官能小説販売サイト 由紀かほる 『薔薇と制服(前編)』
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由紀かほる   薔薇と制服(前編)

目 次
1st・Step
2nd・Step
3rd・Step
4th・Step
5th・Step
6th・Step
7th・Step

(C)Kaoru Yuki

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   1st・Step

     1

 新横浜駅発16時36分のぞみ79号に、あおはらきよはリュック・タイプのバッグを提げて乗り込んだ。
 京都までほぼ二時間、新聞を読むかひと眠りすればあっという間の距離だった。途中の停車駅が名古屋だけなので、車両自体の加減速がわずかであるのも、しんたいにかかる負担が少なく疲れにくい理由になっていた。
 もっとも、青原にとって京都は中学校の修学旅行以来で、新幹線の知識も昨日、インターネットで仕入れたばかりだった。
 窓際の指定席に座ると、ジャケットの内ポケットからケータイを取り出して、マナーモードに切り換える。
 つい先ほどホームで確認したにもかかわらず、青原はもう一度送られてきたメールを確認しないではいられなかった。

〃今日の八時、五条河原町の鴨川の岸で待ってまーす。絶対来てネ。ちゃんとスーパー・ミニの制服と一番長いルーズ穿いて行くヨ。
ミナより〃

 何度見ても、湧き出すツバを呑み込まずにはいられなかった。
 女子高生との援交――すでに手垢にまみれきった言葉だった。が、援交の経験が一度もない青原にとっては、永遠の願望でありテーマでもあった。
 というのも、青原には簡単に援交できない事情があった。
 三十一歳になる青原は、孤児院で育ち、通信教育で教員の資格を取得し、五年前から今の高校で教鞭をとっていた。
 横浜にあるシュプリーム学園は、その名の通りシュプリーム教という新興宗教団体が創設した女子校だった。
 自由と愛と平等を謳った教えに、青原はさほど心酔しているわけではなかった。ただ、両親もいない、貧乏で、特別な能力に恵まれてもいない自分を、唯一受け入れてくれたということで、学園には感謝していた。
 教師という職業に、特別夢や憧れを抱いていたわけではなかった。ただ、教師になるなら絶対女子校だと肚に決めてはいた。それが叶ったのである。
 学園の建物は、校舎も隣接する礼拝堂も実に豪奢だった。何年通っても、校門を入って見上げる礼拝堂の威容には圧倒される感があった。
 そして、それにも増して青原の胸の奥をしびれさせたのが、そこに集まってくる女子生徒たちの姿態だった。
 制服は今では少なくなったセーラー・タイプで、学年によってタイの色が変わっていた。
 ソックスはルーズでも、紺のハイソックスでもOKだが、変わっているのはスカートだった。
 たしかにミニが今ではごく普通だが、ここではミニが指定服とされていた。だから、短かすぎて注意されることはないが、長すぎて注意されることが実際にあるのだった。
 授業中はもとより、廊下を歩いていても、グラウンドにいても、眼には紺のプリーツの超ミニからのぞく、女子高生の太腿がまばゆいばかりに跳び込んできた。
 そして、階段や強風のときなどは、揺れるプリーツの裾からさらに奥の、白い布までが晒されてくるのだった。
 赴任して半年間は、毎日鼻血を出してトイレに駈け込んだ。
 さすがに今はないが、それでも授業中、青原の股間でシャフトはえることを知らなかった。下着にワン・サイズ小さいブリーフを愛用するようになったのも、ズボンの上から生徒たちに気づかれないようにするためだった。
 むろん、いいことばかりではなかった。教員という立場上、普段の生活態度は暗黙の自制が求められた。浮いた話も、校内では厳禁だった。
 これはこれでつらかった。毎日、新鮮な食べ頃の太腿を眼の前に見せつけられながら、絶対に手を出すことはできないのだ。
 もっとも、青原の場合、生徒側から見てから対象外ではあった。
 三十一歳だが、その通りに見られたことはなかった。誰もが四十過ぎだと信じきっていた。
 一つは髪の毛のせいだろう。額はもともと広いが、毛は二〇歳の頃から急激に抜けはじめ、今では耳の上を残すのみとなっていた。
 それでも諦めたわけではなかった。育毛剤やシャンプーなどには月々三万円以上を使っていた。
 ただ、背が一五八センチで、小太りなために、誰の眼にもオヤジに映ってしまうのである。
 いや問題はオヤジではないのに、オヤジに見えてしまう点にあった。生徒たちは、残酷なまでに目ざとかった。
「コイツ、ダセエ」
 そう見限れば、青原を自分たちの対等以下としてしか扱わなかった。
 学園の方針で、教師は生徒を「さん」づけで呼ぶことになっていた。が、生徒たちは青原を決して先生とは呼ばなかった。いつも呼び捨てだった。
 授業中、注意しても聴く者はいなかった。勝手に歩きまわり、ケータイをイジり、ジュースを飲んで雑誌を読んでいた。
 授業崩壊である。しかし、その光景は他の教師の授業では決して見られぬものだった。
 教員の中でも、青原の立場は際どかった。すでに五年もいるが、お茶を配られる際は、今では一番最後だった。下手をすると、忘れられたりする。仕方なく、青原が自ら買って出ることがしばしばだった。
 会議でも発言を求められることはなく、仮りにその機会があっても、誰も聞く者はなかった。
 が、どれほどしいたげられても、辞めようと思ったことは一度もなかった。辞めて、今以上に給料のもらえる職場が見つかる可能性はまずなかった。
 いや、何よりも、毎日女子高生たちの太腿を拝める幸運と幸福を、絶対に手放したくなかったのである。

