官能小説販売サイト 藤まち子 『OL達の蜜液』
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藤 まち子   OL達の蜜液

目 次
愛液くらべ
チン拓コレクター
蜜色のつぼみ
べちょべちょ社員旅行
おしかけ愛人
色情のいろどり
残業指ぐるい
ハントバーの謎の女
テレクラOL
淫女を呼んで!
旬なる果実
通勤電車の女

(C)Machiko Fuji

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   愛液くらべ

     いざないベッド

 歌舞伎町の喧騒のなかにある洋風居酒屋チェーン店を出てから、七、八分ほど歩き、暗がりに立つ、小じんまりとしたラブホテルに入ると、
「後悔してるんじゃないの?」
 夏美は、自慢の長いまつ毛がきわ立つように目を伏せ、しおらしい声で囁いた。
 この和室は、平安調スタイルに内装されているのだろうか、畳敷で、一段高くなった奥の寝室との境目には、紗の布のようながさがっている。
「私とこんなところへきて……きっとアキ子が知れば怒るわよ」
 アキ子というのは、夏美と同じオフィスに働く同僚のOLで、このホテルに一緒にきた岡村俊彦の婚約者でもある。
「おい、アキ子には内緒だぜ」
 岡村は急にどぎまぎした顔で、座布団の上に組んでいた足をゆすった。
「勿論よ。岡村さんの方こそ絶対にいわないでね。アキ子って、あれで結構嫉妬深いの。これから二人に起こることはだれにも内緒よ」
 夏美は自分のふっくらとした唇の上に、人さし指を押し当てて、岡村の目のなかをじっと見つめる。
「色っぽいな、夏美ちゃんの目。黒くていつも濡れていて」
「嬉しいな、岡村さんにそんなこといわれると。岡村さんはアキ子以外、目に入んないと思っていたわ。彼女、すごく美人だもの」
 アキ子と夏美とは同期入社である。
 タイプはちがうが、美人の新入社員が二人入ったといって、社内は色めきたったものだ。
 アキ子二十三歳。
 夏美二十五歳と、夏美の方が二つばかり年上だ。社内では仕事上も私生活もライバルといわれ、本人たちもその気になっている。
 アキ子の婚約者である岡村を〃相談があるの……〃といって誘い出したのも、夏美なりの魂胆があってのことだ。
「ところで、僕に相談ってなんなの? もう話せるだろう。こうやってだれにも聞かれない二人きりの場所に入ったんだから」
 岡村は真面目な顔で告げる。
〃ウン、もう、ニブいんだからア……〃
 焦れったくなった。
 だけど、ここまできたらあせることはない。
 ホテルに入ってベッドがそこにあるんだもの。もう、絶対、のがしっこないわ。
「しらふではいえないの。もう少し飲んでいい?」
 時間をかせぐため、夏美は立ち上って、部屋にそなえつけの小さな冷蔵庫の扉をあけた。
「ここから勝手に取り出していいの?」
 ふり返って岡村に訊ねた。
 ラブホテルにはなん回か入ったことがある。冷蔵庫から出して飲み食いしたものは帰りに精算すればいい、ということは知っていたのだが、スレていると思われないためわざと聞いたのだ。
 アキ子が婚約者の岡村を会社に連れてきたのは、三ケ月前の昼休みの時間である。
 ちら、と顔を出しただけなのだが、OLたちは大騒ぎした。
「ね、どこで見つけたの? あんないい男」
「その指輪、エンゲージリング? すごく光ってる。ブルーダイヤっていうんじゃない?」
 アキ子は指のエンゲージリングを見せつけながらニコニコしている。
「どちらの会社の方?」
 夏美がさぐりを入れると、
「銀座にある××代理店よ」
 と、広告代理店の名前をスラスラと教えてくれたのは、すっかり優位に立って、余裕があったからだろうか。
 新婚旅行は秋だけど、この夏には婚前旅行にハワイに行く予定。
 新居は青山のマンション。エンゲージリングはティーファニー。
「ビザの書き替え、さっそくしておかなくっちゃ」
 毎日昼休みになると、自慢たらたらの勝ち誇ったアキ子の様子にカチンときた夏美は、学生時代からのボーイフレンドである吉村と婚約してしまった。
 しかし、はっきりいって彼に恋心を抱いているわけではない。
 ただ、熱心にプロポーズしてくれたのと、吉村の実家が資産家で、アキ子のエンゲージリングより一ランク上の宝石を買ってくれそうな男であったからだ。
 隣りの芝生は青い、という。
 アキ子に対抗していそいで婚約したものの、どうも夏美には、アキ子の婚約者の方が魅力的に見えてしかたなかった。
〃友達の持っているキャンデーの方がおいしいそうに見えるだけ〃
 自分を納得させるため、夏美は口実をもうけて岡村と逢ったのだが、洋風居酒屋で飲みながら話すと、スキーが同じ趣味だとわかり、意気投合するうちに、どうしても、〃惜しく〃なったのだ。
〃この男と寝たい。アキ子より私の方がずっと女としてセクシーだわ。それをわからせたい〃
 と衝動が囁く。
〃ホテルにさえ入ってしまえば、あとはなんとでもなるわ〃
 自信もあった。
〃男って、新しい女の味を一人でも多く知りたいと思うさがだもの。アキ子はもうなん回も抱いているはず。私は未知の女。この勝負、勝ち目ありね〃
 と女の計算をしていた。
「いいにくいわ。悩んでるって、セックスのことなの」
「君の婚約者との間の?」
 ホーラ、体を乗り出してきた……。
「ええ、そう。彼は、私の花びらの形がおかしいっていうの。自分ではよくわかんないし。岡村さんって、女性経験が豊富そうでしょ。見てくださらない?」
 とうちあけながら、夏美は胸元のボタンを外した。
 
 
 
 
〜〜『OL達の蜜液』(藤まち子)〜〜
 
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