山口 香 制服の欲望
目 次
制服の欲望
第1章 美人秘書はアタゴヤマ
第2章 スチュワーデスは夜間飛行が好き
第3章 喪服未亡人は熟れざかり
第4章 女子大生はおねだりが得意
第5章 バスガイドは制服のままで
隣りのOL
第1章 おしゃぶり上手
第2章 熱い夜祭り
第3章 裸でデュエット
第4章 ココア色の跳躍
(C)Kaoru Yamaguchi
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制服の欲望
第1章 美人秘書はアタゴヤマ
1
新宿駅西口広場の向かいに建っている二十階建てのビルの屋上には、黄金色の巨大な矢車が造られていた。
西口駅前を行き来する人々は、必ずといっていいほどこの矢車を見上げる。
この建物は、矢車興産株式会社の本社ビルであり、矢車は社のシンボルマークであった。
そのビルの最上階の一室。専務取締役営業本部長室には、初春の日差しが窓から差しこみ、けだるい空気が、出口を求めるようにゆっくりと動いていた。
窓辺を背にしていた神林基夫は、書類から目を上げて、壁際の机を見た。
秘書の白石丸美の机である。
丸美という名前のとおり、彼女はポッチャリした、かわいいタイプの女性であった。
彼女は、昼過ぎに部屋を出て行った。明日で退社するための、社内へのあいさつ回りをしているのだった。
結婚のための退社だった。彼女は静岡の茶園の一人娘で、地元の青年を養子にもらって家業を継ぐことになっていた。
神林は、たばこに火を点けた。ゆっくりと煙を吐き出していくと、その煙の向こうに、ぼんやりと白石丸美の姿が浮き上がったように見えた。
いい娘だったな……気持ちのやさしい、ちょっぴりお茶目な、それでいて、よく気のつく娘だった……。
神林は胸のうちで、呟いた。
短大を卒業して入社し、総務部から秘書室に配属された時、神林は彼女を個人秘書にした。
神林は、父親の神林一夫が創設者であり、現オーナー社長であるために、将来、二代目社長を約束されている。そのことは十分に自覚しているために、仕事もバリバリとこなしていた。
しかし反面、無類の女好きでもあった。
――女一人口説けない男に、立派な仕事が出来るわけはない――。
――女の放つエキスは男の仕事の明日の活力源だ――。
――男が一歩仕事場から離れたら、下半身に人格なんて必要ない――。
神林はいつも、そう自分自身に言い聞かせながら、仕事は自分から積極的にやるようにし、同時に、女遊びにも励んでいた。
神林は、丸美を初めて抱いた時のことを思い出した。
個人秘書にして二カ月あまり。赤坂の料亭で食事し、その場で、強姦同様に抱いたのだった。
丸美は、処女ではなかった。そのために、途中で抵抗を止め、受け入れた感があった。
それ以来、彼女は三年間、神林の秘書であり、愛人となっていた。
神林の瞼の裏には、丸美のうっすらと肉付いた裸体が焼きついている。
クネクネとよく動く体だった。昇りつめると、まるで骨抜きになったように肉体を蠢かせた。
一カ月前に、丸美は退社届けを提出した。それ以来、二度ほど神林は彼女を抱いた。その最後となったのが、二週間前だった。
『もうこれで本当におしまいよ……これ以上、専務さんと続いたら、結婚する彼に悪いわ』
丸美は、神林の愛戯を受け、身悶えしながらも、はっきりとそう言った。
結婚式は、退社の三カ月後である。退社までにもう一度だけと神林が誘いの手を伸ばしても、丸美は、
『だめっ……そんなことしたら、専務さんのこと忘れられなくなっちゃう。専務さんの匂いや体のことを、少しでも早く忘れたいの。白い体になって、彼の手で、彼の色に染まりたいの』
と、冗談ぽく言って、子猫がじゃれるように神林の腕から逃れていたのだった。