     2

 18時38分、定刻通りに京都駅に降り立った青原は、市内の地図を片手にブラブラと歩き出した。
 待ち合わせ場所までは、ゆっくり歩いても二〇分ほどらしいから、途中で腹ごしらえでもして行けば丁度よい。
 地元はもちろん、都内で援交となれば危険が多すぎた。が、京都なら――そう気づくのに、五年かかっていた。いや、気づかなかったのではなくて、一歩踏み出す勇気がなかっただけであった。
 冷かし半分、羨望半分で遊んでいた出会い系サイトで、京都在住のミナという女子高生と知り合ったのが一週間前のことだった。
 所詮、ネット上での遊びだし、本当に会う気のない青原は、相手に目一杯高い条件を要求した。
 現役の女子高生で背は一五八センチ以上。会うときは必ず制服を着用すること。金額は二万円まで。平均以上の美人であること。顔写真で、こちらが判断し、ランクによって金額を決める。
 青原を知る者なら、これだけでも思い上がった要求と思うだろう。が、青原はさらに高いハードルを用意していた。
 古着でもよいが、着用した制服と下着を最後に譲ること。金額は全部そろいで一万円。
 半ば冗談のつもりだったが、驚いたことに、何通かのメールが戻ってきたのである。
 しかも、顔写真を見て、半分は合格点に達していたのだった。
 中でもミナの容姿は群を抜いていた。身長は一六二センチ。高三で、制服はうれしいことに、ブレザーではなくセーラーであった。
 もちろん、化粧したメールの写真では信用はしきれない。が、多少ゲタを履いたにせよ、顔立ちは整っていた。陽灼けした横顔の、ちょっとキツそうなところも、青原の好みだった。
 そして、何よりもプリーツ・ミニの制服の、圧倒的なまでの短かさに、青原の股間は痛いくらいにうずき続けた。
 はじめは京都と聞いて諦めた。と同時に、このミナの太腿に頬ずりし、ミニの中へ顔を埋める、自分ではない別の男に対して、猛烈に嫉妬していた。
〃千葉県から京都は少々遠いです。残念だけど〃
 もちろん、横浜の名を出すだけでも、青原にははばかられたのだ。
〃新幹線ならスグだよ。ミナは年上のオジさまじゃないと駄目なの。それに制服は大切にしてくれる人に譲りたいし。ブルセラじゃ、誰の手に渡るかわからないし、超キモイよ〃
 
 
 
 
〜〜『薔薇と制服(前編)』(由紀かほる)〜〜
 
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