一時か」
省吾は机に戻りかけたが、鏡に映った自分の顔がテカテカと脂光りしているのに気づくと、顔を洗うために防寒用のガウンを羽織って、そっと部屋を出た。
外は雪でも降っているのか、薄気味悪いくらい静かだ。
階段をおりかけた時だった。それまで物音ひとつしない家のなかの一角から、かすかな呻き声のようなものが聞こえてきた。
空耳かな?……
省吾は動きをとめて耳を澄ませた。
初め、鳩が啼いているのかと思った。しかし、こんな寒い時季のこの時間に、鳩が飛びまわっているわけがない。
神経を集中して聞き耳をたてた。
声は、廊下の斜め向かい側にある両親の部屋から聞こえていた。途切れ途切れで苦しそうな声は、明らかに義母のものだった。
義母といっても、まだ二十九歳。四十二歳の信太郎よりも、むしろ十七歳の省吾のほうに近い年齢である。
なにかあったのかな……。
そう思った省吾だったが、すぐにあることを思いだして、ハッとなった。
ちょうど四カ月前のことだ。父の信太郎が生活に不自由を感じるし、上司のすすめもあるという理由で、二人の子供に再婚する意志を明らかにした時、妹の真帆がはっきりと言ったのだ。
「再婚するのはお父さんの自由だわ。特に反対もしない。でも、絶対に赤ちゃんだけは作らないで」
省吾はその時に初めて、父の再婚はセックスをともなうものだと認識したのである。だから父の部屋で、なにかあったのではないかという思いが、セックスしているという考えに変わったのは、当然すぎるほど当然であった。
にわかに体内の血がザワザワと音をたてて騒ぎはじめた。部屋の外であったにもかかわらず、カーッと体が熱く火照った。階段をおりるはずの足が、いつのまにか両親の部屋に向かっていた。
両親の寝室は階段の手すりの向こう側なので、距離にしたら三、四メートルほどだ。省吾はすぐにドアの前に立った。
なかの声が、今度ははっきりと聞こえた。
「あああ、たまんない」
今にも蕩けそうな声に、省吾の感じやすい分身はみるみる体積を増してしまった。
もう疑う余地はなかった。ドアの向こうで、父と義母が抱き合っているのは明白だった。不思議なことに、父の姿は思い浮かべることがなく、義母の美香子の裸身だけが、脳裏につまっていた。といっても、省吾は美香子の裸など見たことがない。衣服の上から想像するにすぎない曖昧な裸身が、頭のなかを行き交うだけだった。
見たい!……
強烈な省吾の思いも、現実的な一枚のドアの存在によって阻まれていた。
ドアには鍵穴などない。ドアをこっそり開けるなどという勇気もない。内部からのくぐもった美香子の声は、少年の想像をぐんぐん膨らませていった。
ああああ、見たいっ!……
省吾はめまぐるしく頭を回転させた。こんな時は、思いもつかない考え方が閃くものである。
そうだ!……
省吾は、廊下の突き当たりのドアをそっと開けた。そこには普段はあまり利用しない外に向かって張りだした小さなベランダがある。万一に備えての脱出口で、折りたたんだ縄梯子が常備してある。
外は雪が降っていた。風がないのが幸いだった。
省吾は手すりから上半身を乗りだして両親の部屋のほうを見た。
ベランダからは直角に位置した部屋の窓には分厚いカーテンがかかっていたが、両端の部分はきっちり閉まらないのか、閉め忘れたのか、少し隙間があり、部屋の光がもれていた。外が暗いだけに、その光の印象は特に強い。
一部分ではあるが、光のなかに屈折した白いものが見え隠れしている。それが仰臥している美香子の脚だと気づくと、省吾の目はこれ以上は開かないと思われるほど拡大してそこに注がれた。
分厚く垂れているカーテンを引き裂きたかった。窓硝子をぶち破りたいとさえ思った。
美香子の白い両脚の間に、時折り黒いものがチラチラする。初めは、ふくらみを彩る陰毛かとドキドキしたが、やがてそれが信太郎の頭だということに気づくと、にわかにその体勢がなにを意味するかがわかり、体中の血がカッカと燃えさかった。
省吾は、自分が父と同じことをやっている気分に陥り、何度も生唾を呑みこんだ。
「オマ×コの味って酸っぱいんだぜ」
友人がそんな意味のことを言った記憶がある。誰かが校内に持ちこんだポルノ写真にも、男女が互いの性器を舐め合い、恍惚とした表情をしているものがあった。
今、一方的ではあれ、父がそれを義母に対してやっているのだ。声はベランダまでは聞こえてこないものの、ついさっき、ドアの外で聞いた美香子の甘い声が、今も耳もとで囁かれているような気がする。
カーテンの向こうで、動きが変わった。美香子が起きあがったようだった。
隙間から乳房が垣間見えた。座った体勢で、なにやら下を見つめている。そしてゆっくりと顔を伏せた。長い黒髪が垂れたので表情はうかがい知れない。
おや!?……
髪が揺れはじめた。リズミカルに上下している。
「ああ……」
闇のなかで省吾の吐息がもれた。美香子の頭の揺れが意味するものを、十七歳の多感な少年は、すぐに理解したのだ。
パジャマズボンを突きあげている肉棒を引っ張りだすと、強く握った。まるで美香子の舌がそこに絡みついているような気分だった。
美香子が起きあがった。下から伸びた手が、揺れている乳房を掴むのが見えた。
美香子の顔が天井を向いた。固く結んだ口もとに、愉悦の兆しが表われている。
近くに行って見たかった。男女の実際の営みを見たのは、生まれて初めてだった。ほんの一部分であれ、ともかく見たいのだ。
ああああ、もっと見たい!……
すべてを間近で見たいと痛切に思った。
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