官能小説販売サイト 一条きらら 『禁断のエクスタシー』
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一条きらら   禁断のエクスタシー

目 次
貪欲な蜜肌
凌辱の夫婦
淫らに燃えて
蜜肌の誘惑
エステの後はベッドで
背徳の関係
濡れた再会
禁断のエクスタシー

(C)Kirara Ichijyo

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   貪欲な蜜肌

     1

 最初は、〈オレオレ詐欺〉かと思った。電話に出ると、
「もしもし、おれ、おれだけど」
 と馴れ馴れしく呼びかけてきた男の声に、
(最近、話題になってる、オレオレ詐欺だわ……!)
 はそう思い、眉をひそめた。
「どなたですか? 名前を、おっしゃって下さい」
〈オレオレ詐欺〉なんかにだまされないわよ、と思いながら冷ややかにそう言った。
「名前なんか言えないよ。盗聴されてるかもしれないし。そしたら奥さんに、迷惑がかかるでしょう?」
 電話の向こうで相手の男が、ククッと笑った。若い男の声で、聞き覚えはないけれど、聞いたことがあるような気も、しなくはなかった。
(もしかしたら、誰かのいたずら……?)
 急に、アハハと笑い出して、名前を告げるのではないかとも思った。
 けれど、そうではなかった。電話の男は、
「奥さん、ぼくと××××しようよ」
 と低い声で卑猥な言葉を口にしたのだ。
 絵里香はゾッとして、電話をガチャンと切った。
(いやらしい……)
 電話の前を離れながら、顔が熱くなっているのを感じた。
 エッチな悪戯電話である。以前は、こんな電話がかかってきたことがあるが、最近は珍しい。テレクラとか携帯の出会い系サイトなどがあるせいか、デタラメの番号にかけるエッチな悪戯電話は、かかってこなくなっていたのである。
 その悪戯電話が、三日後にまた、かかってきた。二十代に思える、同じ男の声だった。
「奥さんて、おれの好きなタイプなんだ。だから空想の中でヌードにしてさ……」
 男は口早に言った。絵里香がすぐ電話を切ると予想してのようだった。
 何も言わずに絵里香は、受話器をガチャンと戻した。ナンバー・ディスプレイには、三日前と同じように〈ヒツウチ〉と表示されている。
 自分の電話番号を知らせない非通知で電話をかけてくる人もいるから、出ないわけにはいかなかった。
(暇な男ね。こんな悪戯電話より、出会い系サイトでもやって彼女を作ればいいのに)
 恋人もガールフレンドもいないモテない男に決まっていると軽蔑しながら、キッチンに戻って、冷蔵庫のドアを開ける手を、ふと止めた。
(この間も今日も、あたしのことを奥さん、て呼んだわ……)
 そう気づいたのである。デタラメの番号にかけて、電話に出たのが女の声だから、エッチなことを男は言ったのだ。けれど、シングルか人妻か、わからないはずだ。
 絵里香は三十三歳だが、電話の声で年齢もわからないはずだし、夕方、自宅にいるからといって主婦とは限らない。
 または、その確率が高いと単純に思い込んで、男は「奥さん」と呼びかけたのか。それとも絵里香が人妻と知っていて、そう呼んだのだろうか。
 午前と日中に、いつ電話しても家にいて電話に出るなら専業主婦と推測できるかもしれないが、最初の電話の時から男は、「奥さん」と呼びかけた。
(もしかしたら、あたしが人妻ってことをちゃんと知っていて、電話番号もわかっている男……)
 顔見知りの男だろうか。そう、たびたび顔を合わせる男ではない。聞き覚えのない声なのは、会って話したことはあっても、電話で言葉を交わしたことがないからかもしれない。実際の声と電話の声は、少し違ったりするからだ。
(でも、あんな悪戯なんかする人、いるかしら……)
 周囲にいる男性の顔を、思い浮かべてみるが、思い当たらなかった。
 
 
 
 
〜〜『禁断のエクスタシー』(一条きらら)〜〜
 
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