官能小説販売サイト 一条きらら 『背徳の蜜の香り』
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一条きらら   背徳の蜜の香り

目 次
第1話 テレクラ不倫
第2話 禁断の愛欲
第3話 SMにたぎる蜜
第4話 熱い樹液
第5話 美少年の熱い昂まり
第6話 背徳のシックスナイン
第7話 濡れそぼる女芯

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   第1話 テレクラ不倫

     1

 娘の香奈を幼稚園に送った帰り道、滝井夕子は、同じマンションの住人の安田美枝と肩を並べて歩いていた。
「運動会の練習で、子供たち、はりきっているみたいね」
 と美枝が微笑しながら言った。
「ええ、うちの子は初めてでしょう。だから家でも練習して、はしゃいじゃって大変」
「うちは年長組だから二度目だけど。でも、年に一度だから楽しみみたい。ところでご主人、運動会は見に来られるんでしょう?」
「それがね、今度の日曜日、だめなんですって。香奈もがっかりしてたわ」
「大変ね、単身赴任て」
 美枝が同情したように言う。
 夕子の夫は半年前から大阪に単身赴任中だった。香奈は幼稚園に通い始めたばかりだし、マンションもローンで手に入れたばかりなので、夫だけで赴任することになったのだ。
 家に帰って来るのは月に二度である。それ以上は交通費がかかるので、無理なこともあり、日曜に出勤することもあるためだった。
 夕子は三十二歳、夫の啓一は三十六歳で、結婚して七年である。新婚ではなくても、月に二度しか夫婦らしいひとときを過ごせないのは、夕子にとって不満だった。
 かといって、会社の命令とあれば、仕方のないことだ。
 夕子と美枝は、十分足らずでマンションに着いた。
 エレベーターを待つ間、夕子は何となく郵便受けの中を覗いてみた。
「何かしら」
 小さなピンクの紙片を手に取って、夕子はつぶやいた。
〃お暇な時に〃
 と紙片に印刷されてあるので、パートの募集かと思った。が、違うようである。
「広告?」
 とエレベーターの前から美枝が訊いた。
「ええ、でも何かしら、よくわからないわ」
「見せて」
 二人はその紙片を一緒に見た。
 隅に電話番号が書かれていた。

 〃さみしいあなたに
 素敵な出会いを夢見るあなたに
 ちょっと勇気を出してみませんか〃
 TEL(03)351 0000

「ああ、これ」
 と、美枝がわかったような声を出した。夕子は問いたげなまなざしで彼女を見た。
「奥さん、わからない? これ」
「ええ、初めて見たわ、こんな広告」
「これはね、ふふっ、奥さんみたいな人のためにあるのよ」
「私みたいな女のために……」
 その時、エレベーターの扉が開いたので二人は中へ乗り込んだ。美枝の部屋は三階、夕子の部屋は五階である。
「教えてあげましょうか?」
「ええ」
 と答えながら、こんな紙片の広告のことで美枝がもったいぶっているのが、夕子は何となくおかしくなる。
 家へ寄ってお喋りをしていかない? と美枝が誘うので、夕子は彼女と一緒にエレベーターを降りた。
 美枝は、夕子をリビングルームに通しておいて、コーヒーを二ついれてきた。
「その広告ね、つまりテレクラの誘いなのよ」
「テレクラ!?」
「そう、聞いたことあるでしょ。テレフォンクラブ。未知の男女が電話で楽しいお喋りをするの」
 夕子は納得して、その紙は捨ててしまおうと思った。ところが、美枝は、
「ね、一度試してみたら」
 と夕子の眼を覗き込んで言う。
「いやだわ、知らない人と話すなんて」
「まあ、古いのね」
「私、知らない男の人に電話する勇気は、ないわ。よっぽど飢えてる人妻みたいに思われちゃう」
「だって、そのとおりじゃないの?」
「まあ……」
 夫が単身赴任中だとそんな眼で見られるのかと、夕子はプライドを傷つけられたような気分だった。けれども、そうではない、とは言い切れない……。
「第一、電話で何を話すの? いつか雑誌で読んだけど、エッチなことを言い合うんでしょう?」
「そうとは限らないわ、その人次第よ」
「それに、そういうことする男の人って、最終的には女とホテルへ行くことが目的なんでしょう?」
「ううん、それも違うわ。偏見よ。電話でお喋りするだけでもけっこうストレス解消になるわよ。会いたくなきゃ会わなくたっていいんだし、もちろん男の人は会いたがるけど、電話で男性に口説かれる、っていうのも、それはそれで楽しいものよ」
 
 
 
 
〜〜『背徳の蜜の香り』(一条きらら)〜〜
 
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