安達瑶 『調教妻 復讐の凌辱〜凌辱飼育教師シリーズ3〜』
安達 瑶 調教妻 復讐の凌辱〜凌辱飼育教師シリーズ3〜
目 次
第1章 恥辱 わななく未亡人
第2章 監禁 嬲りの娼婦館
第3章 憎悪 美女秘唇合わせ
第4章 情念 弄ばれる牝犬
第5章 復讐 ロリータ処女破り
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第1章 恥辱 わななく未亡人
その葬儀の喪主は、未亡人だった。
東京郊外の高級住宅地。その中でも人目を惹く
瀟
しょう
洒
しゃ
な家の外に立ち並ぶ花輪の数と、弔問客の多さが、故人の地位を偲ばせる。
香がたなびき読経が流れる中、和装の喪服に身を包んだ未亡人が肩を落とし、俯向いている。見る側を冷え冷えとさせるほどの、硬質な美しさを彼女は湛えていた。彼女の周囲だけが温度を下げているようなその一種異様な気配に一様に驚くものの、それは夫を亡くした哀しみゆえのものなのだろう、と葬儀に参列した者は皆思った。
しかし彼女と同じ感情を経験した者には判ったはずだ。それは「絶望」の表情だと。
哀しみのあまりか血の気の引いてしまったような面差しからは、それでもひんやりとした色気が漂っている。熱が出る前の病床に
臥
ふ
せった女を抱きたくなると言ったのは、昔のある有名な俳優だが、その言葉が納得出来るような魅力だ。「ひんやりした身体を抱くと堪らんのだ」と、その性豪は言ったのだ。
俯向いて肩を落としたままの、うなじにかかる数本の後れ毛。綺麗にとおった鼻筋と整った眉は、哀しみのなかにも凛として知性美さえ感じさせる。やつれ気味の白い頬に長い睫が濃く影を落とし、悔やみを述べる弔問客に礼を言う時の伏し目がちの瞳が、かぎりない哀しみを湛えていた。必死にこらえているものの、それでもつと零れてしまう涙に潤んだその目は、男の参列者をどきりとさせてしまうほどの魅力があった。
細い躯にきちんと着こなした喪服の黒さが彼女の肌の青白さを際立たせ、それがまた妖しいほどの色香を放っている。年齢で言えば若妻と熟女の境目ぐらいだろうが、まだ若々しさが匂い立つようで、それでいて人妻らしいしっとりとした落着きも感じさせる。
どんな女も喪服を着れば美しく見えるというが、元々美形でほっそりした身体つきの彼女の場合、その美しさが際立っていた。事情があって、成人式の振袖を着る事もなく家を出てしまい、結婚式も後妻に入ったため海外で二人きりで済ませた美沙子だった。これが初めて着る和服だと知れば、みんな驚くだろう。襟足のたたずまいにも、帯に抑えられたこんもりした胸にも、なだらかなヒップから長い脚を覆う腰から下の線にも、犯し難い気品と色気があった。
が、そんな未亡人の彼女によからぬ噂がないと言えば、うそになる。
会社役員だった彼女の夫は休日の来客中に倒れ、脳内出血で右半身不随と重い言語障害でしばらく寝たきりだった。彼女は献身的な看病をし、病状の回復が見込まれないとなると、住みなれた自宅に連れ帰って自宅療養を始めた矢先の死だったのだ。
二〇以上も年が離れていた夫には財産があり、彼は健康そのものだったから、その突然の発病の裏を勘繰る輩もいた。彼女に夫以外の男の影があったと指摘する自称事情通もいた。そして自宅での療養を初めてから間もない死。担当医は首を傾げ、生命保険会社は支払いを
躊
ちゅう
躇
ちょ
した。
夫と先妻の間に生まれた一人娘・弥生は聡明で愛らしい高校生に育っていたが、父親が死を迎える直前に非行に走っていたという家政婦の話も聞こえていた。が、その弥生は通夜の席で涙も枯れ果てたのか、人形のように整っているが、うつろな表情のまま、礼を返すでもなくただただ黙って座っていた。
