官能小説販売サイト 宮内剛 『肉弾画商』
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宮内 剛    肉弾画商

目 次
第一章 愛人払い下げ
第二章 女流画家の妹
第三章 肉弾サービス
第四章 打算で情事
第五章 喪服の女
第六章 いい女の味わい
第七章 涙のつばめ返し

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   第一章 愛人払い下げ

     1

 かどまさは複雑な気持ちで浴室に入り、ゆっくりと体を洗っていた。
 初めての女性とラブホテルにしけこんだときは、身も心もギンギンになるものだが、相手がみや小路こうじそのではどうも調子がちがうのだ。
 園子は長いあいだ三門の恩人であるひらろうの愛人だった女である。街や深夜スナックでナンパした女のように気軽にはあつかえない。そのぶんだけ気が重いのだ。
 平井悟郎は八十歳にちかく、すでにあらゆる事業から身をひき、悠々自適の老後を送っている人生のOBである。最後まで関係していた競馬界からも引退して、現在は一頭の馬も持っていない。この平井の邸に、学生時代の三門は庭掃除のバイトに行ったのがきっかけで居候していたのである。もちろんただで養ってもらったわけではなく、使い走り程度の仕事はしていた。昔流にいえば書生だったわけである。
 大学を終えてからは平井邸を出たが、それでもしばらくは学生時代と同じ雑用係をしていた。
 雑用のなかでもいちばん楽しかったのは、平井について競馬場に通ったことだろう。馬券を買うのはもちろんだが、馬主としての平井の仕事やつき合いにもついて行き、あれこれ競馬界のことを学んだものだ。
 平井が持ち馬をすっかり整理して隠棲するようになると、三門もすることがなくなった。それで現在勤めている絵画販売会社「ルノアール社」に送りこんでもらったのである。
 若い頃から絵画のコレクターだった平井はその方面でも顔がひろく、ルノアール社のあおたみとも面識があったのだ。
 ただ三門の場合はこのルノアール社に職を得るというだけでなく、平井が青木社長に預けている名画の監視役のような役目もあった。青木はルーズな性格で、平井の所有であるよこやまたいかんの絵などは、行方不明になっているのだった。
 もう物欲からは解き放たれている平井ではあったが、できればその絵の行方をさぐってほしいようだった。そういう意味もあって、平井は三門をルノアール社に世話したのだろう。すくなくとも三門はそう思っていた。
 学生時代からずっと世話になり、結婚の相手までさがしてもらった平井には、三門はまったく頭が上がらない。元気な男の子にも恵まれ、三十半ばまで波風のない生活を送ってこられたのも、平井のおかげだと思っていた。
 ルノアール社に入ってからは、絵画のお得意としても、平井は大切な人だった。そういう恩にむくいるためにも、ぜひ行方不明の横山大観の絵をさがし出したいというのが、目下の三門の願いだった。
 その件でいくらかの情報を得たので、平井邸を訪れたところ、思いもかけないことを切り出された。長いあいだ身のまわりの世話をしてきた愛人の宮小路園子を、三門に譲ると言い出したのだ。
 三門を孫のように可愛がり、いろいろな物を気前よく与えてくれた平井だが、人間を贈ると言い出したのは初めてだった。昔の天皇や将軍がお気にいりだった寵妃や側室を、忠実な臣下に与えるような按配だった。
「三門君、わしがこの世でキミにあげられる最後で最高の贈り物だ。それが園子じゃよ。この女に比べれば、ルノアールもピカソも鼻クソでもない。犬や猫のクソにわくウジムシぐらいのもんじゃよ」
 と、平井悟郎は言った。
「ただな、園子を打算だけで利用しようとすると、なにごとも裏目に出る。誠心誠意、彼女を喜ばせてやることじゃ。そうすれば、これほど威力を発揮する福マン女はない。現にこのわしが大金持ちになっとるじゃろが……」
 その宮小路園子との初めてのデートの夜である。場所は新宿のはずれのラブホテルだった。
「そうだったな。誠心誠意が必要なんだな」
 三門はひとりごとをつぶやき、湯舟に深々と身をしずめた。
 二月も残り少なくなったが、夜はかなり冷えこんだ。浴室でも長く流しに座りこんでいると、股間の分身までちぢこまってくる。彼は湯の中で、ちぢこまったヤツをゆっくりもみほぐした。立つまではいま一歩だった。
「園子さん、入って来ませんか。背中ぐらい流しますよ」
 三門は湯舟から応接間に呼びかけた。
 二、三度呼んだが、テレビをつけている園子には聞こえなかったらしい。三門は湯から上がり、浴室のドアをあけて同じ言葉をくり返した。園子はふり向いて、
