中村嘉子 女医の熱い部屋
目 次
プロローグ
女医と五番打者の軟らかい関係
カルテC‐1
不感症の若妻には、〃断末魔〃のクリトリスがついていて……
カルテC‐2
妊娠しやすい女子高生には、ちょっとステキな広域暴力団のヒモがいて……
カルテC‐3
五番打者のまわりには、膣を自覚らない女が二人いて……
エピローグ
番外の処方
(C)Yoshiko Nakamura 1987
◎ご注意
本作品の全部または一部を無断で複製、転載、改竄、公衆送信すること、および有償無償にかかわらず、本データを第三者に譲渡することを禁じます。
個人利用の目的以外での複製等の違法行為、もしくは第三者へ譲渡をしますと著作権法、その他関連法によって処罰されます。
プロローグ
女医と五番打者の軟らかい関係
滲み出てくる感触は、〃蜜〃よりは、むしろ〃膿〃にちかい。
指でいじくりでもしない限り、表面はそうひどくは痛まず、そのくせ、芯のあたりは絶え間なくズキズキと疼いている化膿部……そんなでき物から滲み出てくる膿の感触に、今のこの愛液は、よく似ている。
なぜ、そんななのか――亜実には、その原因がよく判っている。職業柄、判断がつくのではなく、ひと一倍濃い女の本能で、判るのだ。
膣内に、なにも挿入ていないからだ。ペニスはおろか、バイブレーターも、スキンを被せたキュウリのような代用品も、男の指も、そして、自分の指さえも……。
なにも挿入せずに、亜実は、今、感じているのだ。
全裸で、背中を壁に密着させ、脚をかなり開いてじっと立っている。
そして、感じている。ジワジワと、まるででき物から、気力だけで膿を外へ押し出しているように……。
「あ……あン……ん……ん……」
亜実の口から、何度目かの呻き声が洩れた。
「……ん……あ……うう……」
他人が聞けば、それはよがり声だ。それ以外のものには、おそらく、聞こえようがない。
だが、本当のところは、よがり声とは、ちょっと違う。微妙に、違っている。
その違いを判っているのは、亜実自身と、そして、この光景を、さっきから傍でじっと見守っている翔一……二人きりなのだ。
「あぅ……うっ……うっ……」
乳房にもわれめにも、どこにも触れようとはせず、両手をブランと下げた恰好で、亜実は、コンクリートに壁紙を貼りつけただけの、夏でもヒンヤリと冷たい壁を背負って、呻きつづけている。
快感と呼ぶにはあまりにも辛い性感が、じんわりと、太腿の付け根と、クリトリスのごく先っちょのあたりに、湧いてきているのだ。
〈もうちょっと……もうちょっと……〉
あとほんのわずかで、辛い、歪んだ性感が、快感に変わる。たぶん、変わる。
〈変えたい……はやく……ああ、はやく……!〉
亜実は、その恰好のままで、悶えた。
悶えれば悶えるほど、全身の昂りは確実に増していくのだが、肝心の快感が――子宮感が、なかなかやってきてくれない。〃もうちょっと〃が、容易に達かないのだ。いつものことなのだが……。
〈ああ……クリットがものすごく疼く……いじりたい……いじれば、きっと……〉
クリトリスを指でいじくれば、きっと快感がやってくるだろう。
そんなことは判っているのだが、そうするわけにはいかないのだ。
〈……あっ、あン……オッパイの先も、くすぐったい……熱い……たまんない……!〉
乳首が、キューンと泣くように充血してきた。硬い……熱い……痒い……。
〈いじりたい……いじりたい……いじりたい……ああン……!!〉
いじりたくて、たまらない。クリトリスも乳首も……。
だが、いじるわけにはいかないのだ。
翔一を愛しているから――。
翔一のために、とっておかなければならないから――。
〈……いじりたい……けど、我慢よ……全部、翔一にあげるんだから……〉
翔一に噛みつきたいほどの焦れったさに、亜実は、必死で耐えた。耐えなければ、翔一とは〃セックス〃ができないのだから……。
われめの〃膿〃の出が、急に激しくなってきた。
全身にたまる一方の苛立ちを、秘口から全部吐き出してしまおうとするように、濃くて、なま温かいものが、われめを押し拡げるように溢れ出てきた。
まるで、子宮そのものがとろけ出ていくような感じで……。
「あうう……!!」
唐突に、〃膿〃が〃蜜〃に変わった。
今まで、性器の内部に毒ばかり感じていたのに、急に、〃おんな〃を感じはじめたのだ。
「き、きた……きたわ……翔一、今よ……今……」
夢中で、翔一に訴えた。
すると、全裸で見守っていた翔一が、下腹部にすがりついてきた。
翔一の熱い舌の先が、クリトリスに触れた。
まず、ペロッと、クリ全体をひと舐め。
「あっ……ああ……いい……!」
すごく感じた。
「今日のココ、美味しいよ、とっても……」
翔一は言い、また、舐めた。
今度は、ごくごく先のほうだけを、蛇が二股の舌で舐めるように、せせこましくペロペロと。
「ああ……いい……これ、いい……これ、好きィ……!!」
待ちかねていた快感だが、それが期待以上に大きかったので、亜実は、受けとめきれず、冷たい壁にズルズルと背中を擦りつけながら、崩れていった。
「ああ、亜実、そんなに感じてくれてるのか? ほんとに、そうなのか?」
崩れた亜実の躰に、翔一はのしかかってきた。
そして、今度は、乳首に吸いついた。
「あン……」
熱い口で吸いつかれた途端に、乳首とクリトリスがつながった。
吸われているのは乳首なのに、クリトリスまで感じるのだ。
「ステキ……翔一……」
翔一が、乳首を夢中で吸い転がす。
そうされると、硬く充血したままのクリトリスまでが、吸われて舌で嬲られているように、ヒクッヒクッと息衝きはじめる。
「ああ……いい……いい……たまんない……まるで、クリットが、子宮みたい……」
だんだんと、快感がクリトリスのほうに寄り集まってきた。乳首を口でせめられればせめられるほど、クリトリスが感じてくる。
いまや、クリトリスという名の〃オマ×コ〃……性器の一部ではなく、〃オマ×コ〃そのもの……。
「噛んで……」
亜実は、ねだった。
翔一が、すぐに乳首を噛んでくれた。亜実の性感構造を熟知っているから、かなり強く。
「あぅ……」
クリトリスに、甘酸っぱい痛みを感じた。
強く噛まれた乳首は、不思議に痛くない。感じるわけでもない。乳首の感覚そのものがすでになく、感じるのは、クリトリスだけなのだ。
クリトリスのヒクヒクが、激しくなってきた。
疼く……たまらない……痛めつけてほしい……。
「もっと、噛んで……もっと……」
そうねだるよりはやく、翔一が、さらに強く乳首を噛んでくれた。
「あああン……い……い……」
クリトリスが、熟れて弾けそうだ。
それなのに、もっともっと痛めつけてほしい。
噛んで、擦って、いじくりまわして、メチャクチャにしてほしい。
「も……もっとォ……」
夢中でせがんだ。
すると、翔一の口が乳首から離れ、われめに、クリトリスにむしゃぶりついてきた。
クリトリスを、ほんの少しだけ噛まれた。
「い……いや……だめ……ああ……!」
「いい」という気持ちが、「いや!」という言葉になって、口から出ていく。それほど歪んだ生々しい快感なのだ。ほんの少ししか噛まれていないのに。
|