たばこを吸い終わった時に、丸美が戻ってきた。
うつ向いて入ってくると、
「遅くなって申し訳ありません」
と自分の席に着いた。
泣いているな、と神林は思った。執務机の引き出しを開けると、のし袋を取り出した。明日の別れ際に手渡そうと準備していたものであった。
「丸美くんっ」
神林が呼ぶと、丸美は、ハッとしたように視線を上げた。そして、ハンカチで目元を押さえてから、神林の前にやってきた。
神林も立った。向かい合う格好になると、神林は、のし袋を丸美の胸元に差し出した。
「いろいろお世話になったね。なにも出来ないが、ぼくの気持ちだ、取っておいてくれないか……」
「専務さんっ……」
丸美は、神林の胸に寄りかかってきた。
神林は、のし袋を執務机の上に置くと、丸美の体を抱きしめた。明日いっぱいで彼女がいなくなると思うと、カーッと感情が高ぶってくる。
神林は、上体を覆いかぶせるようにして唇に唇を重ねた。丸美も、逃げようとはしない。しっかりと神林の体に腕をからめ、神林の差しこんだ舌に自分の舌先をからめてきた。
神林は、もう一度、今夜誘ってみようか、と思った。しかし、その考えをすぐに打ち消した。恐らくまた上手に断わられるだろう、と思った。
それならば、今がチャンス。触れるだけ触って刺激してやろう、という気になった。同時に、まだ見たこともない丸美の結婚相手に対して嫉妬を覚えた。
キスをしながら、丸美の胸元に手をあて、ブラウス越しに乳房を撫でつけていく。馴染んだ肉の弾力が、手の平にはっきりと伝わってくる。
「うっ……専務さん、だめっ」
丸美が手首を掴んで引きはなそうとする。
「もう一度、丸美くんが欲しい。もう一度で、きっぱりと忘れることにする」
「そんな、だめっ。約束したでしょう」
神林は、丸美を窓辺に押しつけると、ふたたび唇に唇を重ね、タイトスカートの裾を持ち上げ、パンティーストッキングの上から女陰を撫でつけた。
女の谷間をこすりつけ、その中心にグイグイと指先を押しつけていくと、丸美の腰が少しずつ蠢きはじめた。
オフィスでの情事。この部屋に入ってくるには秘書室を通さなければならないので、だれも入ってくる心配はない。
神林は、この場で丸美を抱こう、と思った。指先には湿っぽいものが感じられる。丸美の息遣いも荒くなってきた。
神林は、丸美の体をクルリと回し、窓辺に手を突かせた。そして、タイトスカートをまくり上げ、臀部からパンティーストッキングとショーツを引き下ろした。
「あああっ……専務さんっ」
背後から下腹部の奥に指先をもぐりこませると、丸美は、上体をたおし、臀部を突き出した。窓ガラスに顔をこすりつけると、甘い声を発した。
神林は、ズボンのファスナーを引き下ろすと、いきり立った欲望の塊りを掴み出した。先端を丸美の股間に当てると、グイッと腰を反り返した。
ズルリッ。熱い摩擦快感がペニスを包みこむと、丸美のパンパンに張りつめた臀部を引き寄せ、いきり立ったものにピストン運動を加えた。
「ああ、いいわっ〜ん。専務さんっ、いいわっ〜ん」
「そうか、よかった。でも丸美くんを手放すと思うと、ちょっぴり寂しいよ」
「うそっ。もう、あたしの後釜を決めてあるんでしょ」
神林は一瞬、腰の動きを止めた。図星である。丸美の言うとおり、すでに、次の秘書兼愛人にする女性は決めてあり、人事部にその旨も伝えてあった。
「丸美くんとそっくりな娘を現在募集中。それより、窓の外を見てごらん、丸美くんの門出にふさわしい青空だ……」
気障な言い方をした神林は、胸のうちで苦笑いを漏らしながら、ラストスパートをかけ、女体の奥深くに、いきり立ったものを突きこんでいった。
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