官能小説販売サイト 鳳春紀 『双獣の棲む家〜義母女医と二人の少年〜』
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鳳 春紀    双獣の棲む家〜義母女医と二人の少年〜

目 次
第一章 青獣の獲物
第二章 野獣の昼食
第三章 獣欲の毒牙
第四章 肉食の陰獣
第五章 佞獣の饗応
第六章 餓獣の貪婪
第七章 牝獣の肉宴

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   第一章 青獣の獲物

     1

 もともとの粘膜が薄めのルージュをひいたような色である。
 下唇ばかりか、上唇もぽってりふくらんでいる。唇はちょっと突きでているように見えるが、出っ張っているのではない。肉厚なのである。
 顔全体がほっそりしているから唇の厚さがいっそうなにかを求めるように官能的に目立っている。その唇の間から白い歯がちょっとのぞき、生温かく甘い息がもれている。何度も寝がえりしたあとなのか、少し乱れた髪が綺麗な額と頬にかかっていた。
 これがママの寝顔なんだ……。
 たくろうはそんなの顔を傍らから凝視しながら布団の横に静かに腰を落とした。義母の寝室の入口でシャツとズボンを脱ぎ捨てて全裸になった彼の股間には十七歳の勃起が若々しくそびえている。
 力がみなぎって腹につくほどに上向き、まだ女の陰部で汚れていない綺麗な茎を這う血管がはち切れそうになっているペニスである。拓郎はこれを持てあましていたのだ。
 いや、単に射出の激欲を覚えているのならば、いつもの手淫ですませればいいことだった。実際にこれまで右手で処理してきて問題はなかったのだ。
 ……だが、最近はちがう。まったくちがう。夢想のなかの女ではだめだ。
 佐久間奈々子でなければだめになった。佐久間奈々子を見ながら熱い精液をほとばしらせたくてしようがなくなった。
 奈々子、それは同級生の女の子ではない。担任の女教師でもない。母親だ。義母の奈々子だ。二十九歳。拓郎とはひとまわり以上の年齢差がある。なのに激しい肉欲を覚えてしまう。
 父の再婚相手が決まってよかったと思ったのは最初のうちだった。相手の写真を見せられたときも、父の教え子だとはいうけれどずいぶん若い女を妻にするんだな、と思ったくらいだった。
 しかし、父の再婚相手を実際に見たときには面食らった。写真の印象とはまるでちがっていた。「とろけそうな女」。そんな言葉すら頭に浮かんだ。単なる美人とかいうのではなかった。ホステスが男に媚びるために懸命に化粧して得ようとするなまめかしさをすでに素顔で持っているのだった。これで小児科の女医だというのだ。見た目では誰もそう思わない。
 彼女の声にも誘うものがあった。普通に喋っているのだけれど、声のなかに性のあえぎのようなものが秘められているのがはっきりとわかるのだ。含み笑いのときの声。びっくりしてもらす「あっ」というかすかな声。そのいちいちに女の性が響くのだ。
 身長は百六十センチちょっとくらいか。遠くから見ると、背が高く見えるのはプロポーションがあまりにもいいからだ。いや、スタイルがいいとか姿勢がいいとかいう問題ではなかった。姿勢の保ち方が独特だった。
 たぶん、生まれつきの鳩胸なのかもしれない。自然にしていても胸を張って誇示しているように見える姿勢なのである。その分、後ろ姿では尻が強調される。
 装わないほどに彼女の肢体は露わに出るようだった。医療センターに出かけるときの姿、簡素な白いブラウスに黒っぽいタイトスカートを着けているときにもっとも強くグラマラスなボディラインが外に出てしまうのである。
 そんな女性が義母となっては、素直に「お母さん」と呼ぶことなどできなかった。
 だから、拓郎は「ちょっと」とか「そっち」とか言ってごまかしていたのだが、兄のふみろうが父の呼び方に感化されるようにして徐々に「母さん」と呼ぶようになってからは、拓郎は二人に反発するように、たまにはママと呼ぶようになっていた。
 夜にはいつも拓郎は自分の部屋で、
「奈々子ママ」
 と、小さくつぶやいた。夜は、その日のなかで見た奈々子の姿をまざまざと思いだして手淫する時間だった。夢想のなかで奈々子をめちゃくちゃに犯しながらしごいて射精に至っても満足しなかった。
 階下の寝室に彼女が半裸の姿で眠っていることを考えるだけで興奮が高まり、ついには何度もしごいて異常な量の精液をシーツの上に垂らしてしまうのだった。
 朝になってごわごわの黄色い染みのついたシーツを自分で洗ったこともあったが、最近では無造作に洗濯籠のなかに突っこんでおくようになった。彼女がそれを見てなんの染みであるのかを考えるのを想像するだけでも興奮するからだ。
 そして学校から帰ってきて、自分の部屋に入るとシングルベッドの上に新しいシーツがたたんでおいてあるのだった。
 拓郎は兄も義母も帰ってきていないときはこっそりと義母の部屋に忍びこんだ。不思議なことに彼女の寝室には鍵がかかっていないときもあった。引き戸を開ければ、なかは和室でいつも整然としていた。だが、濃い匂いが充満していた。義母がこの家にくるまでには存在しなかった女の匂いであった。
 初めはその匂いを嗅ぐだけで胸をときめかせていたのだが、タンスのなかの義母の下着を観賞するようになるのに時間はかからなかった。
 タンスのなかにはさまざまな下着が納められていた。赤や黒といったパンティもあれば、パステルカラーの紐パンティさえあった。手に持ってひろげてみても小さいものだ。とてもあの尻に引っかかるものだとは思えないものばかりだった。
 これを股間に食いこませて着けているのだ……。
 あの黒っぽいタイトスカートに隠されているそのさまを想像するだけで拓郎の体は熱くなった。熱くなったものは冷ましてやらなければならない。
 義母の股間にあたるクロッチを鼻に押しつけて独特な性香を嗅ぎながら、拓郎は背徳的な自慰にふけった。いつ家人が帰ってくるかという不安があるからすぐに射精した。畳の上に点々と飛ばした精液はティッシュで拭き取った。
 そんな日々が本当の悦楽であるわけがない。かえって抑圧である。ところが、抑圧されつづけて、拓郎の欲望はかえって力を獲得した。もう夢想だけではいやだった。義母の顔を現実に見て、白く果ててみたくなった。
 
 
 
 
〜〜『双獣の棲む家〜義母女医と二人の少年〜』(鳳春紀)〜〜
 
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