官能小説販売サイト 甘粕蜜彦 『熟女の滴り〜のたくる玩具〜』
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甘粕蜜彦    熟女の滴り〜のたくる玩具〜

目 次
熟女の滴り〜のたくる玩具〜
淫蜜の報酬〜人妻の罠〜
人妻のわななき
惑妻 禁断の受胎

(C)Mitsuhiko Amakasu

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   熟女の滴り〜のたくる玩具〜

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《……本当に驚いています。まさかお父さんが、あんな店を開くなんて想像もしていませんでした。一体どういうつもりなの? お母さんが離婚した理由。それが今、初めてわかったような気がします。本当は大事な話をしようと思っていたんだけど、それも今はしたくありません……》
 突然届いた娘からの手紙。
 それを読み終えた今西孝造は、深い溜息を漏らした。左手の指に挟まれたタバコから、幾筋もの紫煙が立ち上っている。
 手紙に書いてあった〃大事な話〃というのが気になるが、今の自分にはそれを確かめる手段もない。
 別れた妻から、一切連絡しないで欲しいと申し渡されているのだ。
 ふと見上げた孝造の目に、店内の陳列棚が映った。
 ずらりと並んだアダルトグッズ。バイブレーター、ローター、そしてSMグッズまで幅広く取りそろえられている。
(仕方なかったんだよ。俺だって必死だった。家族を守ろうと必死だったんだよ……)
 吐き出した煙が目に入り、猛烈な痛みが襲ってきた。涙が零れてくる。
 手元にあったティッシュで目頭を押さえ、ようやく痛みをやり過ごした孝造は、一年前のことをぼんやり思い出していた。

 五十四歳になったばかりのある日、突然小さな食品会社に出向を命じられた。当時、孝造は地方銀行本店の融資課調査役だった。
 一応それらしい肩書きではあるものの、実際は年下の部長よりも格下のポジションである。行き場のない五十過ぎの行員のため、銀行側が苦肉の策であてがうようなポストだった。
 すでに出世競争から弾き出されていることはわかっていた。しかし、まさかこの自分が出向の憂き目にあうなどと考えたことは一度もなかった。
 辞令を受け取り出向させられれば、もう二度と銀行に戻ってくることはできない。今にも潰れそうな食品会社で定年を迎えることになる。
 冗談ではなかった。同期入行の人間で、取締役にまで昇進している者がいるというのに。そんな辞令を受け入れるなど、自分のプライドが絶対に許さない。
 孝造は早期退職者制度の適用を本気で考えるようになった。満額ではないが、この制度を利用すれば退職金も割り増しになる。
 この歳になって、今さら再就職などできるはずもなかった。
 それなら退職金を元手に何か商売を始めれば、年金とあわせて老後も食べていけるのではないか。家族を守っていけるのではないか……。
 夜、書斎でひとりになり、孝造はいろいろと計画を練り始めた。一体どんな商売がいいのだろう。
 よくありがちなのが、避暑地でのペンション経営である。歳をとった夫婦が理想の田舎暮らしを夢見て……というものだ。
 しかし、以前自分の融資した人間がことごとくそれで失敗しているのを見てきた。今さら料理など勉強する気もない。
 そんな時、ふと頭に浮かんだのがアダルトショップだった。アダルト産業は、不況に強いというのが一番の理由である。
 銀行員生活にはっきりと見切りをつけた以上、もう世間体など気にしている場合ではなかった。
 おもいきって妻に話したところ猛反対された。
「アダルトショップですって? 冗談じゃないわ。そんな怪しい商売は、絶対にごめんですからね。私は銀行員の妻であって、商売人の妻じゃないんですから」
 以前から気の強い女房だった。しかし孝造は、まさかこんな非常時に妻から反旗を翻されるとは思っていなかったのである。
 妻からの反対にもかかわらず、孝造の固い決心は変わらなかった。
 一人娘の優子は、社会人になっているので問題はない。結局、孝造は辞令を断り、銀行に退職願を出した。三ヶ月後、長年連れ添った妻と協議離婚。
 一戸建ての家は妻と娘にくれてやり、退職金を元手に隣町に家を借りた。
 そこで、自宅も兼ねたアダルトショップを開いたのである。
 アダルトショップの件は、娘にだけは知らせていなかったのだが……。
 どうやら別れた妻から聞かされたらしい。あのような手紙を寄こしたのも、そのせいだろう。
 借りた家は、車の往来の激しい国道沿いにあった。ここなら来客数も見込めると思ったのだ。
 だが、それが間違いの元だった。どうしても客足が増えない。深夜に冷やかしのカップルが訪れるくらいだった。
 今考えてみれば、あまり人目につく場所だと客も入りにくいに違いなかった。読みが甘かったのだ。
(ちくしょう。こんなはずじゃなかったんだが……)
 今さら場所を変えるにも資金が足りない。
 苦肉の策で、店内のレイアウトを変えてみた。アイデアマンぶりを発揮して、店内にバイブ試用OKの小部屋を作ったりもした。
 しかし、一向に客足は増えない。所詮はマーケットリサーチも何もないおもいつきだった。このままでは貯金を食い潰すだけである。
 そこで孝造は、一念発起してホームページを立ち上げた。ここで通信販売を始めたのだ。
 すると、徐々にメールで注文が入るようになってきた。さらに嬉しいことに、女性客が増えてきたのである。
(これでなんとかなるかもしれないぞ。この商売で成功して、俺を見捨てた女房を絶対に見返してやるんだ)
 孝造は今日も店の奥にある椅子に座って、捲土重来を期していたのである。
 
 
 
 
〜〜『熟女の滴り〜のたくる玩具〜』(甘粕蜜彦)〜〜
 
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