官能小説販売サイト 川口青樹 『出張はM女を連れて』
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川口青樹    出張はM女を連れて

目 次
第一話 完全なM女の誕生
第二話 SMサロンへようこそ
第三話 出張はM女を連れて

(C)Seiju Kawaguchi

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   第一話 完全なM女の誕生

 突然激しい雨と雷が鳴る中、びしょ濡れになった男がバー〈梓〉に飛び込んできた。
「あら、ターさん、いらっしゃい。まあ、大変、そんなに濡れてしまって」
「ほんとだ。ママを濡らすなら歓迎だけどね」
「いやーね、相変わらずHなんだから。さあ、お拭きなさいな」
 オシボリではなく小型のタオルを渡してくれたので、男は頭と顔のしずくを払った。
「はい、どうぞ」
 ママの差し出したコップに並々とビールが注がれ、田山は勢いよく、一気にそれをあおった。
「ふーっ」
「どう、落ち着いた」
「ああ、なんとかね。……しかし、ここも相変わらず閑古鳥だな」
 カウンターには田山が一人、それに奥のボックスに一人、客はそれだけだった。
「ほんと、まいっちゃうわ。早く景気が良くならないかしら。そうすれば、パーッとね」
「はは、無理、無理。今は昔の夢さ」
「あら、あちらさんと全く同じ事をおっしゃっているわ」
「ふん、誰なんだい」
「ターさんと違って、あちらはお堅い商売よ。うーん、でも今日はこれじゃあ、開店休業ね。リエちゃんも今日はもういいわ、閉めましょう」
「はーい」
 リエと呼ばれた若い女性が、嬉しそうな声で明るく答えると、ネオンのスイッチをOFFにした。
「おいおい、今来たばかりだぜ」
「いいの、お店は閉めちゃって、奥のお客と三人で飲み明かしましょうよ。今日は私のお・ご・り」
 三十も半ばとは思えないママの笑顔には、誘いの媚があった。
「えーっ、私は仲間外れなの。」
 二人の会話にリエが割り込んできた。
「いいわよ、貴方も。でも今夜は大人の話よ」
「大丈夫でーす。私ももう大人よ」
 リエの迷彩服のような模様のワンピースからは、若さがはちきれんばかりの脚がのぞいていた。
「ヨシさん、ごめんなさい、勝手に決めちゃって。よろしかったかしら」
 今度は奥のボックスの男に、ママが話しかけた。
「いや、私も一人で寂しかったから結構だよ。それにこんな夜は大勢で飲むに限るからね」
「なら、これで決まりね。リエちゃーん、おつまみと氷をこちらへお願いね」
 田山がボックスに近づくと、ヨシさんと呼ばれた男が、田山を誘い入れるように立ち上がった。
「どうも、初めまして、吉川です」
 そう、歳の頃は、五十歳はいかないだろう。がっちりとした体格の男だった。
「こちらこそ、田山です」
 もっとも田山も年齢的にはどっこいどっこいだろう。ただ、田山の方が身長はあるが、どちらかと言えば痩せ型だった。
「かんぱーい」
 ママの音頭で改めて四人の手が上がった。
「はあー、うまいっ」
 グラスを飲み干した男の声が、思わずハモッてしまった。
「あっはっはっは」
「いいわね、男の方ってすぐに仲良くなれて、ねえ、リエちゃん」
 リエは二人の男の顔を等分に見比べていた。リエのような若い女性から見ると、二人はどう映るのだろうか。
「堅いお仕事だそうですね」
「いやなに、売れない不動産屋ですよ」
「そうですか、それは、それは。やはり、厳しいですか」
「ええ、一頃は良かったんですがね。まあ、これからは当分、賃貸商売に鞍替えですわ。で、貴方の方はなにを」
「さあ、どうする、ターさん。なんて説明するのかしらね」
