官能小説販売サイト 由紀かほる 『[キャリアレディ]美脚狩り』
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由紀かほる   [キャリアレディ]美脚狩り

目 次
美人キャリア・復讐の唇
不倫の扉
獣たちの午後
背徳の診察室
若妻奴隷狩り[ボーイハント]
スッチーの甘い罠
美人教授・火の接吻
嘆きの美姉妹
狂った果実
ミセスへの伝言
聖林ハリウッドの生贄
凌辱のヴァージンロード

(C)Kaoru Yuki

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   美人キャリア・復讐の唇

     1

 やはりセダンではなく、ランドクルーザーを選んで正解だった――くらゆうは突然未舗装になるどうどうを走りながら思った。
 札幌で支社の視察を終えたあと、レンタカーで郊外へと走り出した。
 特に目的地は決めていなかった。ただ、半月ほど前に噴火をはじめたざんの様子でも見に行こうか、という思いが頭の隅にはあった。
 もともと車が好きで、東京麻布の自宅のガレージには、父のベンツと並んで愛車のポルシェが眠っている。
 父の悠造はインテリアコーディネイトの会社を一代で築き上げ、今や社員五百人を擁するトップ企業に成長させ、この業界では揺るぎない地位を確立している。
 ただ、創業より右肩上がりを示していた業績が、他の企業と同様にここ数年伸び悩みはじめていた。
 アメリカへ経営の勉強をしに留学していた、一人娘の優香が呼び戻されたのが一年前のことだった。
 まだ二十六の若さだが、それだけに発想は新鮮であり、柔軟であると同時に、ドラスティックでもあった。
 むろん、父のバックアップがあったからこその、経営陣への参加ではあった。
 しかも、優香の提案は大胆で、他人への批評には容赦がなかった。
 当然、反発は小さくなかった。が、それで優香が妥協するということはなかった。
 玉虫色の改革ではどうにもならない。この会社を守るためには、今思いきった手術が必要だった。それには、血を流さなくてはならない。
 たとえば、リストラにしても、優香は情を一切かけなかった。幹部であれ、思考能力の硬直した者はバッサリとやった。
 恨まれるのを恐れていては、何もできない。そもそも、年功序列のやり方では会社がやっていけない時代に来ているのだ。
 だから、優香にはじん躊躇ためらいもなかった。結果が全てだった。
 一年たった今、優香のやり方を批判する者は一人もいなかった。
 本年度の決算において、実に五年ぶりに利益が回復していた。
 優香の肩書きは総務部長。が、すでに次期社長と噂される社内で、優香に文句を言える者は父親以外、一人もいなくなっていた。〃クマ出没注意〃
 と書かれた立て札を見て、思わず微苦笑がクッキリとした唇の端に浮かんだ。
 すでに、道幅は狭く、ところどころヌカるんだ砂利道が緑の山をヘビのようにくねって続いていた。
 国道ではなく、あえて裏道となる道道を選んだのは、一つには車が少ないせいだった。普段、都内を走りまわっている優香にとっては、他に車がいないだけでも気分が良かった。
 それに砂利道を走る振動も、ひどく新鮮で、刺戟的だった。
 コーナーの続く山道を、だから優香は他人が真似できないギリギリのスピードで走らせ続けていた。
 万一、ハンドル操作を誤れば、タダでは済まないはずだ。もう二十分近く、前にも後ろにも、車はもちろん人一人見ていないのだ。
 携帯電話があるから、いつでも連絡はとれる。とはいえ、ここまで人が来るのに、どれだけ時間がかかることか。
 が、そのリスクがあるからこそ、限界寸前でタイヤをきしらせる快感も大きかった。
 もし自分が男に生まれてきたら――これまで何度考えたことだろう。
 恐らく、何をしても一流になれたに違いない。F1レーサーも夢ではなかったはずだ。
 もっとも、女に生まれたことを悔いたり、ハンデに思ったことはない。
 男以上に、自分には能力がある。それは、今の会社での、この一年間の実績が証明していた。
 優香から見れば、どうしてこの程度の人間が、役職について部下に命令できたのだろう――そういう男がゴロゴロしていた。
 だから、クビを切るのは苦悩でも何でもなく、ほとんど快感ですらあった。
 会社に根を張っている有害なガン細胞を、自分が完全に取り除いてやったのだ。
 実際、あと一年、いや半年、この自分の執刀が遅れていたら、二度ととり返しのつかないことになっていたに違いなかった。
 けたたましい音に、優香は一瞬、アクセルを踏む足から力を抜きかけた。
 車のトラブルで異常な音がしたのかと思ったのだ。
 間もなく、原因がわかった。背後から一台のオフロード・バイクが迫ってきていた。
 バックミラー越しに見て、優香はアクセルを踏み込んだ。
 バイクもピッタリとついてくる。
 あおっているのが、エンジンのふかし方でわかる。フルフェイスのヘルメットで年恰好は不明だった。ただ、上に向けたヘッドライトの明かりがひどく不愉快だった。
 癪だったが、優香はスピードを落として、道幅の広いところで左へ寄った。
 北海道には何度も来てはいる。が、この道ははじめてだった。はじめての道はいくら運転の技術が優秀でも、地元ライダーやドライバーには勝ち目がない。
「いいわよ、先に行きなさい」
 車を停めた優香は、バイクをやり過ごして、タバコに火をつけた。
 
 
 
 
〜〜『[キャリアレディ]美脚狩り』(由紀かほる)〜〜
 
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