官能小説販売サイト 中村嘉子 『女体は艶技で磨け』
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中村嘉子    女体は艶技で磨け

目 次
肉芽つまみ
フェラチオぐるい
痴女願望
ペニスハント
奪われて
いけない性夢
指に濡れる
淫乱クリトリス
名器開発中
悶絶むすめ
舐めて絶頂
おとうとの性器
剃毛でイク

(C)Yoshiko Nakamura

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   肉芽つまみ

     1

 風呂上がりのった肌に大きなバスタオルを巻きつけて、麻里子は、バスルームを出ると、キッチンに立った。
 新築のマンションのキッチンには、まだ生活のにおいはなく、壁や床の新建材のにおいと、テーブルの上の果物カゴの中のリンゴとバナナの甘ったるい香りとが、入り混じってこもっていた。
 水を一杯飲んでから、麻里子は、リンゴを一つ取り、シャリッと一口噛んだ。
 甘酸っぱい汁が口いっぱいに拡がると、妙に落ち着かない気分に、急になってきた。
〈こうして独りっきりで、しかも、お風呂上がりのきれいな、敏感な躰でいるっていうのに、こんなことしてていいのかしら……? なにかしなくちゃ……〉
 という、焦りと開放感のないぜになった気分にだ。
 都会のマンションで独り暮らしをするのが、麻里子の高校時代からの、いや中学時代からの夢だった。
 岩手県の、地元ではちょっとした家柄の大家族の家庭に生まれ育った麻里子には、孤独とかプライバシーとかいったものは、ずっと無縁のものだった。
 いつも誰かがそばにいて、なににつけても干渉されて育った。
 それだけに、思春期になると、人一倍強く〈独りになりたい〉〈誰にも邪魔されずに生活したい〉という思いを抱くようになった。
 その思いが、やっと今実現したのだ。
 親の反対を押しきって、東京の女子大を受験し合格するとすぐ、このマンションをみつけて、高校の卒業式の三日後から住みはじめた。
 反対していた両親は、娘がここまで行動力を発揮すると、意外に簡単に折れ、月二十五万円の仕送りを約束してくれた。
 麻里子の〃夢〃の生活は、こうして本人の支障もなくはじまったのだ。
 それからすでに二カ月になる。
 夢の東京生活の二カ月目は、しかし、麻里子の当初の期待を完全に裏切るものだった。
 はじめは楽しかった自炊生活にも、すぐに飽きてしまった。
 ファッショナブルなスーパーマーケットでの買い物も、値段に品質がともなわないことが判ると、あまりにも見かけ倒しで馬鹿らしくなってきた。
 肝心の学生生活にしても、期待したほどのものではなかった。授業内容は、高校時代と比べてそう進んだものではないし、学食の定食はく、学生街の喫茶店のコーヒーも、岩手より味がいいわけではなかった。
 友だちにしてもそうだ。できるにはできたが、高校時代のなんでも話し合える親友たちと比べると、妙に白々しい、虚栄心をはらんだ友人関係だった。
 そんな友人たちに誘われて、新宿や六本木のディスコやパブへも何度か遊びに行ったのだが、友人に恵まれた状態ではないせいか、気ばかり遣ってあまり面白くなかった。
 二カ月、そんな生活をして、気がつくと、自炊もせずカップラーメンばかり食べ、大学もサボリがちで、マンションにこもって、面白くもないテレビを観つづける毎日になっていた。
 とくに、この一週間ばかり、麻里子の心はなぜかやたらにいらち、〈なんとかしなくちゃ……〉を独り言で繰り返して、なにかをしきりに求めていた。
 なにか刺激的な出来事に、無性に出くわしたかった。
 刺激さえ強烈なら、レイプでもいい――とさえ思うことが、この数日の麻里子にはあった。
 お嬢さん育ちで、まだ処女の麻里子に、欲求不満などないはずなのだが、それはまぎれもなく、欲求不満のイライラモヤモヤの症状だった。
〈きっとこれは欲求不満だわ……〉
 そう思うから、よけいに麻里子の心は、
〈なにかしなくちゃ……〉
 と、焦るのだ。
 二口めのリンゴを口の中で噛みくだいていると、なぜか唐突に、
〈オナニー……〉
 という、日ごろは絶対に使わない言葉が、風呂上がりのぼやけた頭の中で、それだけはっきりと点滅しはじめた。
 
 
 
 
〜〜『女体は艶技で磨け』(中村嘉子)〜〜
 
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