官能小説販売サイト 一条きらら 『不倫相歓』
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一条きらら   不倫相歓

目 次
第一話 不倫感傷旅行
第二話 恥辱に快感
第三話 ひそかな淫楽
第四話 若竹なぶり
第五話 アクメが欲しい
第六話 サラ金売春
第七話 義弟に捧げる秘芯
第八話 テレフォン疼き
第九話 不倫相歓

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   第一話 不倫感傷旅行

     1

 三鷹駅北口近くの喫茶店で、由利子は吉川映子と窓ぎわのテーブルに向かい合っていた。
 吉川映子は三カ月前、三鷹マンションに引っ越して来て、由利子と親しくなったのである。
 由利子は三十歳。夫の啓一は三十五歳で中堅の食品販売会社で、企画宣伝課長代理をしている。
 映子は三十三歳。子供がいないのが共通点で、急速に親しくなったのだ。
 週一度、二人はエステティックサロンに通っている。と言っても、そんなにお金のかかるコースではない。顔とボディのマッサージが主だった。
 月に一度、美容院へ行くのも一緒だった。
 メーキャップの本もファッションの雑誌も交換して読み、研究し合っている。
「努力次第で、若さと美しさは保てるはずよ」
 というのが、二人の一致した意見。
 その涙ぐましい努力によって、二人とも二十代後半ぐらいに見える。由利子は色白でモチ肌。胸と腰がふくよかである。映子は薄い小麦色の肌で、スリムな身体つき。
「不倫旅行が、はやってるんですって」
 と映子が言って、ストローでフレッシュジュースを吸い上げた。
「不倫旅行なんて、ロマンチックねえ」
 由利子はうっとりした顔つきになる。
「相手がいればね」
「あら、映子さん、このあいだ話してた車のセールスマンと、最後の線までいかなかったの?」
「何となくね。話してるうち、だんだん、ベッドを共にする気なくしちゃったのよ」
 映子は、もの憂げにテーブルに頬杖をついた。
「本当?」
「由利子さんに嘘ついたって、始まらないでしょ」
「男と女って、そんなものよね。そう簡単には、ベッドを共にできないものよね」
「ところが男って、簡単に女をものにできる、って思ってるんじゃないかしら。特に相手が人妻だと」
「そうそう。夫に欲求不満の人妻なんか、すぐに落ちると思ってるのよね」
「そう思ってるだろうな、って思うと、嫌気がさしちゃうわね」
「ほんと。世の中、軽薄浮気男が多いから」
「かといって、死ぬほどロマンチックな恋愛なんて、そう経験できるものじゃないし」
「でも、あたし達がせっせと磨き立ててるのは、何のため?」
 由利子は自分に問いかけるような口調で言った。
「自分のため、って言いたいけど、女が美しくありたいのは、やっぱり男に美しく見られたいからよね」
「夫も一応、男だけど」
「ほめてもらったって、あまりうれしくないし」
「すてきな男性に、魅力的だねって言われなくちゃ、全身美容もお化粧もむなしいと思わない?」
「思うわ、ほんと」
 二人は同時にため息をついた。その時、
「いらっしゃいませ」
 というウェイトレスの声に、二人は何となく入口の方に視線を向けた。
 客は四十歳ぐらいの中年男と二十代のOLらしい女のカップル。女は男の腕に腕をからませ、親密そうな感じである。
 由利子と映子は顔を寄せて、囁き合った。
「上司と部下かしら?」
 と、由利子。
「不倫関係ね」
「けっこうスレた顔してるじゃない、あのOL」
「男の方は窓ぎわ族ね」
「こんな時間に女とコーヒー飲みに来るんですものね」
「オフィスラブって、かなり乱れてるんじゃない?」
 ウェイトレスが通りかかったので、二人はフレッシュジュースのお代わりをした。美容のために、コーヒーや紅茶は飲まない。
「ねえ、不倫旅行しない?」
 映子が瞳を輝かせる。
「だって、相手が……」
「旅先で見つければいいじゃないの? ね、そうしましょうよ。旅先の不倫ていうより旅先のロマンスを求めて」
「旅先のロマンス? 素敵じゃない?」
 由利子も眼を輝かせた。
「素敵な男性に、きっとめぐり会えるわ。私、そんな気がする」
「あたしもそんな気がする」
「ロマンチックな旅、行きずりの恋」
「人妻だって、女よ。女は恋をするために生まれてきたのよ」
 由利子は夫のことを忘れて、夢見るように呟いた。
「ねえ、行きましょうよ、由利子さん」
「ええ、行きましょう」
「どこがいいかしら。そうそう、本屋さんへ夏の旅行のガイドブックを買いに行かない?」
 映子がはずんだ声をあげ、由利子も胸がワクワクしてきた。


 
 
 
 
〜〜『不倫相歓』(一条きらら)〜〜
 
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