「ふん、どうもこうもないさ。SMクラブをやっています」
「ほーう、その、エスエムって、あのサドマゾのSMの事ですか。これは羨ましい」
「きゃーっ、ママ、本当なの、ターさんってそうなの」
「ええ、そうよ、ねっ、オーナーさん」
「はあ、…でも、羨ましいって、どうしてですか」
「だって、そうでしょ。女性に囲まれて、それもあのーSMが出来る女性陣になんてね。なにしろ、こっちは若い女性のお客なんてめったにお目にかかりませんからね」
「いやー、裏はひどいもんですよ」
「ねねっ、ターさんもSMってするの」
 リエが興味津々に聞いた。
「うん、そうだな、経験のまるで無い子や、浅い子には、色々教えてあげないと商売にならないからね。まあそんな時くらいかな」
「へえー、そうなんだ。こういう人って毎日SMしてるって思ってたのに…」
「で、そちらの業界はどうなんですか」
 今度は吉川が聞き返した。
「同じですよ。いや、もっとひどいかな。客は少なくなるし、女の子達も困っているし、ほんとこのままいけば、商売替えを真剣に考えさせられますね」
「あら、ターさん、確か明日はお誕生日だったわね」
 ママが小さな手帳を見て言った。
「あれっ、そうか、俺もとうとう四捨五入すると五十の領域に入る訳か」
「ほー、そうしますと花の二八ですか。これは驚いた、実は私もそうなんですよ」
「あらまあ、私とした事が。…そうね、ヨシさんは先月がお誕生日だったけど、そうかーヨシさんも四十五だったわね」
 どこでどう巡り合うか分からないのが人生だが、こうして同年齢の二人が顔を合わせたのだった。
「じゃあ二人のお祝いも兼ねてかんぱーい」
 夜中の二時頃だろうか。リエは吉川と方向が同じだと言うので、共にタクシーで帰っていった。田山は歩いて帰ろうとすると、ママがその腕に手を掛けた。
「今夜は大人の時間でしょ。だから久し振りにね」
 店の戸締りをすると、タクシーを拾って、一路、高円寺方面へ向かった。
「運転手さん、ここでいいわ」
 閑静な住宅街にある白亜のマンションの前で二人は降りると、寄り添いながら中へ消えた。
「ほんと、久し振りだわ」
 田山はママの一言に、ぐいっと体を振り向かせると唇に吸い付いた。
「ううっ、うぐっ」
 そしてママの体を横抱きにすると、勝手を知る寝室に運び入れ、ベッドに仰向けに寝かせた。そしてスカートを捲り上げた。
「ああっ、またこうなの」
 やや肉がついてきたが、その方がボリュームのある太腿が、茶色いパンストに包まれていた。そのままの生地の上から、股間の三角地帯を田山の指が巧みに撫でていく。
「あっ、ああー」
 そしてそのまま横を向かせると、今度はお尻の割れ目の方にも指を入れた。
「あっ、だめっ、そこは勘弁して」
 しかし田山は手を緩めず、まるでパンティの生地を肉の奥へ送り込むように、さらに押し込んでいく。
「ああっ、あっ、いやー」
 そして片手でパンストに手を掛けて徐々に脱がせていく。
「あれは、どこだ」
「あれって、…あっ、いやよ」
「どこだ」
「どうしてもなの」
「そうさ、久し振りにな」
「…そこよ、そのサイドテーブルの引き出しの中」
 田山は、手を伸ばすと引出しを引いた。そこには前回使った残りが、まだ二つ入っていた。田山は、パンティも下ろしてしまった。しかし完全に脱がす訳ではなく、膝の辺りでわざと止め、さらにパンストで縛るように巻きつけた。田山はポケットに手を入れると、コンドームを出した。商売柄こういう物が、常にポケットには入っているのだった。そしてそれを指にかぶせると、オ○○コに手を伸ばした。
 
 
 
 
〜〜『出張はM女を連れて』(川口青樹)〜〜
 
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