由紀かほる 美人課長 密室残業
目 次
第一章 密室のオフィス・レディ
第二章 芦屋夫人のわななき
第三章 美人課長の口唇奉仕
第四章 現役スッチーの痴態
第五章 美人課長リターンズ
第六章 夜の女王・小夜子
(C)Kaoru Yuki
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第一章 密室のオフィス・レディ
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コツ、コツとパンプスのヒールを鳴らして、眼の前をすんなりと伸びた白い脚が、オフィスの廊下を進んでいく。
脚はわずかなO脚ではあるが、その長さからすれば何も問題ではなかった。それどころか、二十三歳という若さに彩られた脚にとっては、むしろ可憐で、愛らしいアクセントにさえ感じられた。
しかも、膝の裏側から急に太さを増す太腿は、こちらの期待を見透かしたように、わずかなスリットとともに二十センチ近く露になっているのだ。
街中ではない。オフィスの中である。
しかも、真っ白いブラウスに合わせた、レモン・イエローのベストは事務用の制服でありながら、華やいだ雰囲気をふりまいていた。
さすがにサラ金業界でナンバー・ワンの実績を上げる〃カワゴシ・グループ〃の、新しいセンスが窺える服装である。
うれしいことに、黒のタイトなミニ・スカートは、歩く度にわずかにずれ上がりながら、右、左と揺れるヒップの形を、しっかりと見せつけてくれていた。
「こちらへ、どうぞ」
ドアが開けられ、彼女の甘い香水の匂いに包まれながら、誰もいない応接室の中に入った。
「あまり時間がないので、早くお願いします」
ドアを閉めた富永真琴は、立ったまま両手を胸の下で組みながら、迷惑そうに見つめてきた。
もともと、唇は厚めなのだろう。真っ赤に輝く唇がやや突き出されている様子は、柔らかなブラウン系のショート・ヘアの、すっきりした顔立ちの中では、格別に華やかな色っぽさを湛えていた。
後ろ姿もいいが、やはりこの正面からの眺めには打ち克ち難い魅力が溢れていた。
ベスト・スーツでありながら、胸の豊かさははっきりとわかったし、大胆にくびれたウエストから、やや横ジリを残すミニと、そこからこぼれる太腿の充実ぶりは、少しも見飽きることがなかった。
「電話でも言いましたけど、この前、別の刑事さんに話したこと以外、私、何も知らないんです」
真琴は向かい合って立つ、王子尤之進の視線を浴びながらも、自分の方から口を開いた。明らかに、ジロジロ見られることに嫌悪を抱いているが、この場は我慢しようとしている感じだった。
「その殺された尾白紘一さんのことはお気の毒ですけど、私、会ったこともないんです。だから、その方のパソコンの中に私の電話番号があったと言われても、全然覚えがないんですから、答えようがありませんわ」
一見、可愛らしい、フェロモンばかりの女のように見え、しゃべり方はオペレーターをやっているだけにしっかりしたものだった。
それに眼の動きにも、大卒らしい気転の利く、頭の良さが窺われた。
「いったい、他に何が聴きたいんですか」
「うむ」
尤之進はかすかに喉を動かしていた。
まばゆい真琴の姿態を前に、緊張で声がうまく出なくなっていたのだ。
すでに三十を越えていたが、これは持病のようなもので、未だに治らなかった。
と同時に、身体にいくつか尋常ではない変化が表れはじめていた。
一番わかりやすいのが、股間である。
廊下で真琴のミニに包まれたヒップを見ているときから、すでにその兆候ははじまり、ドアを入る瞬間に、真琴の体臭を嗅ぐなり、シンボルは完全に天を向いていたのだった。
そして、向かい合ってから、ズボンの中で反り返ったシンボルは、傘から早くも先走った欲情の証を溢れさせはじめていたのである。
「あの、早くしてもらえませんか」
真琴は訝るように、押し黙る尤之進を見つめてくる。
「うむ」
「どうか、なさったんですか」
「うむ」
尤之進は渇いていく唇をペロリと舐めた。
実を言えば、半年ほど前、尤之進は刑事であった。今は違った。無職である。失職したのである。その原因が女性へのセクハラによるものだったのだ。
持病と関係があったが、認められることはなかった。
あの頃は、常に自制と自戒を心掛けていたが、今はその必要がなかった。
「一つ聴いていいですか」
真琴は冷たい眼差しで睨みつけてきた。
「あなた、本当に刑事さんなんですかあ」
「う、うむ」
尤之進はジャケットから手帖をとり出してチラリと見せた。
実はニセの手帖である。が、いちいち中まで見せろという者は、まずいない。真琴も一応は納得したようだった。
「じゃ、早く質問して下さい」
尤之進はフッと、はじめて口元を緩めて、口を静かに開いた。
「えっ?」
真琴は愛らしい仕草で小首をかしげた。わざとではなく、普通の仕草だが、ショート・ヘアが揺れ、顔を傾けただけでも、何ともコケティッシュに見えた。
尤之進は口を開いて、喉を動かした。
はっきりと空気が揺れて、真琴の耳に届くのが感じられた。にもかかわらず、真琴は聴きとれずにいた。
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