香川 潤 未亡人母娘・絶頂アパート
目 次
第一章 未亡人の美肉オナニー
第二章 女子高生、青い果実
第三章 未亡人と責め絵師
第四章 女子高生レズ責め
第五章 未亡人と双子少年
第六章 母娘・絶頂気功術
(C)Jun Kagawa
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第一章 未亡人の美肉オナニー
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「明日もお願いしますね」
片山の言葉を聞きながら、千鶴子はアパートの廊下に出て、管理人室にもどった。
ドアを閉めて、錠をおろす。
管理人室はアパートの一番表側、片山の部屋である十一号室にとなりあっている。
自室にもどると、千鶴子はなにかにせき立てられるようにして、便所に飛びこんだ。
娘の和美はまだ学校から帰っていない。
スカートの中に手を入れ、あわただしく下着を引きおろした。
下半身を指でまさぐり、確かめてみた。
(やっぱりだわ……)
思っていたとおり、秘肉のはざまがヌルッとした感触で満たされている。
洗面所に出て、洗面器に水を満たす。
昭和四十年のことだ。アパートには全室、便所はついているが、浴室はない。風呂は近くの銭湯まで行かねばならなかった。
当然のことながら、温水シャワーのような設備はない。瞬間湯沸かし器だってまだ普及していない時代だった。昨年の昭和三十九年には東京オリンピックが開かれ、今年はそのドキュメンタリー映画「東京オリンピック」がヒットしていた。
便器の横に洗面器を置くと、千鶴子はそれにまたがるようにしてしゃがみこんだ。
画家である片山にスケッチされている間中、若い男の匂いを感じていた。まるで発情したメスのように自分の股間がうずくのを覚えた。うずいた股間には、性液がじわじわと染み出していくのが、自分でもわかった。
それが下着にまで染み出し、いやらしく発情した身体の気配を片山にかぎ取られやしないかと、気が気でなかったのだ。
(きっと排卵日が近いからだわ)
千鶴子の身体の生理周期は、自分でもあきれるほど規則正しい。三十日に一度、きっちり決まった日にメンスがやってくる。
そのちょうど中間あたり、排卵日が近くなると、決まったように身体の芯がむずがゆく、熱くなるのだ。
昼間でも下半身がむれるような感じがして、下着を取りかえなければならないときがある。そんなとき、下着にはねっとりした性液が染み付いている。
それでも、夫が生きているときにはがまんできた。夜まで待ち、それとなく誘いをかければ、優しかった夫はまずこばむことなく、千鶴子を抱いてくれた。
夫の池葉克義が亡くなって、もう一年になる。
突然の狭心症の発作が、死因だった。あっけなかった。
またがった洗面器から手で水をすくい、局部をゆすいだ。水の冷たさに思わず身体をすくめたが、すぐに慣れ、ほてった肉に心地よさを感じた。
肉のはざまのぬめりを指でかき出すようにしながら、洗い流した。
指先が敏感な肉の真珠に触れると、ビリビリした刺激が生まれた。真珠はなぜか、硬くなっている。
「ああ、あなた……」
夫の指の感触を思いだそうとした。
もう一年も男の肌には触れていない。夫の指でまさぐられた記憶も、どこかすり切れそうになっている。
「いや、もっと……」
靴の上からかゆい場所をかいているような自分の指での刺激のもどかしさに、身体をくねらせながら、指先をはざまの奥へともぐりこませた。
「気持ちいいわ、あなた……」
無理に自分をかきたてるようにして、そんなことを口走ってみた。
が、思いだされるのは、夫の指の感触ではなく、ついいましがたかいだばかりの片山の若い肉体の匂いと筋肉の動きばかりだった。
「あ、んん……片山さん……」
男の名前を口の中でつぶやきながら、千鶴子は便所の壁に手を突き、グラグラと倒れかかる身体をなんとかささえた。
男の匂いが、自分をこんなに淫らな状態におちいらせてしまうなんて、いままで知らなかったことだった。
あるいは、あまりに長く男の肌から遠ざかっていたせいか。
