川口青樹 『逆SMクラブ開店日記』
「逆SMクラブ開店日記」
〜性的満足は十人十色。マニアックな嗜好をお持ちの方へ〜
川口青樹
目 次
はじめに
「逆SMクラブ」とは?
顧客ファイル1 ゆかり
第一号のお客から地方出張へ
顧客ファイル2 順子
おもらし願望のOL
顧客ファイル3 直子
人妻結婚前プレイ再現願望
顧客ファイル4 奈美子
メール調教願望
顧客ファイル5 真知
野外プレイ願望
顧客ファイル6 悦子
SM夫婦刺激願望
顧客ファイル7 真由美
縛られた姿を人前に晒されたい願望
(C)Seijyu Kawaguchi
◎ご注意
本作品の全部または一部を無断で複製、転載、改竄、公衆送信すること、および有償無償にかかわらず、本データを第三者に譲渡することを禁じます。
個人利用の目的以外での複製等の違法行為、もしくは第三者へ譲渡をしますと著作権法、その他関連法によって処罰されます。
はじめに
「逆SMクラブ」とは?〜M願望女性のためのSMクラブ〜
今、日本にSMクラブと呼ばれているものが一体いくつあるのだろうか。確かなデータは何もないが、比較的名のある専門誌の広告だけでも九十以上あるということは、ひょっとするとその数倍はあるのではないだろうか。しかも以前のような一部の地区から、今日に至ってはかなり全国的に存在している。
「SM」と言う言葉が既に市民権を得ていると言うのは言い過ぎだろうか。しかし、酒場、喫茶店、果ては路上での会話にちょっと耳をすませたり、専門誌ではない週刊誌、はたまたレディースコミック等を開いて見ると、かなり頻繁に出てくる言葉になっている。また昨今ではTVの中でも堂々と取り上げられ、「あのコ、Sっぽいわね」とか「お前、マゾか」等とちょっと癖のある態度、言動を現すと早速その言葉を浴びせられてしまう。
ただここで問題なのはどうしたらS側、M側のプレイ願望が満たされるのか。どうしたらお互いの快感が得られるのか。そこへ到達する第一歩は、やはりお互いの望むプレイ相手が見つかるかどうかにかかってくる。いくら市民権を得たと叫んでも、まず、二人の関係が相当進展しない限り、「SMに興味がありますか」とは聞けないのが現状であると思う。
その点、男性は恵まれているといっていいだろう。金銭的なことを別にすれば、SMクラブがあり、大概のことは初めての相手なのにも拘わらず、プレイが実現できるからだ。
実はここで、取り上げたかったのは、女性の側のことなのである。SMクラブを利用出来ず、プレイが実現出来なくて悶々としている彼女達は、いったいどう対応しているのだろう。〈マニア倶楽部〉等専門誌へプレイ相手を求めている旨投稿、〈バ○○○インコール〉等のようにSM回線専用テレホンクラブ利用、SMサークル参加、プレイ相手紹介の会への登録、インターネットによる出会いページへの投稿等々、様々な方法があると思われるが、正直私も実態を把握していない。ただ言えることは、かなりの、特にM女願望の予備軍がいるが、なかなか表面に出すことができないのではないかということだ。
そこで、これらの方々の夢を叶えるため、言ってみればM女性のための私的なSMクラブを作ってはどうか、というのが閃いてとうとう始めてしまった。そもそもの始まりは趣味と実益を兼ねたSMプレイを、いつか実現したいということだったのだが、それが自分の中で結びついたのだった。つまり一言で言えばM=マゾ願望女性をお客とした、女性のためのSMクラブを実現しようとした訳だ。
そして――■M願望のプレイの実現■割り切ったお付き合い■秘密厳守■二十四時間体制をモットーに始めたのだが、これがとまどうことばかり。以下、本編でその一幕を紹介しよう。
*この小説は、筆者が主宰する実在のサイト「Mドリーム」での体験を元に、そのお客となった様々なM願望の女性達とのプレイ模様を描いたものです。
人物の描写は差し障りがありますので、多少のフイクションはありますが、プレイ内容そのものは、そのほとんどが実話に基づくものです。
顧客ファイル1 ゆかり
第一号のお客から地方出張へ
午前四時、枕元の携帯電話が鳴った。
「ふぁーい、もしもし」
「広告を見たんですが」
(おっ、今度こそ女性か、……でも眠い)
「はい、どんなプレイがご希望ですか」
「未だ経験がないんですが、大丈夫でしょうか」
「大事なのはプレイをしてみたいと言う気持ちですから。何かプレイの願望はおありですか」
「よくわからないんですが、あの羞恥プレイと言うんでしょうか、とにかくとっても恥ずかしくなるように命令されてみたいんです」
「それで充分ですよ。私の方で今のお話をヒントにプレイイメージを作ります。それでご希望の日程はいかがですか」
「あのー、岐阜まで来ていただけるのですか」
(へっ、岐阜か。交通費さえもらえれば)
「そうですか、都内なら交通費は無料なんですが、そちらですと実費を頂くことになりますが。それとプレイ料が一時間一万円になりますがよろしいですか」
割り切ったお付き合いをし、グッズの準備等でご希望のプレイに沿えないことのないようにするため、有料にしたのだが、果たしてこれがいいのかどうか。ちなみに私の知っているクラブでは、男性のMプレイの場合で六十分〜七十分で、一万五千円〜二万円というところだ。
「ええ、構いません。…………あの私すごく太っているのですがよろしいのですか」
「年齢・容姿・体型は関係ありません。まあ、何度か縛りのグッズの革拘束具のサイズが合わない方もいましたが、でも大丈夫です。それで、いつがよろしいのですか」
「はい、できましたら、次の月曜日の午前十一時にお会いしたいのですが」
(明後日はいいとして、朝の十一時か。雰囲気が出るかな。まあ行くっきゃないな)
〜〜『逆SMクラブ開店日記〜性的満足は十人十色。マニアックな嗜好をお持ちの方へ〜』(川口青樹)〜〜
*このつづきは、ブラウザの「戻る」をクリックして前ページに戻り、ご購入されてお楽しみください。
「川口青樹」 作品一覧へ
先頭へ戻る
(C)おとなの本屋・さん