「はい、ありがとう。そうしていただこうかしら」
 と、素直に答えた。
 間もなく彼女は、タオルと手で胸と下腹部をおおいながら入ってきた。
「ホオーッ」
 三門は目を見はり、風のような声をもらした。園子の裸体が予想以上に若々しく輝いて見えたからである。
 四十近い女という先入観があるから、たいして期待もしていなかった。しかし、先入観はうれしいほうにはずれたのだ。
 衣服を着た姿からも、胸と腰が豊かなことは想像できた。実際にもそのとおりだった。しかし、それ以外の部分も、なかなかみごとなものだった。
 腰のくびれといい、すべすべした平らな腹部といい、とても熟年女には見えなかった。大金持ちの平井悟郎が、丹精こめて磨きあげただけのことはある。
 三門は声にこそ出さないが、
(フーン。そこいらのチャンバアとは、ちょっくら違うなあ)
 と感嘆していた。
 ただいつまでも黙ってじろじろ見るのも失礼なので、
「きれいな体をしてますねえ」
 と、お世辞を言った。
 まだ三門のではなく、平井翁からの借りものである。自然と言葉づかいもていねいになった。
「もう年ですわ」
 園子は軽く受け流して、湯と水の出る蛇口の前に腰をおろした。鏡の前だった。三門は鏡に映る園子の乳房に目をやった。
 整形手術をしたのではないかと思われるほど、それはふっくらと丸く盛り上がっていた。
 乳首は大きく色も濃いが、そのまわりのにゅううんはピンク色にちかかった。
 じっと鏡の中の乳房に見入っている三門に気づき、園子は片手で軽く胸をおおった。そんなしぐさも、中年女とは見えぬういういしさだった。
(こんなことも平井先生が仕込まれたのだろうか。園子さんは子どもを産んだことはないのかなあ)
 三門の好色な目はそんな思いをこめて、鏡の中の女体をなでまわしていた。
 これまでは外見的な容姿や人柄などは知っていたが、平井翁の愛人という垣根越しに見ていた。これからは内側に踏みこんで、もっと彼女をよく知らなければとも思った。
 三門は視線を下に移した。黒々と繁茂したヘアが映っていた。デルタの下部は鏡から切れていた。
「濃い……!」
 三門はかすかにつぶやいた。
 若い子でヘアの濃いのはセックスアピールが強烈でいいが、熟女で濃すぎるとちょっぴり怖い気もする。男を食いそうな感じがするからだ。
 しかし、平井老人は大成した上、長寿を保っているし、なによりも得がたい福マンだと保証している。取り越し苦労だろうと思い直した。
「もう平井先生は男性の役割はされないんですか」
 三門はわりと露骨に聞いた。
「八十歳近いですものねえ」
「それじゃ、園子さんは困るでしょう?」
「でも、いろいろほかの方法で楽しませていただきましたから」
 せっかくデートが実現したのに、ほかの男性との情事を聞くのもつやしだった。三門はすぐにそれに気づいて話題を変えた。
「いったんお湯につかったらどうです? それから背中を流しましょう」
「そうね。じゃあ、そうしましょ」
 園子は素直に応じ、さっさと湯舟に入った。ふちをまたぐとき、女の恥部がヒップの割れ目の向こうに見えた。プックリと大きく出ばった黒マンジュウのようなそれは、ハッとするほどみだらだった。
 すこし刺激に慣れて力を失いかけていた三門の股間は、たちまち元気を回復した。
 三門は女の秘密の部分を、うしろから見るのが好きだった。前から見るよりもずっと刺激が強いのだ。またうしろからのほうが、あそこも雄大に見えるから不思議である。
(女のあそこは、前からでもうしろからでも自由に接することができるようにつくられてるんだなあ)
 三門は女の秘所を眺めるたびに、そんなあたりまえのことに感心するのだった。
 チラッと見えただけでも、園子のうしろからの眺めは強烈だった。三門は彼女の視線がこちらに来たので、股間にそっとタオルをかけた。
「三門さんは競馬が好きでしたねえ」
 彼の熱をさますように、園子は湯舟の中から話しかけてきた。
「ええ。ルノアール社に入る前に、本気で競馬の専門紙の記者になろうと思ったほどです」
「へーえ。じゃあ、いまの会社を紹介した平井先生が恨めしいでしょう」
「いえ、それはありません。いくら好きなことでも、仕事にしてしまうと遊びの楽しみはなくなるでしょうからね」
 そんな話をしているうちに、また股間の硬さがゆるんでいった。
「まあ、仕事となると楽なことはありませんねえ。絵画の販売もなかなか……」
 と言いかけたとき、園子が立ちあがって湯舟の縁をまたいだ。また濃いヘアの下に、濡れ濡れとした大ぶりな肉の裂け目が見えた。三門はそこへ焦げつくような目を向けた。
 
 
 
 
〜〜『肉弾画商』(宮内剛)〜〜
 
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