官能小説販売サイト 宮内剛 『姫貝さぐり』
おとなの本屋・さん


宮内 剛    姫貝さぐり

目 次
第1章 いきなりコケシ責め
第2章 人妻との性戯は取引きの内?
第3章 今ならやれそう昔の恋人
第4章 このコケシ返します!

(C)Go Miyauchi

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(この作品は「おとなの本屋・さん」のために書き下ろされたものです)


 第1章 いきなりコケシ責め

     1

 さかがわ斤一は、久しぶりに胸がワクワクしていた。この〃かえでダンス・クラブ〃に入って半年、ずっと狙ってきたが、やっとオーケーのサインを出してくれたからだ。
 紗代は三十代の人妻だが、見た目は二十代のOLだ。体はグラマラスである。まだ中年女の体つきではない。その一歩手前で、柿ならそろそろ熟柿になりかかる頃だろう。
 顔は申し分ない。中学時代に憧れたやすずみほしや、高校時代に愛した弓江トキにそっくりだ。だから、よけいに惹かれていたのである。
 彼女と踊るときは、握った手に力をこめて、なんどもサインを送ってきた。しかし、ずっと反応がなかった。
 タンゴを踊るときは、思いきり彼女の股の間に脚を入れ、グリグリと下腹部をこすったりもしてみた。やはり彼女は反応を示さないのだった。
 帰りにお茶を飲む程度はつき合うけれども、その先はだめだった。それが最近になって、とつぜんグッと強い反応を見せるようになったのである。この日の反応は、特にいちじるしかった。
 握った手に力をこめると、彼女のほうも握り返してきた。ほかの者には気づかれずに、男女が意思を交わす、一番いい方法である。
(ああ、とうとう彼女も落ちるか)
 そう思うと、酒井川は胸が高鳴った。
 ワルツを踊りながら、
(なぜ彼女は、そんな気になったんだろうなぁ?)
 と思った。
 それはわからなかった。だが、ホテルに落ち着いてから、聞いてみればよいことだ。
 ワルツでは胸が触れることも多いので、そのたびに、乳房をタッブリともんでやる。彼女はなにくわぬ顔をしているが、興奮してくるのが手に取るようにわかる。鼻の頭に汗をかき、鼻翼がピクピクするからだ。
 体の温度がかなり上がる。体を接しているので、女の興奮がじかに伝わってくる。
 狙った女がジワジワと興奮してくるのは、楽しいものである。それにあおられて、こちらもグングン高まっていく。
 このクラブでは、三時間の稽古の中ほどで、休憩時間を取る。午後二時半ごろだ。そのとき酒井川は紗代に、
「きょうは早目にいっしょに帰りましょう」
 と誘った。
「ええ、そうしましょうか」
 彼女は、かんたんにオーケーした。これまでにはなかったことだ。そんな反応を見ても、その気になっていることが知れた。
 紗代は夕方には早目に帰宅して、子どもや夫の食事の用意をしなければならない。そうゆっくりしていられないはずだ。ラブホテル近くの喫茶店で、お茶を飲みながら、彼女の気分をほぐした。
 頃合をみて、
「そうだ。きょうやったところで、どうしてもうまくいかないBCM(腰の回転によるリード)があるんです。静かなところで、それをちょっと復習しませんか」
 と誘った。
 ダンスをやっている者同士だと、露骨な誘い方をしなくてもいい。この点は、とても好都合である。
「ええ……そうねえ」
 紗代はチラッと、腕時計を見た。
「長い時間は取りませんから、心配はいりませんよ。何回かくり返してみれば、カンがつかめると思うんです」
 酒井川は言った。
 紗代はうなずいた。彼はビル(勘定書)を取って、サッと立ち上がった。相手の気が変わらないうちに、どんどん進めるのだ。ナンパはタイミングである。
(まぁ、そのうちポチポチ……)
 なんて思っていると、チャンスをのがすことが多い。女心と秋の空で、女の心はすぐに変わる。
 ホテルの前の通りには、何人かの姿があった。それが消えるのを待って、サッと入る。
 酒井川は定職を持たないから、リッチではない。しかし、最初のデートだから、八千円もするいい部屋を取った。時間が超過すれば一万円ではすまない。
 部屋に入り、ドアロックをすると、彼はすぐ紗代を抱き寄せた。
「ずっと憧れていたから、夢みたいです」
 ささやきながら、耳たぶや頬から唇へと、キスしていく。彼女も、
「私も……」
 と言って、キスにこたえた。
「それにしても、急にオーケーのサインが出たので、びっくりしましたよ。どういう心境の変化ですか」
「酒井川さんの気持ち、前からわかってたわ。でも、なかなか踏み切れなくて……。これでも家庭を守る身だから」
「でしょうね。だから、僕はじっくり待つつもりだったんです。旦那さんが、浮気したとか、そんなこともあるんでしょう」
「ええ、それも……」
「急に冷たくなったんですか」
「前からそうだったけど……。でも、いいんです、そんなこと……」
「抱いてくれなくなったんですか」
「そういうことは、もうずっと前から……」
「そうですか。でも、紗代さんが言いたくなければ、これ以上聞きません。大人同士ですから、責任をもってつき合いましょうね」
 そう言ってから、こんどは舌をからめたディープ・キスに移る。
 両手では、しっかりと体をだきしめている。彼女の乳房が、つぶれそうなほどだ。紗代の乳房は、ブラウスの上から見ても、キュッと盛り上がっていて魅惑的だ。
 踊るときは、モダン種目では、胸どうし触れ合うことが多い。それによってもわかっていた。
 ラテン種目でも、キューバン・ルンバやチャチャチャでは、女性には体のツイスト(ひねり)が多い。そんなときは、背中に回している男の右手がずれて、乳房に触れる。それで女の乳房の大きさやはずみがわかるのだ。
(紗代のはボッテリとしていて、柔らかく大きな乳房だな)
 と、いつも思っていた。
 その魅惑的な乳房に、思うぞんぶん触れたり、口づけしたりできるのだ。それはともかく、うまくいけば、いつも携帯しているコケシを使えるかもしれない。
 そう思うと、息づまるようだった。しかし酒井川の股間のものは、まだ固くふくらむことはない。しかも小指ほどの代物で、これが深いコンプレックスになっているのだ。
 まず秘蔵のコケシを使って、女を乱れさせる。その姿をみているうちに、やっと自分のものも硬くなってくる。最初から自分の肉体を使うことはできないのだ。やや異常な体質になっているようである。
 うっとりとした紗代の表情や、燃えるような体の熱さからみて、彼女の秘部は、もう濡れているに違いなかった。
 
 
 
 
〜〜『姫貝さぐり』(宮内剛)〜〜
 
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