官能小説販売サイト 山口香 『若妻の謝肉祭』
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山口 香    若妻の謝肉祭

目 次
初夜の誘惑
若妻の悶え
人妻調教師
一夜妻
子宮の芽生え
天使と天女
天女の初詣
人妻モデル
禁断の悪夢

(C)Kaoru Yamaguchi

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   初夜の誘惑

     1

 五月の吉日。関口修二と高木砂也子の結婚披露宴は、都内の超高層ホテルの宴会場で取り行なわれた。
 双方の両親をはじめ親族縁者、新郎新婦のそれぞれの会社の関係者、二人の幼な馴染みから大学時代までの友人知人、総出席者百余名の豪華で賑やかな披露宴だった。
 新郎の会社の上司がマイクに向かって祝辞を述べている。新婦となった砂也子は羞じらいの色を表情に浮かべ、俯くようにして、上目遣いに出席者を見つめた。
(長かったわ。すごく長かった。修二さんと付き合いはじめて七年近くになるわ。あたしには修二さんはもったいない相手かもしれないわ。夢ではないのね。あたしは本当に修二さんのお嫁さんになったのね)
 砂也子は目頭に熱いものを感じながら胸のうちで呟くと、横目でチラリと新郎を見た。
 関口修二も見返してきて、砂也子の胸のうちを見透かしたように目許に笑みを浮かべ、無言で頷いた。
 砂也子の脳裏に修二との懐かしい想い出が、走馬灯のようによみがえってきた。
 砂也子は静岡県出身。三歳年下の弟が大阪に就職している。
 初体験は高校二年の時、相手は三年生のバスケット部の生徒だった。彼は校内の女生徒のあこがれの男だった。
 図書館で試験勉強をしていて話し掛けられ、帰りが一緒になり、付き合うようになった。そして何回目かのデイトの折り、彼の部屋に誘われ、求められるままに身体を投げ出した。一瞬の出来事で、気づいた時にはすべてが終わっていた、という感じだった。
 二人目は高校三年生の時だった。相手はディスコで知り合った専門学校生だった。
 高校を卒業すると砂也子は東京に出て、星野学園大学に入学し、二年先輩の関口修二とゼミで知り合い、恋人として付き合うようになった。
 砂也子は関口修二以外にも何人かのボーイフレンドがいた。しかし関口修二との相性が一番だった。そのために彼の手で、セックスの快感に目覚めたのだった。
 大学を卒業した砂也子はOA機器販売会社「塚本商会」の総務部受付係として就職し、OLとなった。
「塚本商会」は未上場会社であるが、首都圏を中心に六十数店舗の営業所を持つ、業界では有名な成長会社であった。
 関口修二は砂也子より二年前に大学を卒業して総合商社の営業マンとして働いていた。
 二人は暗黙のうちに結婚を前提に付き合い続けた。
 しかし二人の間に何度か行きちがいのトラブルがあり、またそれぞれの立場の成り行きのため、おたがいに相手を傷つけないように心をくばり、一時的な遊びにも興じていたのだった。
 そして昨年の暮。デイトの後のラブホテルのベッドで、
「一月一日の朝、おれの実家に一緒に行って、おれの両親に会ってくれ……長いこと砂也子を待たしたけど許してくれよな」
 関口修二のプロポーズの言葉を聞いたのだった。
 関口修二の両親は砂也子を気に入ってくれた。早々に仲人を立て、砂也子の両親と会い、結婚話は順調に進んだ。
 そしてきょうの晴れ舞台の日となり、先程ホテル内の結婚式場でおたがいの身内だけの神聖な結婚式を挙げ、場所を宴会場に移しての披露宴となったのだった。
 祝辞者が砂也子の会社の上司に代わった。
(ありがとうございます。あたし、修二さんと一緒になって、しあわせになります)
 砂也子は上司の祝辞を聞きながら、胸のうちにこみ上げてくる熱い思いを必死で抑えこんだ。
 出席者の姿が一瞬でも消えれば、この場で修二にむしゃぶりついて、思いきり淫らに抱かれてみたい。
 いまの自分をかなぐり捨てて、本能のままに振る舞ってみたい。砂也子はそう思ってもいた。
 その思いが湧いた途端、欲情がフツフツと音を立てて煮え立ち、思いきり、ワァーッと叫びたい衝動に襲われていた。
 胸のふくらみはウエディングドレスの下で硬く張りつめ、乳首の先端からは、むず痒い痺れが身体の奥深くに走りはじめた。
 同時に、子宮のあたりでは細かい火花が飛び散り、モゾモゾとした肉のうごめきが湧き起こっていた。
 お色直しで披露宴会場を出て控え室に入ると、砂也子はウエディングドレスを脱ぎ捨てトイレに飛び込んだ。
(あああ……修二さん、あたしこのままだと狂っちゃいそうだわ。抱いて、思いきり力強く、あたしを抱きしめてっ)