葬儀の参列者は誰もがそのよからぬ噂を耳にし、それを裏づけるような未亡人の美貌と色香に触れると、ある想像をしてしまうのだった。あるものは「若い魅力的な後妻を迎えた男の悲劇」(要するに夜の方を頑張り過ぎたのだ)を、またあるものは「初老の夫に満足出来なくなった不貞妻」の「おぞましい完全犯罪」(初老の男に好んで後妻に入る若い美人に下心がない訳がない)を。
が、男ならその大半はこんな女なら一生を狂わせられても本望だし仕方ない、と思ったことだろう。それが証拠には、未亡人の憔悴した姿に思わず見惚れてしまい、同席した妻に引き摺られるように退席してゆく故人の関係者も多かったのだ。
この葬儀を、故人の部下に混じっててきぱきと取り仕切る、見るからに切れ者の男がいた。故人の友人で大学教授だと名乗る
眉
び
目
もく
秀
しゅう
麗
れい
なこの男は、実に配慮の行き届いた進行と、臨機応変の処置に鮮やかな手際の良さを見せた。部下たちは改めて故人の交友の広さと、ここまで身を粉にして動いてくれる友人を持てた故人の人徳に感じいった。
しかし注意して見る人がいれば、未亡人の喪服姿を視姦同然に眺める彼の視線の鋭さに驚いたことだろう。そして時折、彼女がこの男に投げかかる激しい怨嗟と絶望がない交ぜとなった眼差しにも。
この男こそ、未亡人に匂うような禁断の色香をもたらし、その結果、故人を死に追いやり一連のスキャンダル的噂を作り出した張本人だとは、誰も気づかなかった。
その日のうちに初七日の儀式も済ませ、骨壺に収まった亡き夫の遺骸を胸に、未亡人となった美沙子が自宅に戻って来たのは夜になっていた。
夫がずっと臥せっていたリビングには仮の祭壇が設けられ、健康だった頃の夫の写真が笑いかけている。
美沙子は骨壺を祭壇に置き、そのまま座り込んでしまった。
がっくりと肩を落としむせび泣くその背中に、葬儀を手伝った者たちは声をかけるのも辛く、はばかられた。
「あの……我々はそろそろ……。お気をしっかり持って……」
振り返って頭を下げる美沙子は、消え入るようなはかなげな風情だった。美しい瞳に涙を一杯溜め悲しみと憂いに沈んだ表情には、見るものの心を揺さぶるものがあった。
「主人が倒れてから、本当にいろいろと助けてくだすって……。何とお礼を申し上げてよいのか……」
美沙子はまだ若い故人の部下たちに向き直ると、両手をついて深々と頭を下げた。
彼らは、これほどつれあいの死を悼み、哀しみに打ちひしがれた冥婦の姿を見たことがなかった。長い闘病の末の死の場合、遺族にはどこかホッとした雰囲気があるものだ。不仲だった夫婦だと、喜びの表情を見せる場合もある。
あの噂は根拠のない悪意に満ちたデマなのだ、この慎み深くて貞女の鏡のような美沙子夫人ほど、浮気だ不倫だという言葉が似合わない女性がいるだろうか。まったくどうしようもないデマを流しやがって……と、部下たちは噂を流した心無い連中に、怒りすら感じていた。
「私たちは、これからもいろいろお世話させて頂きますので。常務への恩返しだと……。なんなりと申し付けて下さい」
美沙子は無言で頭を下げた。
力になってあげたくなる、このまま放っておけない女性だ。女ざかりのあの人が、このまま独身でいる訳はないだろう。その時は是非……。独身社員たちは口にはしないが、みんなそういう気持ちを抱いてしまった。それほど喪服姿で哀しみに耐えている美沙子は魅力的で弱々しく無防備で、故人の妻、上司の未亡人というタブーを犯してしまいそうな、妖しい吸引力があった。
〜〜『調教妻 復讐の凌辱〜凌辱飼育教師シリーズ3〜』(安達瑶)〜〜
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