女子校に行っている娘までいる三十六という年齢は、もう若いとはいえなかったが、それでもまだ女盛りがすぎてしまったとはいえない。むしろ、いまが一番油が乗っているといえるのではないか。
それなのに、千鶴子はひとり身をかこっているのだ。
夫が狭心症の発作で亡くなったとき、彼は五十六歳だった。千鶴子とは二十一も年が離れていた。
彼はよく彼女をかわいがってくれたが、さすがに年齢のせいで、週に一度程度、しかも一回きりというのが、夫婦のセックスのパターンだった。もちろん、それとなく千鶴子のほうから求めるときには、努めて応じてくれたが。
娘の和美は、池葉の子ではない。千鶴子がまだ十八歳のとき、事情があって生まれた娘だ。千鶴子が池葉と結婚したのは三十二のときで、それまではずっと、和美とふたりの母子家庭だった。
池葉が亡くなる数日前にも、千鶴子は彼に抱かれていた。
いつものように丹念な前戯があり、舌と指を使った愛撫で千鶴子は一度、軽く達した。
彼が身体をつないできて、千鶴子は二度ばかり深く達した。二度めのとき、彼のほうも彼女の中で果てた。
それがいつもとほとんど変わらないパターンであり、そのときは発作の予兆などまったくなかった。
それが夫との最後のセックスになった。
いま、男の匂いに敏感になっているのも、しかたないことといえる。
水で洗い流しても、あとからあとからぬめりがあふれてくる。
しばらくためらっていたが、千鶴子は思いきって立ちあがった。
(がまんできないわ)
急いで身体をぬぐうと、便所から出た。
そのまま、寝室にしている四畳半の和室に行った。
押し入れから敷布団を引っぱり出し、畳の上に敷いた。
かたわらの整理箪笥の引き出しを開けた。
千鶴子が取りだしたのは、男性器をかたどった木製の張り型だった。
全体になにかの塗料が塗られているそれは、黒光りしている。
亡くなる半年ほど前に、池葉がどこかから買いもとめてきたのだ。
「私ももうそろそろ年だ。それに比べ、きみのほうはまだまだこれからが女盛りだ。私の体力では太刀打ちできなくなってきたよ」
池葉と結婚し、二年がたち、ようやく千鶴子はいわゆる女の悦びというものを知るようになった。つまり、深い性の悦びを、池葉の愛撫で教えられたのだ。
セックスの良さがわかるようになると、つい池葉にせがむようになる。そのことが、ともするとわずかな重荷になっていたのかもしれない。池葉が思わず吐いた弱音を聞いて、千鶴子はそう思った。
「太刀打ちできないなんて、そんなこと……あなた、とても素敵よ。あたし、充分満足しています」
「しかし、物足りないんじゃないのかね?」
「まさか、そんなこと全然ありませんわ」
「いや、きみもだんだん、セックスの良さがわかってきたようだ。もっともっと良くなってくると、私では物足りなくなるだろう」
「そんなことありません」
「いや、いいんだ。それはしかたのないことだ。なにしろ、私たちは二十一も年が離れているんだからね」
「じゃあ、どうすればいいんですか?」
「ちょっとした工夫をしよう。体力が衰えるのはしかたのないことだ。そこは別のことでおぎなえばいい」
そして池葉は、どこからか張り型を買いこんできたというわけだ。
買って帰ると、池場はさっそくそれを使った。
最初はもの珍しさもあって、千鶴子も興奮した。
硬く冷たい感触が身体の中にすべりこんできたとき、あっと叫んで池葉にしがみついたものだ。これまでに経験したことのない、人工的な感触だった。違和感が逆に興奮を呼んだ。
しかし、やはり道具は道具でしかなかった。
器具によって与えられる絶頂感は、やはりどことなく人工的で、生身の夫とともに迎えるアクメと比べてうそ寒い感じがした。
そのうち池葉も飽きてしまったのか、いつしか張り型を使わなくなってしまった。
しかし、夫が亡くなり、半年も経った身体がうずいてどうしようもない日、ふと引き出しにしまってあったそれのことを千鶴子は思い出したのだ。
以来、なんとはなしに罪悪感を覚えながらも、数回使っている。
今日もまた、なぜかはわからないが、後ろめたさを感じながら、千鶴子は黒光りする張り型を手にしていた。
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