 砂也子は胸のうちで叫ぶと、下腹部に手をあて、肉の谷間をそっと撫でつけた。
 その途端、股間から内腿にかけて電気衝撃が走り抜け、砂也子はビクンッと身体を引きつらせた。
「砂也子さん、どうしたんですか? お具合いでもわるいのですか?」
 トイレのドアが軽くノックされ、女性の声が掛かり、砂也子はあわてて水を流したのだった。
「緊張したんで目まいがしたの。ごめんなさい。でも、もう大丈夫」
 トイレを出ると、砂也子は強烈な羞恥心に襲われ、俯いてしまっていた。
 イブニングドレスに着替えて、ふたたび披露宴会場に戻ると、拍手の嵐……。
 砂也子はトイレでの淫らな行為に対する冷やかしの拍手に思えて、苦笑いを漏らした。
 また祝いのスピーチが再開された。
 修二の小学時代からの旧友であった。そのスピーチを聞きながら、
「砂也子は最高だ。よく似合う」
 修二が顔を近づけ、耳許で囁くように言った。
「修二さんもよ、すてきだわっ」
 新郎新婦のテーブルには金のテーブルクロスが垂らされるように掛けられているため、出席者のテーブルからは二人の足許は見えない。
 砂也子はテーブルの下で、そっと修二の手を握った。
「この場に人がいなければ、砂也子を抱きしめたいよ」
 スピーチを聞くふりをしながら修二は細い声で話し掛けた。
 砂也子に手を握られたまま、その手でイブニングドレスにおおわれた砂也子の太腿のあたりをそっと撫でつづけた。
 内股にむず痒い痺れが走り、砂也子は、思わず下半身を硬直させた。
 出席者たちが笑顔で見つめている。
(あの人たちは、あたしたちをどんな思いで見つめているのかしら。あたしたちの新婚初夜を思っているのかしら。いやだわ。恥ずかしいわ)
 砂也子は、出席者の思いを勝手に想像し、ポーッと顔を赤らめた。
 何人かの祝辞が終わって、新郎が新婦の、新婦が新郎の、それぞれの両親に花束贈呈となった。
 砂也子は修二の両親に花束を手渡した。
 その途端、目頭が熱くなり涙があふれ出た。
 やがて結婚披露宴は終わり、新郎新婦は会場の出入口に立ち、出席者を見送ってから、それぞれの控え室に戻った。
 双方の両親と親族で三、四十分の懇親会。新郎新婦の話に花が咲く。
 砂也子は新婚旅行先のハワイに向かうための着替えをして、トイレに行き、その帰りになにげなく修二の控え室をノックした。
 修二も一人で着替えていた。
「結婚式って疲れるな……もう二度としたくないよ」
「あら、二度も三度もするつもりだったの?」
 砂也子はハイヒールを脱ぎ、畳の上に上がり、修二に近づいた。
「砂也子と一回だけで十分だ」
 修二はいきなり砂也子を抱きしめ、唇に唇を重ねた。そして砂也子の口の中に舌先を送りこみ、クネクネとうごめかせた。
 砂也子も身体をのけ反らせながら修二にしがみつき、彼の舌先に舌を絡みつかせた。
 修二がキスをしながら、砂也子の胸許に手をあてた。
 白地にブルーの水玉模様のワンピースの上から胸のふくらみをつかみ、柔らかく揉みたてた。
「ああ……修二さん、あたし、しあわせ」
 砂也子はまた思いきり叫びたい衝動に見舞われた。
「おれもだよ。砂也子をもらって、おれは日本一のしあわせ者だよ」
 修二の手に力が入った。
 砂也子の胸のふくらみは熱く燃え上がって張りつめ、乳首の先端から甘い痺れが身体の奥深くに走り抜けていった。
「ああ……修二さんがほしい」
 子宮のあたりが熱く燃え上がり、渦巻き状の快感が湧き起こってきた。
「おれも……だよ。ほらっ」
 修二は砂也子の手首をつかみ、股間にこすりつけた。
「修二さんっ……」
 修二のものはズボンの中でいきり立ち、棒状になっていた。
 砂也子の手があたった途端、ビクンッと跳ねるように引きつった。
「砂也子をここで抱きたいけど、そうは出来ないな……砂也子っ、しゃぶってくれないか。そうしないと歩けないよ」
「そんな!?」
 出来るものならこの場で抱かれたい。女性器はいつでも受け入れ可能な状態になっている。
 しかし、ここは結婚披露宴の新郎の控え室。いつ人が入ってくるかわからない。
「早くしてっ……」
 修二は絶句するように言ってズボンのファスナーを引き下ろし、合わせ目からいきり立った欲望の塊をつかみ出した。そして荒々しい手つきで砂也子の肩口を押さえつけた。
 砂也子は仁王立ちになった修二の足許に跪いた。その途端、目に蒼筋立てた修二のものが飛びこんできて、カーッとなった。
 交合が出来ないのなら、口で受けるしかない。
 フェラチオは大好き。
 砂也子は愛する夫の肉の棒を握りしめ、赤黒い円錐形の亀頭部分を口に咥え、しゃぶりたてた。
 唇の摩擦を加え、同時に幹の部分を白魚のような手指で激しくこすりたてていった。

