官能小説販売サイト 甘粕蜜彦 『母子 背徳の獣交〜甘粕蜜彦短編集1〜』
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甘粕蜜彦    母子 背徳の獣交〜甘粕蜜彦短編集1〜

目 次
母子 背徳の獣交
美熟女 粘つく恥肉
人妻 肛虐姦係

(C)Mitsuhiko Amakasu

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   母子 背徳の獣交

     1

 きぜわしくページをめくる音だけが、六畳間に響いている。
 家具らしい家具もない、東京郊外にある殺風景なアパートの一室。
 三月になったとはいえ、朝方はまだかなり冷え込みが激しい。ストーブもない部屋。吐く息が白くなっている。
 山脇達彦は、赤ペンを握り締めながら二冊目の求人誌に目を走らせていた。朝イチでコンビニから買ってきたものだった。
 完全失業率が五%を越えるご時世では、いい条件の会社には応募者が殺到する。
 少しでも油断して、電話を掛ける時間が遅くなれば、「すでに応募は締め切らせていただきました……」という非情な声が返ってくることを、達彦は身に沁みてわかっていた。
 三ヶ月前に、それまで勤めていた大手ディスカウントストアを退職した。
 辞めたのにはそれなりの理由があった。年下の社員が、どんどん自分を追い越して出世していくのに耐えられなくなったからである。
 ここ数年、売り上げを急激に伸ばしてきた注目企業。首都圏はもちろん、最近では地方都市までも店舗数を着実に広げていた。
 創業者の社長が叩き上げの人物で、完全能力主義を敷く会社であった。
 バイヤーとして、いかに問屋との価格交渉で値を叩けるか。そして、独自の仕入情報をどれだけ持っているか。
 それにより、給料には歴然と差がついてしまった。
 お人好しで押しが弱い達彦にとって、その業務は胃が痛むような日々の連続だったのである。
 ワンマン社長は自ら各店舗を回り、商品の陳列からレイアウトまで、事細かい指示を出すような人物だった。
「一円でも安く仕入れ、一円でも安く売る」そんな社是が掲げられた社内では、年功序列などという古くさい概念は一切排除されていたのである。
 他店との競合が最も厳しい激戦区で、達彦は精一杯頑張ってきたつもりだった。
 しかし、自分より八歳も若い人間が店長に抜擢された時には、もう腹を決めざるをえなかった。
(もう俺には出世の道はないんだ。ここで働いていても、何の展望も見えない……)
 続いていた胃痛からは解放されたものの、いざ辞めてみると、現在の不況がいかに深刻なものなのかということを、達彦は思い知らされることになったのである。
 再就職などすぐ決まるだろうとたかをくくっていたため、迂闊にも失業保険の申請をしていなかった。
 今となっては、もうそんなものをあてにするつもりもないが……。
 求人広告に明記してある年齢制限と、三十五歳という自分の年齢。そして、希望する職種と収入とのギャップ。これがどうしても埋められない。
 まだ独身だからいいものの、こんな状態で家族持ちだったら……。そう考えるとゾッとしてしまう。
 仕事が見つからず、わずかな蓄えを切り崩していく生活は、達彦の心身にボディブローのような打撃を与え始めていた。
 求人誌の隅から隅まで見渡しても、達彦の希望に見合うような条件の会社は一つもなかったのである。
(ちっくしょう……!)
 赤ペンを机に叩きつけると、達彦は苛つく手で煙草に火をつけた。立ち上る紫煙が目に入ってしまい、猛烈に涙が出てくる。
 目を擦りながらふと窓から外を見下ろすと、隣の大家の奥さんが鉢植えに水を掛けている最中だった。
 角部屋に住む達彦には、その様子が手に取るように見えるのだ。
 アパートに隣接した敷地に、大家の屋敷がある。二百坪はあろうかという敷地に、百坪はくだらない豪華な邸宅が建っていた。
 奥さんの名前は高倉美鈴。年齢は確か四十歳くらいのはずだが、少なくとも五歳は若く見える美しい女性だった。
 スレンダーなボディを薄紫のワンピースで包み、その上からベージュのウールカーディガンを羽織っている。
 いかにも上品な佇まいに、達彦はすっかり見とれてしまうのだった。
 達彦の部屋からある程度距離は離れているというのに、突き出た胸と丸みを帯びたヒップラインがはっきり見て取れた。
 朝日を浴びて艶やかな光沢を放つ長い黒髪が、端正で凛とした表情に和らぎを与えていた。
 五年前に女と別れて以来、達彦にはずっと女っ気がない。
 性欲の高まりを抑えられない時、美鈴を思い浮かべながら手淫に浸ったのは一度や二度ではなかった。
(ああ、あんな美人と一回でいいからヤッてみたいな……)
 達彦は常日頃、そんな妄想を抱いていたのである。
 窓の側に掛けてあるカレンダーが目に入った。今日は三月二日。
 考えてみれば、先月分の家賃を払うのをすっかり忘れていた。本来なら月末までに、大家の家に持参しなければならないのである。
 特に催促はされていないが、美鈴にルーズな男と思われたくなかった。
 今どき銀行振り込みではなく、持参という方法をとっているのには理由があるらしい。
 実業家である美鈴の夫が、税金対策(入金記録が残らないように)のためにそうさせているというのが、古くから隣の部屋に住んでいる老婆から聞いた話だった。
 全国をあちこち駆け回っているらしい夫の姿を、達彦は一度も見たことがない。
 夫が何人も愛人を作っているので、夫婦仲はうまくいっていないようなのだ。
 それだけに、あの家に侵入して無理矢理迫れば、美鈴を犯すことができるのではないかという、邪な妄想が沸々と湧いてきてしまうのだった。
(……だめだだめだ。俺は何考えてるんだろう。美鈴さんもちょうどいるようだし、朝飯食べたら家賃を払ってこよう)
 そう考えた達彦は、さっきコンビニから買ってきた冷えたノリ弁に、箸を突き立てるのだった。
 
 
 
 
〜〜『母子 背徳の獣交〜甘粕蜜彦短編集1〜』(甘粕蜜彦)〜〜
 
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