官能小説販売サイト 一条きらら 『昼下がりのベッド』
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一条きらら   昼下がりのベッド

目 次
不倫の誘惑
逢いたくて
狂おしい欲望
昼下がりの密会
熱く抱かれて
深夜のカー・セックス

(C)Kirara Ichijo

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   不倫の誘惑

     1

 邦彦が出張する前夜は、必ずベッドで愛し合うことになっている。
 新婚のころから、そうだった。
 結婚してまだ半月もたたないうちに、邦彦が三日間出張することになった前の夜、美奈はベッドに入るなり彼に抱きついて甘えた。
「寂しいわ。明日もあさっても、一人ぼっちで寝るなんて」
「僕だって同じだよ」
「大阪で、あなた浮気しないでね」
「するもんか」
「じゃ、今夜はいっぱい愛して。一回だけじゃいやよ。二回か三回よ。ね、早く、これ脱がせて。キスして」
 美奈はもどかし気にネグリジェのボタンをはずし、邦彦の手で脱がせられて全裸になると、待ちきれないように自分から唇を合わせていった。
 その夜、邦彦は美奈の中に、三回果てた。
 結婚してから一日おきぐらいに愛し合っているが、邦彦が果てるのはたいてい一回だけ。二回も三回もということは、めったにない。
 だから、これだけたっぷり愛し合っておけば、出張先で邦彦は浮気しないだろうし、美奈も二晩の寂しさに耐えられる。
 そう思って安心して眠りについた。
 それ以来、泊りがけの出張があるたびに、邦彦がたとえ酒を飲んで遅く帰っても、あるいは美奈が生理中であっても、必ず愛の交じわりをする。
 その習慣は、結婚して三年目の現在も続いている。
 邦彦は今年、二十九歳。美奈は二十六歳である。避妊しているわけではないが、子供はまだ、いなかった。
 代々木にある七階建てマンションの七〇三号室に、夫婦は住んでいる。
 邦彦は、そう大手ではないが製薬会社に勤めていて、営業第一課に所属している。
 仕事柄、接待などで酒を飲んで、遅い帰宅が多い。出張も月二回ぐらいはある。
 今夜も邦彦は十一時半に帰宅した。
 明日から三日間、福岡へ出張することになっている。
 玄関のドアを開けると、酒気を帯びた邦彦が、
「た、だ、い、ま」
 と、ふざけるように美奈をギュッと抱きすくめた。
 美奈はもう入浴をすませて、ピンクのネグリジェ姿である。
「お帰りなさい。あなた、明日は出張でしょ。早く寝ないと」
 アルコールの匂いに慣れてはいるものの、チュッとキスされて、美奈はすぐに夫の腕から抜け出て、スリッパをそろえた。
「おや、寝かせてくれるのかい? 出張の前夜は、僕のザーメン絞り取っちゃうくせに」
「あら、いいのよ。お疲れならムリしなくたって」
 美奈は、すました顔で言い返し、
「その代わり、あたし、誰かさんと不倫しちゃうから。ね、あなた、人妻って夫の出張中に寂しくて不倫しちゃうっていうケースが、一番多いんですって」
 と、リビングに入りながら冗談を口にし、邦彦が脱いだ上着を受け取ってハンガーにかける。
 それからキッチンへ行って、冷たい水を入れたグラスとお絞りを運んで来る。
 帰宅した邦彦に必ずお絞りを使わせるのは、きれい好きな美奈の習慣だ。
 手を拭いて、グラスの水を一気に飲みほした邦彦は、美奈のネグリジェ姿を眺めるようにして、ネクタイを首から抜き取りながら、
「だけど僕の奥さんが一番色っぽくて可愛いよな」
 なんて酔った口調で言う。
 お絞りとグラスをトレイに載せていた手を止めて美奈は、
「あなた今夜も、ホステスのいるバーかクラブで飲んで来たのね」
 と邦彦の顔を、拗ねたように見つめた。
「仕方ないよ、仕事だもの。遊んで来たわけじゃない」
「わかってるわ。でも、ホステスからサービスされたんでしょ、いろいろと」
「いろいろと、ってそんな変なことするわけじゃないよ。僕が接待されるわけじゃないし」
 キッチンに向かう美奈の後を、邦彦はワイシャツのボタンをはずしながらついて来る。
 美奈はOL時代に上司に連れられて数回、バーやクラブへ行ったことがある。
 そこで初めて、ホステスを見た。男の客に、しなだれかかったり、手を握らせたり、男の太腿に手を置いたり、抱き寄せられたり。
 そうきわどいことをするわけではないが、ホステスのあんなサービスを邦彦も受けているのかと、嫉妬せずにいられない。
 他の女が、邦彦の身体に指一本触れるのも、いやだ。
 けれども、遊びじゃなく仕事のうちと思えば、諦めなくてはならない。
「美奈、一緒に風呂、入ろうよ」
 ワイシャツの前をはだけた邦彦が、美奈の背後から抱くようにしてネグリジェの胸許に手をすべり込ませてくる。
「うふん、いやよあなた、こんな所で」
 邦彦の指が、乳首に触れたとたん、ジーンと熱い感覚が湧きあがってくる。
「僕が、ちゃんとここを、洗ってやるからさ」
 邦彦の左手が、ネグリジェの上から美奈の下腹部を、ギュッと押さえつける。美奈は甘い声を洩らした。
「だめ……ねえ……早くお風呂に……入って」
「ここで、やりたくなった。ね、美奈、ちょっとだけ」
 昂奮してうわずった声の邦彦は、慌ただしくズボンのボタンをはずしファスナーを下げ、トランクスと一緒に膝までずり下げると、美奈のネグリジェの裾をまくり上げた。
「ああん、だめ……ちゃんとベッドで……あっ」
 よろけかかって美奈は、流し台のふちにつかまった。邦彦が、美奈のピンクのパンティを、丸い尻からくるりとむいて足首まで下ろし、抜き取って床に放る。
「もっとお尻を、突き出して」
 
 
 
 
〜〜『昼下がりのベッド』(一条きらら)〜〜
 
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