     2

 成田空港からハワイのホノルル空港まで約七時間弱。夕刻に出発して日付変更線を通過して同日の朝に到着する。
 日本とハワイの時差は十九時間。たとえば日本時間深夜の午前零時は、ハワイでは前日の朝の五時になるのである。
「なんだか一日得した気分ね」
 砂也子はジェット機の中で何度もそう言っていた。
 ウトウトしながらも、砂也子と修二はおたがいの太腿のあたりを刺激し合いながらハワイに向かった。
 新婚旅行先をハワイに決めたのは、修二であった。砂也子にすれば二人でのんびり出来るところであれば、どこでもよかった。
「ワイキキビーチの近くに会社の支店があるんだ。一年前にそこに転勤した星川という後輩がいる。彼に案内をたのむことにした」
 修二は新婚旅行先を決めた直後のデイトの折り、ラブホテルで砂也子を抱きながら、そう言っていた。
 ホノルル空港へ降りたつと、星川が二人を迎えにきていた。
 砂也子は星川と初対面の挨拶をした。
 星川豊和、二十六歳、独身。色黒で彫りの深い顔。長身で筋肉質タイプで、半袖ポロシャツに包まれた胸は厚そうだった。
「関口先輩がうらやましいですよ。美しい奥さんをもらって。二人を見ていると妬けそうですよ」
 星川はそう言いながら修二と砂也子を駐車場に導いた。
 砂也子は星川の言った「奥さん」という言葉に強烈な羞恥心をおぼえた。
 身体中が炎に包まれたように、カーッと熱くなった。
 
 
 
 
〜〜『若妻の謝肉祭』(山口香)〜〜
 
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